ep25
午前九時、雑居ビルを抜け出して駅前通りに出た。
人通りは無く静まりかえっていた。
空は薄雲りだが風はなく冬の様相だった。
ビルの谷間にある自販機でホットコーヒーを買った。
人気がないだけに自販機からの音には過敏になり、思わず周囲を見回した。
朝食はエネルギーバーとこのホットコーヒーのみ。
物足りないがやむを得ないと麻相は思った。
駅はシャッターが降りており駅構内にも人の気配がなかった。
駅前のコーヒーショップ、コンビニ、ケータイショップのどこも張り紙がしてある。
店舗内の灯が落されて異様さが際立っていた。
暴漢の姿は見えていないがどこかに隠れているかもしれずこちらの姿を見られるのは避けたい。
建物の際に沿って移動したが意外にもめんどうで不自由だった。
麻相は田端を裏道へ誘導した。
民家と民家の間、道幅は車一台程度、これなら人目に付きにくいと思えたからだ。
「幼稚園、保育園に人質になってる子供がいないか見たい。」
田端はそこへ案内するよう頼んできた。
「その次に特別養護老人ホームとか介護施設も見たいね。」
そのリクエストに麻相は戸惑った。
他の町内に点在するだろう施設までは詳しくは知らなかった。
「俺の住んでる白根町なら案内出来ますよ。それ以外の町内はよく知らないので。」
麻相はそう弁解した。
「そう、そんなものか。そうだよね。」
街中に住んでいると他所の町内にまで気が回らないのはよくあること。
ましてや中高生ならば自分の周囲だけと田端は事情を理解したようだった。
「麻相君の知ってる範囲でいいよ。昼間にむやみに歩き回るのは危ないからね。」
麻相は東に向かって歩き出し、田端もそれに従った。
狭い通りばかりを選んでいるが四つ角に差し掛かる度に注意を払った。
民家の門壁、電柱に身を隠した。
車の音や話し声がないか耳を澄まし、それが無ければ顔半分を突き出して通りに人影が無いか見渡す。
人も車も居なければ素早く通り抜けるを繰り返した。
「でもなんで?人質解放?」
麻相は素直な疑問をぶつけた。
「俺たちにできることはたかが知れてる。
警察が動きやすいように手助けをする、露払いをしておくことだよ。
まずは人質が居るか居ないか、居たならば解放してあげること。」
田端は確信を持った口調で麻相に説いた。
「でも、解放したって自力では逃げられませんよ。」
中学生よりも年上ならば逃げる算段はできるだろう。
それ以下の年齢、あるいは高齢者は誰かが付き添わないと身動きがとれない。
迂闊に歩き回れば暴漢たちの目に留まる。
「人質に銃を突きつけられたら警察は手が出せない。
人命第一、ケガをさせることもダメだから。
人質には監視する役がいるはずだからそいつらの数を減らせるならやっておきたい。
事件解決が早まるからね。
捕らわれた人の精神状態も心配だ。
銃を向けられたってだけで心的後遺症、PTSDが心配だ。
そんな緊張状態だけでも解いておくのがベスト。」
「俺も銃を向けられました。女の子なんか泣いちゃって酷いもんでしたよ。」
そこには陽子も含まれていたので心配にはなっていた。
「あれは可哀そうだったね。
銃を突きつけられたらね、トンデモな恐怖だよ。
ホールドアップは日本人にはなじまないから耐えれない。
文献によるとPTSDはほとんどの人が三カ月以内に自然に治るそうだ。
ただ稀に後遺症になるからケアは大切だよ。
あの女の子たち、登校拒否にならなければいいけどね。
麻相君、君なら大丈夫でしょ。
身を挺してあの子を庇った、普通はできないよ。」
並外れて気丈だとでも田端は言いたげだった。
麻相も恐怖心から震えていたと吐露しようとした時だった。
爆発音が響き渡った。
麻相も田端も驚き、周囲を見回すが民家に邪魔されて遠望は利かない。
噴煙が登っているならば方向だけでも確認できる。
それが無いのはそこまでの爆発ではないのかもしれない。
その後も立て続けに爆発音が三つ響いた。
四方の山に反射し、いつまでも轟音がとどろいた。
麻相は言葉を無くし茫然としていた。
田端は空を見上げ聞き耳を立てて音の方角を確かめているようだった。
「こっちが北だったよね。」
田端が指さして尋ねると麻相は頷いた。
「最初の一発は真西から。次に東側の二か所、最後の一発が北西から。」
その言を受けて麻相は青田市の全景、地図を頭の中に思い浮かべた。
「4か所に重要なインフラ設備とかあるの?電気、水道、ガスの他に・・・通信はもう駄目だったね。」
麻相はあることが閃いた。
「トンネルがその方角にあります。青田にとっては交通の要です。」
「トンネル?道路の?」
麻相は頷いた。
「トンネルを爆破されたら?」
「孤立します。人も物流が全部ダメになります。」
それが何を意味するのか漠然としたものしか麻相は想像できなかった。
「トンネルでなければいいけど。トンネルまでは・・・・遠かったね。歩いていけないか。」
「ここからだと朝日トンネルまでは自転車で30分。西の丸山トンネルまでは50分くらいですね。」
「青田市って狭いようで広いよねえ。歩いていくのは辛いかな。今晩にでも様子を見に行ってみよう。」
田端はしばらく黙りこんだのちに話だした。
「トンネルを爆破したとして、通信も物流も潰して何がやりたいのかな?
青田市を占拠するのに反社勢力を何人も動員したとして人数分の食料をどうするつもりなんだろか?
食料を持ち込んだとしても限りはある。
スーパー、コンビニから略奪したところで量は知れてる。
自分で自分の首絞めてることに気がつかないのかな?」
田端の言い分はもっともだった。
暴漢たちは先々の事までを考えているとは思えい。
その場かぎりの対処で事を済ませようとするのは不良グループの常だ。
そんな愚かしい行為の連続と関わりがあった自分を麻相は恥ずかしく思った。
「たとえば、ですけど。」
麻相は断りをつけた。
「人質と引き換えに警察に食料を差し入れるように要求できますよね。」
田端はしばらく考え込んでいた。
「大昔、銀行で立て籠り事件があった。
食事の差し入れを犯人の要求に応じてやったけど。
たいがいの場合、そこに隙が生れて犯人逮捕のきっかけになってる。
それを知っているなら要求はしないよ。」
「隙?」
「内部の事情や人質と犯人の人数を把握できれば
催涙弾をどこに撃ち込むと有効か、強行突入するタイミングも判断しやすくなるよ。
差し入れに薬を入れてトイレを近くしたり睡眠薬を入れたりすることもできる。
人にとって食事とトイレと寝てる時間が一番無防備だからね。」
その説明に納得はしたが実際に暴挙に出たあの連中をどうするのか想像ができなかった。
「連中が短期決戦を考えているとしても食べ物の手配は大事だよ。」
二人の話し声だけが静かな裏路地にあった。
民家が連なるだけの普段とは違う風景だった。
「この通りにコンビニやスーパーはないのかな?」
「車一台が通れるだけですから店はないですよ。気になりますか?」
「防犯カメラが付いているから店の前は通りたくないんだよ。」
「防犯カメラ?」
「この事件が終わったら、警察が現場検証をする。
事件が事件だけに国家公安委員会も出てくるだろうね。
徹底的に調べると思うよ。
防犯カメラの記録映像は提供を求められる。
誰が何をやっていたのかの証拠にするために必要だからね。
そんな証拠映像にそこにいるはずのない人物が映っていた。どうなると思う?」
「人物特定されます。探し出して職質、任意同行。」
「そうだよ。俺たちはいわばボランティア。事件解決のための露払いをしているだけ。
痛くもない腹を探られるのは嫌だからね。一旦拘束されると・・・・」
「警察の描くシナリオ通りの自白をするまで帰してもらえません。」
「誤解があるようだけど。ま、その通りだよ。もしかして経験者?」
田端の問いに麻相は頷いた。
「そういうことね。」
そこで区切りをいれ田端は追及してこなかった。
「住民のほとんどが避難してる。自由に歩き回れるのは連中の仲間だけだ。
俺も麻相君も下手をすれば連中と同じ扱いをされる。
この事件が解決しても警察から追われて普通の生活に戻れなくなるのも嫌だよ。
公安は警察よりも厳しいから、お互いに注意しよう。」
田端は諭すように聞かせた。
ドラマや映画では国家公安委員会の名称は出てくる。
一般人の麻相からすれば縁遠く実態が分からない団体に思えた。
「今の段階では全体像がわかってないけど、これはクーデターだよ。
武器と爆弾を準備してるから今までの常識が通用しない。」
クーデターと聞いて麻相は2.26事件を思いだした。
日本史におけるクーデターは3つだと歴史の教師が熱弁をふるったの負覚えていた。
他国ではクーデターは時々起きているが日本では稀、穏当を是とする民族性のなせる業だと。
二人は白根町の保育園を目指した。
幼少の麻相が通った私設保育園だったが園児の減少で存続が危ぶまれていると麻相は聞いていた。
「お前ら、止まれ。」
後ろからいきなり声を掛けられた。
麻相も田端も首をすくめて立ち止まった。
「こっちを向け。」
威張り散らした口調に閉口しながらも振り返った。
グレーのツナギを着た男が銃を構えて二人を睨みつけていた。
「おいっ!手をあげろ、振り向くときはゆっくりだろっ!」
二人が想定した動きをしなかったために苛立っていた。
二人はゆっくりと手をあげた。
用心しながら来たつもりだった。
見落としたのかツナギの男が偶々通りがかったのかは分からなかった。
麻相はこの男に見覚えがあった。
高崎の配下、坂道市に住んでいる一年下の輩だが名前は憶えていない。
父親は暴力団構成員だと聞いていた。
この男もあの時に捕まっている。
おそらくは高崎の誘いに乗りクーデターに加わっている。
親子そろって反社会的勢力なのは相応しいと麻相は思った。
男は麻相の顔を見て怪訝そうにしていた。
それでも麻相が仲間だったことは憶えていないようだ。
「なにしてんだ?」
「電車乗れなくて、どうしようかとこいつと話してたとこです。」
田端は弁解がましく答えた。
「こっちへ来い。」
男が手招きをした。
田端はついていくよう麻相に目で合図を送った。
麻相は不安はあったが田端には策があると思えたので従った。
「まっすぐに歩け、おかしなことしたら撃つぞ。」
ふたりが横並びで歩き、その後ろから男が続いた。
銃口は前方に向けられどちらにも今すぐに発砲出来る姿勢だった。
「あのおお~人質ってたくさんいるんですか?」
田端は裏返った声で尋ねた。
「黙って歩け。」
「いや、そういわれましてもねえ、俺たちだけだと不安で不安で。
他にも居るならいいよなあああ~なんて、なあ、おい。」
麻相に同意を求めた。
「そ、そうだね。お、俺たちだけは嫌だよね。」
麻相も相槌を打った。
「今からどこへいくのでしょうかああ?」
裏返った声に加えてさらに気の抜けたような声音になっていた。
男は舌打ちをした。
「市民病院だっ。捕まったのはお前らだけのはずだ。」
「市民病院?」
「そうだ。」
「他に人質を収容している施設は?」
「ない。うるせえぞ、さっきから。」
「高校を占拠したそうですが、あれも人質をとるためで?」
「学校は営所にするためだ。高校生なんか必要ない。喋るな。」
「でもなんで青田高校ですか?」
麻相は黙っていることができずに聞いた。
「リーダーが指定したからだ。他になにも・・・・・お前、青田高校の?」
麻相の身なりは昨日と同じ、制服を着たままだった。
「リーダー?高崎のことか?」
麻相は怒気をはらんだ声音になった。
「あっ?おま、麻相とかいうの、お、まえ?」
男が銃口を麻相に向けた。
田端が振り返り銃身に手を伸ばした。
銃身を下から持ち上げようとしたが指からすり抜けた。
男はそれを予見していたようで銃身を引いていた。
「死にてえかっ!」
銃口を田端に向けようとした途端に男は仰向けに倒れた。
足元をすくわれたかのように転倒した。
はずみで銃爪が引かれ空に向けて発砲した。
男の意思とは無関係に指からライフル銃が剥がされ道路上を転がった。
男は突然のことに驚きと痛みで悲鳴をあげた。
田端は素早く男に馬乗りになると両手首を掴み動きを封じた。
「麻相君、縛るもんはあるかな?」
麻相は周囲を見回したが相応しいものが見当たらない。
麻相は制服をめくり上げるとベルトを引き抜いた。
回り込むと男の両手にベルトを巻き付けて拘束した。
男は痛みを訴えるだけで抵抗しなかった。
麻相の手際を見て田端は感心した。
「前にもやったことあるの?」
「高崎がレイプする時にやってたのを真似ただけです。」
麻相は淡々と答えた。
「ほお。高崎ってのは、相当なワルだなあ。」
相槌を打ちつつ男に視線を移し胸ぐらをつかんだ。
「なあっ!お前らの親玉は、リーダーはその高崎ってやつかあ?もっと上の奴が居るんだろ?」
今までの田端とは違うきつい口調で問い質した。
男は顔を背けて拒絶の意思を示した。
それと同時に男の足が妙な動きを始めたのが麻相の目に入った。
「田端さん!脚!蹴りに気を・・・・」
麻相が忠告しようとした途端、男の足は地面に貼りついたように動かなくなった。
「ぐ、グ、な、んだあ、う、ご、かねえ。」
「まだ、そんな元気があるのかな?
俺さあ、お前の頭をつぶすくらい簡単にできるよ。
やってみようか?」
そむけた顔のこめかみに掌を押し付けた。
「こんなクーデターもどきを起したんだ。
お前の様な兵隊の一人や二人、死んだってだ~れも気にしない。」
強烈な脅し文句だった。
男は顔を押さえつけられたままに悲壮感が漂う形相になっていた。
「仲間は何人いる?」
田端の問いかけは続いた。
「麻相君、こいつの足を抑えてくれるかな、力で。」
麻相はようやく気がついた。
田端はサイコキネシスで男の足を抑え込んでいた。
麻相は田端の背後へ回り込むと男の足に馬乗りになった。
脛に手をかざして気を込めた。
ーー手のひらで面を押し込むーー
麻相はそのようにイメージし続けた。
「できたかな?」
「たぶん。」
それを聞いた田端は小さくに息を吹き出した。
「おい、蹴りが得意ならやってみろ。」
田端は男を挑発した。
麻相は男の足を注視していた。
僅かに動いただけで足を振り上げることはなかった。
馬乗りになったとはいえ足も尻も男の脚とは接触していない。
力は十分に効いていると麻相は気を引き締めた。
田端が力を抜いているならば麻相の力だけだ。
「力を入れ過ぎて潰さないようにね。力加減が大事だよ。」
それを聞いて悪寒が走った。
この力は実感が伴わないため分かりにくい。
目に見えないために効果を確認しながらができないもどかしさを麻相は感じていた。
結果が出た時、見えた時には手遅れの状態だと麻相の心は張り詰めた。
「仲間が何人かを答えなければ、お前はここでおしまいだ。」
田端の問いかけに男は悶々とした表情をするだけで話そうとはしなかった。
田端が男に質問を続ける中、エンジン音が聞こえてきた。
徐々に近づいてきている。
それを聞いた男の顔はにやけていた。
「田端さん、あれ、バイクだ。ヤバい。」
銃声を聞いて仲間が探しに来たようだった。
騒音を轟かせていることからも普通のバイクでないことは明らかだ。
細い路地に入り込める、小回りも利くバイクの前では徒歩は逃げ切れない。
田端は立ち上がるとエンジン音の方向を確かめ右を指さした。
脇目もふらずに走り出し右の路地に入り込んだ。
出来るだけ直進しないコースを辿りたかった。
追尾を巻こうとしたが住宅街のためそうはいかない。
次第にエンジン音も近くなり直線路では後ろ姿が相手に見えているようだった。
寸前のところで曲がり角を折れてこちらの姿を見せないようにした。
機動力では叶わないためすぐに追いつかれる。
そして麻相はズボンとも格闘していた。
ベルトが無い、足の動きに釣られて引っ張られ腰から抜けるように下がっていく。
ストライドが生かせなければ速く走れない。
走りながらズボンを持ち上げていた。
いつもなら田端を置き去りに出来る速さがあるはずが足かせが効いていた。
曲がり角を度々曲がっても追跡してくるエンジン音に二人は焦り出した。
田端も息が上がり走るのが限界になってきていた。
目の前に町工場らしい建物と高さ3mほどのコンクリート塀が見えてきた。
田端は息を切らしつつ上を指さした。
田端の体は浮き上がりコンクリート塀を飛び越えて向こう側へ降りて行った。
急なことに麻相は対応しきれずコンクリート塀の真ん前で立ち止まった。
大きくなるエンジン音との競争だった。
心を鎮め深呼吸をした。
ーー下から身体を支える 足の下 持ち上がるーー
麻相は強くイメージをした。
麻相の体は浮き上がると4mほどの高さで停止した。
足は浮いている。
足元に何もない、見えていない不安感はあるが何かに押し上げられている感覚が絶えずある。
今この状態では目に見えている物よりも体で感じている方が確かだと麻相は思った。
町工場の塀の中に着地点を見つけた。
ーーあそこへ 行くーー
着地点にむかって体が押されている。
注視すると次第に速度を上げていき町工場の敷地内へ着地した。
田端はそこでも物陰に身を潜めて工場内に目を配っていた。
麻相が着地すると手招きをして身を隠すよう促した。
工場の外ではエンジン音が通過していった。
通過かと思えば引き返してきて塀のすぐ外で停車しては別の方向へ向っていく。
何度もそれを繰り替えしていた。
麻相たちを見失ったことが伺えた。
田端は事務所、表門、通用門を観察していた。
防犯カメラは表門に向けられている。
工場敷地の内側にむけては防犯カメラは無い。
事務所内の天井カメラがある。
事務所に人影がないことを確かめると建屋に背を持たせかけて大きく息を吐きだした。
田端は身をかがめるよう麻相にハンドサインを出した。
「これで、一息つける。」
荒い息を押し殺し耳をそばだてた。
エンジン音は町工場の周囲を何度も回り、しばらくすると遠ざかっていった。
「諦めた、かな。」
麻相も安心してその場に座り込んだ。
エンジン音は遠ざかるだけで戻ってくる様子はなかった。
息を整えた田端は麻相の肩を叩いた。
「やっぱ、君は筋がいいよ。」
笑顔で麻相を讃えた。
「俺が三年かかったことが一晩で出来た。
あとは心が乱れている時に同じように力が使えるのか。
力の調整ができるのかも試しておきたいね。
な~に、数をこなせば身につくよ。いやああ~~驚いた。」
後輩の成長を見守る先輩の心境なのだろうと麻相は推し量った。
むしろサッカー部における麻相と後輩たちの姿だと思えた。
ただし麻相は後輩たちの成長と躍進を快く思ったことはない。
田端はそんな気持ちにならないのかと麻相は気になった。
 




