突然の百合宣言
「宇多川夢と申します。夏休みの間、こちらのシェアハウスでお世話になります。どうぞよろしくお願いします」
「夢お嬢様の警護をさせて頂きます黒川と申します。お嬢様の滞在中は、私もこちらでご厄介になります。どうぞよろしくお願い致します」
大喜びのりんごと微妙な表情の俺に迎えられた上品なワンピース姿の宇多川&SPの黒川さんは、リビングで、シェアハウスの管理人の杉田さんに揃って頭を下げた。
「あら、そうなのね? 宇多川夢さん、警護の黒川さん、こちらこそよろしくお願いしますね。
宇多川財閥のお嬢様でいらっしゃるそうだけど、ここでは、他のルームメイトと同じ対応をさせて頂くということで構わなかったかしら?」
「ええ! 特別扱いは一切無しで、ルームメイトとしてやるべき事は何でもやらせて下さい」
杉田さんに確認されると、ハーフアップの長い黒髪を揺らし、宇多川は大きく頷き、りんごにも生き生きとした笑顔を向けた。
「りんご。シェアハウスの事、色々教えてね?」
「もちろんだよ! 夢ちゃん〜。と言っても、改装後の施設は私も知らない部分があるんだけどね?」
宇多川の同居を待ち望んでいたりんごはいたずらっぽい笑顔を見せる。
それから宇多川&黒川さんは部屋に荷物を置き行って、またこちらに戻ってくる事になった。
「夢ちゃん、そこが、女子用の風呂場と洗面所。改装して、男子用のを2階に作ったんだって?」
「そうなの? よかった。あのケダモノのような男が入ってくる心配はないって事ね? 前はお風呂、一つだったんでしょ? りんご、大丈夫? 覗かれたりしてない?」
「そんな事、されてないよ〜//」
部屋に向かう途中、りんごが宇多川に施設を案内しているやり取りが聞こえて来て、俺は憮然とした顔になった。
「チッ。宇多川め、人を変質者か何かのように言うなよ……」
風呂は覗いた事がないが、森野が妹弟とビニールプールで遊んでいる時に、事故とは言え、裸の胸を見てしまった事があるので、あまり強くは言えないが……。
「宇多川さんと森野さんはとっても仲がよろしいのね〜。
ふふっ。恋より友情なお年頃かしら?
里見くん、頑張って? 応援していますよ」
「ええ?」
杉田さんにニヨニヨとそんな事を言われ、目を剥いていると……。
「ああ、里見様、りんご様との仲にご苦労されているんですか」
「へっ?」
キャリーケースを置きに行った黒川さんが、いつの間にか戻って来ていたらしく、鉄面皮の顔に僅かに微笑を浮かべて後ろに立っていた。
「お嬢様の警護が最優先にはなりますが、黒川も陰ながら応援させて頂きますね?」
「黒川さんまで!」
杉田さんに黒川さん、強力な味方が得られたのか、からかわれているだけなのか判断つきかねる俺は、ただ気まずい笑みを浮かべるしかなかった。
更には、それから少しして、宇多川とりんごがリビングに戻って来て、開口一番に言った事は……。
「皆さん。考えたんですが、シェアハウスで、私とりんごは暫く百合関係で通そうと思います」
「はい。思います」
「あ?」
「まぁ!」
「お嬢様?!」
にこやかに二人の女子(許嫁含む)に百合宣言をされ、俺、杉田さん、黒川さんは目を剥き、とんだカオス状態になっていた……。
*あとがき*
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