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警備隊第一隊が魔女の被害にあわない理由

「理不尽だ」

始末書の束を前に、ロイズ・ロックは低く唸った。

「まあまあ、落ち着いて」

「これがおちついていられるか。何故、あの魔女の被害がうちの隊にばかり集中しているんだ」

――ロイズ・ロック、任地について一年と半分。

日々下らない魔女との追いかけっこに銃を抜いた数が二桁――それも全て始末書が証明している。

「あー、そりゃ……」

 ロイズの隊の副隊長であるクエイドは苦笑して頭をかいた。

「第一隊にはギャンツさんがいるから」

「は?」

 ギャンツ・テイラーの名前は勿論知っている。第一隊の隊長だ。

会議などで顔を良く合わせる相手でもある。生真面目で温厚。理想的な上司というところだろう。

「あの人が何だ?」

「……オレが言うよりも、自分で確かめたほうが早いですよ。あの人の前で魔女殿の話題をふってみて下さいよ」

クエイドは苦笑し、肩をすくめた。


眉間に皺を刻みつつ、それでも魔女対策を知りたいロイズは部下の言葉に従い第一隊の隊長であるギャンツを馬屋で捕まえた。

「ギャンツ隊長」

「ああ、ロックか。何か用かい?」

愛馬の腹にブラシを掛けていた男が柔らかな笑みを浮かべて尋ねてくる。

爽やかで柔らかな物腰。いつ見てもこの相手は素晴らしい上司の鏡である。ロイズにとっても目標だ。

ロイズは「すみません」と前置きし、

「ブランマージュの……」と言葉を続けた。

途端、ギャンツはぐるりと(ふくろう)のように首をめぐらせ、瞳を見開き、ブラシを強く握りこんだままロイズのシャツをつかみあげた。

「ブランマージュが何だと?」

「――」

「どこだ? どこにいるんだ? 最近はちっともお会いしていない、おまえは何を知っているんだ!」

――ざーっと血の気が引いた。

強い力でがんがんと揺らされる。

「私のブランマージュはいったいどこにいるんだーっっっ」



「ってコトで、魔女殿は第一隊の前には怯えて出てこないんですよ」

「……」

「隊長?」

「――オレの、オレの理想の上司が……」

襟首を締め上げられ、がくがくと揺らされたロイズは頭を抱えてしばらくぶつぶつと呟き続けるはめになった。


「ブランマージュ! 私の天使。私を激しく(ののし)ってくれ。私の何がイヤなんだっ」

耳の奥で木霊する呪いの言葉をなんとかしてくれ。


何故第ニ隊ばかりなのか! その理由はブランが怯えているからでした。元々はギャンツさんは素晴らしい人でしたが、ブランの悪さが講じて蹴りを一発御見舞いししてしまったところ、どうやらギャンツさんの何かのスイッチが入った模様。普段のギャンツさんはいい人です。

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