磨りガラス越しの見守り
西園寺に盗撮を仕掛けられたトラウマで、脱衣場で服を脱げなくなってしまった俺に、「私がどんな事でもして力になるから|!」と宣ったりんご。
え? まさか、色仕掛けとか……?
『浩史郎先輩。飼い猫の私が脱衣のお手伝いしますから、一緒にお風呂入りましょう? ニャンニャン♡』
バサッ! バサッバサッ!
『だ、駄目だ。りんご、階下には宇多川や黒川さん、杉田さんもいるのに……。あっ、パンツまで、そんなっ……!』
『あらら、とんだ暴れん坊将軍な飼い主様ですね?』
「ぐふっ……!」
りんごに服を脱がされる妄想で鼻血を吹きそうになっていると……。
「大丈夫ですか? 浩史郎先輩。ここ(脱衣場)はトラウマを発症してしまうので、さささっ、浴室へどうぞ!」
「え、うわ、りんご?」
背中を押され、浴室に押し込まれ、俺が戸惑っていると、りんごは着替えの籠を湯船の蓋の上に置き、ニッコリと笑った。
「脱衣場でなく、浴室で脱ぎ着すればいいんじゃないでしょうか? ちょっとトライしてみて下さい!」
「はあ?」
「何かあったら言って下さい。じゃ!」
ガラガラッ!
りんごはそう言うなり、浴室の戸を閉める。
「いや………、あのなぁ」
浴室に取り残されて、俺は呆れ笑いを浮かべた。
まぁ、りんごの事だから、妄想みたいな事はないと分かってはいたが、脱衣場で脱げないなら浴室でって、そういう問題なのか?
しかし、りんごの突飛な行動で、西園寺へのトラウマが薄れたのか、試しに靴下を脱いでみたら、なんとかいけそうだった。
「おいっ……。りんご、脱ぐのは大丈夫そうだ」
浴室の磨りガラスの戸越しに(流石に遠慮したのかこちらに背を向けて座っているらしい)りんごに呼び掛けると、彼女は明るい声を出した。
「本当ですか? よかったぁぁっ! 怖いでしょうから、浩史郎先輩が風呂に入ってる間、私はここ(脱衣場)にいてあげますからねっ?」
「なぁ……。それ、怖い話聞いて、トイレ行けなくなった小さい子への対応なんじゃ……」
「ギクリ! ハハッ。まさかぁ……! いーちゃんやかっくんにいつもやってあげているからこういった対応に慣れてるって訳じゃないんですよ?」
「……」
ドアに映る人影がビクッと動いて焦っているのにジト目を向けると、俺はため息をついた。
全く子供扱いなんだよなぁ……。
ドアを隔てて裸で風呂に入ろうとしてる男がいるのに、普通付き添おうとするか?
まぁ、力になろうとしてくれるのは有難いし、二人でいられる時間を堪能するかと気持ちを切り替える事にして、残りの服を全て脱いだ。
*あとがき*
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