風紀委員の査察 ⑤ 〜夢ちゃんのうっかり?〜
✽まえがき✽
この話において、未成年の飲酒について描写されていますが、法律、法令、道徳に反する行為を容認、推奨するものではありません。
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「森野さんは、宇多川さんと百合百合していて、里見様とはほとんど接触がない筈ですわよね〜?
それなのに、里見様のお部屋にな〜ぜ森野さんの髪の毛が落ちてるのかしら〜?
説明して下さる?」
「友田も怪しいと思います! きちんとした釈明を求めます!」
「なお、この桜井がこの模様はカメラにもバッチリ記録していますからね〜!」
「はわ、はわわ……!||||||||」
メデューサのように縦ロールの髪をうねらせて私を睨み付けて迫って来る西園寺先輩、私に厳しい表情で人差し指を突き付けるおさげ髪の友田先輩、携帯のビデオカメラ画面を向けてくる桜井先輩を前に、私が石のように固まり怯えていると……。
「(りんご、落ち着いて。向こうはカマかけているだけかもしれないわ。私に策があるから、なんとかもう少しだけ誤魔化して持ちこたえて)」
「(夢ちゃん……!)」
隣から夢ちゃんにひそっと勇気付けられ、私はハッとした。
そうだ。私は一人で査察を受けている訳じゃない。浩史郎先輩が接待を頑張ってくれて、夢ちゃんが側についてくれる。
シェアハウスでの生活を守る為に私も頑張らなければ……!
各自個室は査察前に念入りに掃除した筈。それなのに、浩史郎先輩の部屋に私の髪の毛が落ちていたというのは、夢ちゃんの言う通り、風紀委員がカマをかけるため画策した事かもしれないのだ。
心配げに私を見守る夢ちゃんに頷き、「(ありがとう。もう大丈夫だよ)」と目で語ると、西園寺先輩達に毅然と向き直って答えた。
「さあ? 説明をと言われましても私には身に覚えのない事でさっぱり分かりません。浩史郎先輩が共同部分で過ごした時にたまたまついて、持ち込まれてしまったのではないでしょうか?」
「むむっ。しらばっくれるおつもり? 図々しいあなたの事だから、一度ぐらい里見様のお部屋に行ってるでしょ?」
「行ってません!」
「あの眉目秀麗な里見様のお部屋ですよ?密かに覗いたりしたでしょう?」
「してません!」
「匂いを嗅いだり、カメラで撮ったりしたでしょう?」
「だから、してませんって!」
私の答えに納得が行かないのか、西園寺先輩、友田先輩、桜井先輩に代わる代わる詰問して来たけど、私は全て否定して、最後はキレ気味になっていた。
「そんなに言うなんて、浩史郎先輩の部屋に行きたいのも、覗きたいのも、匂いを嗅いだり、カメラで撮りたいのも、実は西園寺先輩方の願望なんじゃないですかっ!」
「「「当然で(ございま)しょう!!」」」
「ええっ?」
「!」
逆に、指摘するとあっさりと三人は認めて来たので私も夢ちゃんも目を剥いた。
「私がシェアハウスの住人だったら、里見様のお部屋に突撃訪問するに決まってます! 寧ろ、毎晩夜這いしますわ〜!!」
「私がシェアハウスの住人だったら、里見くんの後をついて回り匂いを嗅ぎまくります!」
「私がシェアハウスの住人だったら、里見くんの美しい姿を毎日盗撮しまくります!」
「はわわ……! 風紀委員幹部の皆さん、心の声がダダ漏れている……||||||||」
「おぞましい欲望ね〜|||||||| しかも、あの、里見先輩相手に……ゾッとするわ」
私と夢ちゃんは欲望大解放状態になった風紀委員会を前に青褪めた顔を見合わせた。
「ヒック。だから、適当に難癖をつけて、今の住民である森野林檎を追い出そうとしたのですわ〜! オーホホホ!」
「ヒック。ええ。森野林檎なら、実家も太くないし、押せばすぐボロを出しそうでしたしね〜! プークスクス!」
「ヒック。その上、森野林檎がここを出れば、百合百合している宇多川夢も退去するでしょうし、その分私達がシェアハウスに潜り込めば、万事オッケー! アヒャヒャヒャ!」
「はうっ……!☠ そんな画策が! 例によって全部自らバラしちゃっている! それに、皆さんの様子がおかしいような……?」
フラフラと真っ赤な顔で、笑いこける風紀委員会幹部の姿に私が目をパチクリさせていると……。
「あーーっ!」
夢ちゃんがテーブルに出していたチョコの箱を手に、突然大声を出した。
「いっけなぁい! そのチョコ、僅かですが、アルコールが入っていたみたい。 皆さん、ごめんなさぁい! 大丈夫ですか?」
「ええっ?」
夢ちゃんに可愛らしくテヘペロしながら謝られ、私が驚いていると……。
「「「私達、アルコールパッチテストでお酒に対する耐性が激弱でしたわ〜」」」
ぐらぁっ……。バタッ。
グガーッ!
風紀委員会幹部の三人は目がぐるぐるの状態で身体を大きく傾けたかと思うと、テーブルに上半身を突っ伏し、寝始めてしまったのだった……。
*あとがき*
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