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web拍手お礼小話つめつめ(2)

「ふふーん。勝った方が相手の言うことを利く!でどうだっ」

ということで、ロイズVSブランマージュしりとり大会。


「当然あたしからでーす!

りんご」

ふふふ、しりとり、が先だと思ったら大間違いだよん。

「ごはん」

「……はい?」

「ごはん」


「あんた莫迦ですか!?

しりとりはンがついたら負けなのよ、あんた負け!」

「判ったから早く言え。なんでも言うこと利いてやるぞ」


「……」

ものくっそつまらん!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「勝ったほうが相手の言うことを利く! しりとり大会第二回!」

ということで、エイルVSブランマージュしりとり大会。


「当然あたしからでーす!

しりとり」

今回はノーマルに、り、から。

「料理」

おお、エイルってばまともに返答したわね!

偉いぞ。

「りすざる!」

「瑠璃」

……

「り……リップスティック」

「クスリ」

り……

「り、り、リス。さっきはリスザルだから、今度はリス!」

「スリ」

りぃぃぃぃぃぃ

「降参は負けだからな」

腕を組んでニヤリと口角をあげてみせるエイル。

「リボ……じゃなくて、リ、リ」

リボンも離婚も駄目だぁ。

「さて、何をしてもらおうか」

――もしかしてピンチか!?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「アン、アンニーナ!」

突然の来訪者であるブランマージュの声に、寝台からむくりとアンニーナが顔を上げる。

その身にまとうのは薔薇の香りのみ。

顔に張り付く紫の髪をかきあげ、アンニーナはあふりと欠伸を噛み殺した。

「朝早くからなによぉ?」

「もう昼近いわよ」

「だぁってあたしのホンバンは夜だものぉ」

「……」

 ブランマージュは引きつりながら、

「あんたに聞きたいことがあるのよ!」

と告げた。

「何よ?」

「言いたくないけど、最近のあたしときたらめっきり悪い魔女として何かが間違ってるのよ」

「ふーん?」

「だから、先輩悪い魔女としてちょっと教えてもらいたいの」

なんというか、悪い魔女としてのコツというか、心得って、いうか?

ブランマージュの言葉にあふりと欠伸を噛み殺し、アンニーナは瞳を細めた。

「誰が悪い魔女だって?」

「え?」

「いっとくけど、あたしは善い魔女だから」

「……は?」

 ブランマージュは光の角度で金色に見える琥珀の眼差しを見開いた。

「あたしはー、悪い魔女じゃないから」

「……どのへんが善い魔女?」

 四六時中色欲にふけりまくり、男に貢がせて好き勝手している魔女が、善い魔女?

「あたしはー、自分の欲望にすなおーな良い魔女なの。

欲しいものはくれる人から貰うしぃ。男と遊びたければ遊ぶのー。あたしはー、判りやすい善い魔女よ?」

んーっと体を伸ばし、やっと目を覚ました様子のアンニーナはぐいっと手を伸ばしてブランマージュの腕を引いた。

「きゃあっ」

「ほら、あんたも遊ぼう!

誰かっ、出ておいで。可愛い子猫ちゃんの相手をしてあげて」

「ちょっ、やめっ、離してぇぇっ」

「ふふふ、人生は楽しむものよ?」

「はーなーせぇぇぇ」

ブランマージュ、ピーンチ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ふわりと降り立った黒い魔女の姿に、真っ白い一角獣は冷たい眼差しを向けた。

相手は美しい女だった。

引き結んだ口元も、意思の強そうな眼差しも。艶やかな黒髪には魔女特有の三角帽子をかぶり、その気配は強さに満ちていた。

 獣は低く威嚇するように歯を打ち鳴らす。

「おいで」

魔女は笑う。

「――貴様に従う言われなどない」

「ふふ、生意気で素敵ね?」

魔女が手のひらをひらめかせれば、一角獣の体がびしりと強張る。しかし、それを身を振ることで解く。

――多少の魔力でねじ伏せられるような脆弱なものではない。

「ああ、本当に素敵……」

魔女は吐息を落とし、ゆっくりと近づく。

一角獣は瞳に威嚇以上の強さを滲ませた。

「おまえをあたくしのものにしたいの」

うっとりするような口調で魔女が囁く。甘く、吐息を含ませて。

伸びた手が、一角獣の鼻面に触れる。

噛み付こうとしていたのを押さえる獣に、魔女は唇を寄せた。

「あたくしのものになって? そうしたら、おまえにあたくしをあげる」

「――」

「このレイリッシュの全てをおまえにあげるわ」

ふっと一角獣の姿が馬のそれから人の形へと変わる。嬉しそうに微笑む魔女は、自らの口唇を爪先でなぞり、血で滲ませた。

 二人の唇が触れ合う――それが、契約。

月と魔女の血のもとで、高潔な獣は魔女の軍門に下る。



「でもレイリッシュって他にも使い魔いるよね?」

「いるわよ?」

「……他のも同じ手口で手に入れてる?」

「そりゃそうよ。強い魔物や霊獣は矜持が高いもの。でもね、使い魔にしちゃえば魔女の勝ちよ。結局は逆らえないんだから」

アンニーナから聞かされたレイリッシュと一角獣の話に、ブランマージュはほんのちょっとだけ一角獣に同情した。

同情が二割。残りはちょっと……ざまぁみろ?


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