番外編 疑惑の浩史郎②《森野林檎視点》
夏休み前の休日――。
浩史郎先輩が提案してくれたおかげで、風邪を引いてしまったお父さんと看病しているお母さんに代わって、いーちゃん、かっくんと約束した映画に連れて行ける事になった。
しかも、いーちゃん、かっくんはそれぞれ見たい映画が違うので、浩史郎先輩はかっくんを完全にお預けして、仮面◯イダーの映画を見てもらう事に……!
家プールに引き続き、休日に妹弟の用事に付き合わせてしまって、浩史郎先輩に有難くも申し訳ないなという気持ちでいた。
けれど、映画を観終わった後皆で食べに行ったメックバーガーでは……。
「いやぁ、ド派手なラストだったなぁ……! けど、主人公の親友◯イダーが異空間に取り残されてしまったのは、あのままでよかったのか?」
「ああ。あれは、ネコネコ動画に配信される話で解決するらしいよ?」
「そうなのか? それって有料配信じゃないのか? 世知辛いな……」
「お兄さんとかっくん、ずっと◯イダーの話で持ちきりだね……」
「ね……?」
映画館から帰って来たかっくんと浩史郎先輩は、思いの他意気投合していて、私といーちゃんはクスクス笑って顔を見合わせた。
かっくんはもちろん、浩史郎先輩も結構仮面◯イダーに嵌っちゃったみたいで、楽しかったならよかった。
浩史郎先輩には、何かお礼をしなきゃいけないなぁ。
なんて思っていたのだけど、この後、浩史郎先輩に対して恐しい疑惑を抱く事になろうとは、この時は考えもしなかった……。
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その後、改装工事について相談の電話が入り、業者さんと立ち会う為、すぐに浩史郎先輩はシェアハウスに戻らなければならなくなり、私はいーちゃん、かっくんを家まで送る事になった。
実家では、お母さんから大層感謝され、浩史郎くんと食べてくれとお土産を渡された。
そうして、私が大量のお土産を手にシェアハウスに戻った時、家はひっそりしていて、どうやら業者の人はもう帰ったようだった。
浩史郎先輩は、上で勉強でもしているんだろうな。貰ったお土産を差し入れしようか?
私はお土産のお菓子とコーヒーの載ったトレーを持ってソロリソロリと階段を上がり、2階の浩史郎先輩の部屋の前でノックをしようとした時……。
「ハハッ。ランドセル背負ってこの目つき! 写真でも生意気そうだな」
「?!」
ドア越しに、浩史郎先輩の上機嫌な声が聞こえ、私は固まった。
え──?
ランドセル? 写真って何??
「小学生相手にニヨニヨして俺は変態かよ!
けど、柿人くんには感謝しなくちゃな……」
しょ、小学生相手にニヨニヨ……??
変態……?!
浩史郎先輩は、年上の巨乳の女の人が好きなんじゃなかったの?
かっくんには感謝ってどう言う事っ!?
「ハッ。もしや……」
浩史郎先輩は、初恋の叔母さんにトラウマを植え付けられ、二股した彼女達とは破局し、つい先日は、猫カフェのスタッフのお姉さんにも失恋したばかり。
大人の女性に懲りて、小さい子に走るようになってしまったとか?
小さい女の子というと、い、いーちゃん? いや、でも、今日は一緒にいたけど、興味があるよう絡み方はしていなかったよね?
どちらかと言えば、かっくんの方が仲良くなっていたような……。
ハッ! もしかして、もはや 小さい男の子でもアリって事?
私がいーちゃん、かっくんと接触する機会を作ってしまったせいで、浩史郎先輩の禁断の扉を開いてしまったんだとしたらどうしようっ!?
「この水着姿も色気ないな〜。だが、それがいい!」
……!!!||||||||
この前プール入った時、確か浩史郎先輩にいーちゃん、かっくんのお着替えの世話まで頼んでっ……!
「(ああっ……! ああああっ!!) 」
頭をガンガン殴られるような衝撃を感じ、私はヘナヘナとその場にへたり込んだのだった。
*あとがき*
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