おっぱいは浮かぶもの《森野林檎視点》
二年生の入部希望者という西園先輩は、何故か、浩史郎先輩にテニスを教えてもらいたいと要求し……。
「ああっ……! もう、ダメですわっ……」
カラーン!! パサッ!
突如、松平部長以上に、鬼コーチと化した浩史郎先輩に一際鋭いスマッシュを打ち込まれ西園先輩はラケットを取り落とし、膝をついた。
彼女のおさげを纏めていたリボンも解け、縦ロールの長い髪が風に靡く。
「分かったか! 俺にコーチしてもらうなんて、100年早いぞ!(もう限界だ! 後は他の奴に相手してもらってくれ!)」
「さ、里見様ぁっ!!」
浩史郎先輩は足早に去り、その後を西園先輩は名残り惜しそうな様子で見詰めていた。
お、おおっ! 傍から見ているとお蝶夫人と宗像コーチのような絵面。
にしても、浩史郎先輩。その突然のキャラ変は一体……??
私が圧倒されていると、その後、夢ちゃんが西園先輩に近付いて行き、声をかけていた。
「夢ちゃん、優しいね。 西園先輩を慰めてあげていたの?」
戻って来た夢ちゃんにそう言うと、呆れたような顔で否定されてしまった。
「も〜違うわよ! あの人は変装した西園寺先輩だから、悪さしないように牽制しただけ!」
「え、ええっ!? あの人西園寺先輩なのぉっ?? ハッ。でも、言われてみれば、確かに名前似てるし、語尾もちょいちょいお嬢様ぽくて怪しかったかも」
夢ちゃんに事態を説明され、私は驚いて目を白黒させ、西園先輩の言動を思い返し頷いた。
もしかして、浩史郎先輩が急にキャラ変したのは、西園寺先輩に怯えての事だった?
「そうでしょ? とにかくりんご、西園先輩もとい西園寺先輩には気を付けてなるべく二人一緒に行動するようにしましょう?」
「う、うん。分かったよ……」
夢ちゃんに注意され、私が神妙な顔で頷くと、更に浩史郎先輩や、他の部員にも気をつけるように言われた。
夢ちゃんからしたら、保護するべき子供のように思われているみたいでちょっと笑ってしまった。
「心配してくれてありがと! でも、夢ちゃん以外でよく関わっているのは、熱血にテニスを教えようとする松平先輩と優しい七瀬先輩ぐらいだから大丈夫だよ?」
「まぁね。今のところ西園寺先輩にさえ気をつければ、心配する事はないと思うのだけど……」
まだ心配そうな夢ちゃんに、浩史郎先輩が戻って来ないかチラチラ様子を窺っている西園(西園寺)先輩を見遣って私は思ったままを言った。
「その西園寺先輩も、合宿に潜り込んだ目的は浩史郎先輩と少しでも近くにからじゃないかな? 取り巻きの人達もいないし、私達には見向きもしてないもん」
「今のところはそう見えるけどね……。お風呂や食事の時は特に、彼女が悪さしないか気をつけないと……」
夢ちゃんはそう言ったのだけど、その後、警戒していた西園(西園寺)先輩は生理でシャワー室を使う事になり、私達とは別行動だったので、取り敢えずお風呂は安心して入れる事になったのだった。
✽
かぽ〜ん!
ふわん✕2。ふわわん✕2。
練習後の、お風呂タイム。
湯船の中にグレープフルーツ大とメロン大の半球が二つずつ浮いていた。
「はわわ……! 夢ちゃんも七瀬先輩もおっきー!///」
「本当だ〜! 宇多川さんはD、七瀬先輩はFカップってところかな?」
「羨ましい〜!」
感心して、思わず声に出てしまったせいぜい柿大(浮かばない)の私の声に、スレンダーボディな部員さん達の声が続き、夢ちゃんと七瀬先輩はきまり悪そうに胸を隠した。
「やだわ、りんごも皆さんも……// こんなの運動する時に不便だし、小さい方がいいじゃないですか」
「そうそう! 運動する時に揺れるの嫌だよね〜、皆もあんまり見ないでね?//」
「大きい胸にそんな悩みがあったとは……! 今度、簡単に大きいのがいいとか言っちゃダメだって、言っときます」
浩史郎先輩に……!
と、巨乳好き筆頭の人を思い浮かべてウンウン頷いていると……。
「え? 誰に?」
「えっ。そ、それは、あのぅ……」
七瀬先輩に追及され、私はしまったと思った。つい口に出してしまったけど、爽やかイケメンで売っている浩史郎先輩が大きいおっぱい大好きマンと知れたら、イメージダウンしてしまうかも……。
これから浩史郎先輩は恋人を見つけて行かなきゃいけないのに、女子の評判が下がるのは大変マズイ。
口ごもっている私の代わりに、夢ちゃんが後を継いだ。
「ああ! 「巨乳好き」の里見先輩には、確かに一言言ってあげた方がいいかもしれないわね」
「ゆ、夢ちゃん?!」
あっさり言っちゃった?
「え。里見くん、巨乳好きなの?//↑」
「「え。里見くん、巨乳がいいんだぁ……↓」」
あれれ? 反応が思ってたんと違う……??
七瀬先輩は嬉しそうに、そして他の女子部員はがっかりした顔をしたので、てっきり女子に非難轟々になると思っていた私は目を瞬かせた。
これは、もしかして、女子部員全員、浩史郎先輩に好意を抱いているパターンでは……?
「でも、里見くんの歴代彼女才色兼備の人ばかりで、ただ胸が大きいだけじゃダメだろうなぁ……」
バシャッ!
「っ……! そんな事ないと思います!!」
ため息をつく七瀬先輩に、私は湯船で立ち上がり、以前猫カフェで聴取した里見先輩の恋愛感を交え、拳を握って力説した。
「浩史郎先輩は人柄重視で人を好きになりたいって言ってたし、七瀬先輩は理想のタイプだと思います!」
「え、ええ〜?// でも、最近は三人で行動する事が多いみたいだし、里見くん、私なんかより、あなた達の方が可能性あるんじゃない?」
「あり得ません! 飼い主とペットの猫……、いえ、ただの先輩後輩の間柄です」
「あり得ません! 駆除者と害虫……、もとい、敵対している間柄です」
私と夢ちゃんが、ぷるぷると首を振ると、七瀬先輩は赤く染まった頬に手を当てた。
「そうなんだぁ……。じゃあ、ダメ元でアプローチしてみようかな? 森野さん、背中押してくれてありがと!」
ふにょにょん♡
「あふんっ……!///」
七瀬先輩に抱き着かれ、ふわふわおっぱいを押し付けられた私は、思わず変な声が出てしまった……。
こ、この柔らかさはすごいっ!!
浩史郎先輩の気持ちが分かってしまうっ……!!
*あとがき*
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