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許嫁=猫…ではない  作者: 東音


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闖入者に引き起こされた修羅場

「浩史郎先輩、大丈夫ですか〜? 気晴らしに、「雪」とか「犬のおまわ◯さん」とか歌でも歌いましょうか〜?」


「なんでその選曲なんだよ。大丈夫だし恥ずかしいから、いいよ」


 体を洗い終わり、湯船に体を横たえた状態で俺はりんごに話しかけられ、俺は苦笑いをした。


「にしても、君と二人でアホな話するのも久々のような気がするな……」


「ああ。シェアハウスに管理人の杉田さんや、夢ちゃん、黒川さんも来てくれてから賑やかでしたからね……。それはそれでとっても楽しいですけど、今、浩史郎先輩と二人で話せてすっごく嬉しいです」


「……!// そ、そうかぁ? りんごは宇多川さえいたら俺なんか居ても居なくても同じじゃないのか? 

 風紀委員の査察をやり過ごせたのも、ほとんど宇多川のおかげで、俺なんかジゴロ接客でトラウマ発症してまた迷惑かけてるだけだし、そう思われても仕方ないが……」


 声を弾ませてそんな事を言ってくれるりんごにドキッとしながらも、つい捻くれたような言い方をしてしまうと……。


「そんな事ありませんっ! あっ…… !// すみません」


 りんごは振り向きざま、きっぱりと否定し、磨りガラス越しに浴室の中を覗いてしまった事に気付くとまたすぐに向こうを向いた。


「こ、浩史郎先輩が頑張ってジゴロ接客してくれたおかげで、夢ちゃんに邪な計画を阻止されても、西園寺先輩達にある程度の満足感を持って大人しく帰ってもらえたんですよ?

 迷惑なんてとんでもない。弱っている時に私に出来る事があるなら、私は嬉しいです! 逆に、浩史郎先輩が完璧過ぎると私は入り込めなくて……、さ、寂しいというか……」


「りんご……」


 俺は言葉に詰まりながら珍しく素直に好意を伝えてくれるりんごに目を見張っていると……。


 カサカサッ! チョンッ!


「ん?」


 ふと見ると、茶色っぽく細長い生き物が目の前の壁に張り付いていて、俺の肩に吸盤のような足を下ろそうとしていて、俺は目を丸くした。


「うわぁっ!! なんだ、コレ!! あっ!!」

 ザバッ! ドガーン!!

「ぐわっ!!」


 驚き、避けようと動いた時、バランスを崩して俺は湯船から浴室の床に転がり落ちた。


「!!? どうしたんですか、浩史郎先輩っ!!」


 ガラガラッ!

「あっ……!//」

「……!//」


 脱衣場から駆け付けたりんごは、俺が裸で床に転げているのを見て、真っ赤になり目を逸らした。


 くそっ! 全部見られた!//


 慌ててタオルで前を隠しながら、りんごに状況を説明する。


「何かイモリかヤモリみたいな奴が入り込んだみたいで……」


「! あっ。そこにいますね!」

「ひぃっ!||||||||」


 りんごが指差した方向→シャンプーラックの裏にさっきの茶色い生き物が隠れているのを発見し、俺は再び悲鳴を上げる。


 俺は、両生類や爬虫類、見た目がグロテスクでヌラヌラしている生き物が大の苦手だった。


「私に任せて! ハァッ!」

 ザバッ!! ドバシャッ!!


 りんごは洗面器で湯船のお湯を掬うと、ラックの裏側にぶちまけ……。


 ザザッ……! ガシッ!


 排水溝に流されていくその生き物を両手で素早く捕獲した。


「おおっ、ヤモリですかね……? つぶらな瞳で可愛い……✧✧ ど、どうしましょう? 飼います?」

「ひっ! やめてくれ!」


 ギョロッとした瞳をこちらに向けるその生き物に、りんごは心を掴まれたらしく、キラキラした瞳で窺って来たが、俺は断固拒否した。


「残念! さよなら、ヤモリちゃん……」


 ガラガラッ! ペッ。カサカサカサ……!


 りんごが浴室の窓を開け、ヤモリを放つと、奴は、凄い勢いで壁を伝って逃げて行った。


「浩史郎先輩、もう大丈夫ですよ?」

「す、すまない、助かった。小さい頃からああいう生き物は、苦手なんだ……」


 そう言ってピカピカの笑顔で振り向くりんごは天使に見え、俺はホッとして、いつの間にか縋るように彼女の腰に手を回してしまったが……。


 ダダダダッ! ガチャッ!


「りんご、大丈夫っ!? !!||||||||」


「「!!」」


 突然脱衣場のドアを開け、開きっぱなしの浴室に飛び込んできたのは宇多川で、

 彼女は、俺とりんごの姿を目にして蒼白になった。


 まずい。


 宇多川からしたら、腰にタオルを巻いただけの裸の俺がりんごに覆い被さるように抱き着いているこの場面、俺がりんごを襲っているように見えただろう。


「う、宇多川……。これは違うんだ! ヤモリが……!」

「ゆ、夢ちゃん、そうなの。ヤモリが……!」


「りんご、庇う必要ないわ! ヤリ◯ン男め、今すぐ殺してやるっっ!!」


「うわっ! やめろ、宇多川!!」

「やめて! 夢ちゃん!!」


 ダダダダッ!✕2 ガチャッ


「どうかしましたか!?」

「どうかしたの!?」


「「「……!」」」


 鬼の形相で掴みかかってくる宇多川を裸の俺とずぶ濡れのりんごが必死に止めているところへ、黒川さんと杉田さんも駆けつけ………。


「「こ、これは……、修羅場ですね……!」」


 その場に凍り付き、見事なカオス状態となったのだった……。


*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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