自信のない俺 自信たっぷりのりんご母
「ああ、いたいた!りんごーっ。浩史郎くんーっ。」
花火大会が終わって、程なくしてりんご母が俺達を見つけてこちらに手を振ってこちらに駆けてきた。
「あっ。もう、お母さん!急に来れないって言うからビックリしたよ。」
「ごめんごめん…。いろんなお店あって夢中で回っていたら、ちょっと遠くまで行き過ぎちゃってね。人も多いし、戻れなくて。」
ぷりぷり文句を言っているりんごに、手を合わせて謝りつつ、りんご母は俺達を交互に見ながら意味有りげな笑みを浮かべて来た。
「でも〜、花火は浩史郎くんとゆっくり見れたんでしょ〜?ふふふっ…。」
「そ、そりゃ、見れたは見れたけど、何その笑い…。」
りんごがちょっと怯むように答えていると…。
「りんごー。浩史郎ー。」
「りんごちゃんー。お兄ちゃんー。」
「おー。合流出来てよかった。2人共走るなよー。」
それぞれ仮面◯イダーとアイ◯ツのお面をつけ、水風船を指にはめた双子の弟、妹も駆け寄って来て、その大分後ろを屋台の食べ物や、お菓子、おもちゃの景品やら、山程持たされているりんご父がヨタヨタと歩いて来た。
「うわぁ。いーちゃん、かっくん、あれからもいっぱい買ってもらったんだねー。」
「ハハッ。キャラクターグッズを売ってるお店があってね、2人共そこから動かなくなっちゃったんだよ…。」
「私、◯リキュアの文具セット買ってもらった!」
「俺なんか、ウルトラ◯ンオメガの人形買ってもらったんだぞ!」
「おー。すごいじゃん!」
りんごがりんご父、弟、妹とやり取りしている間、りんご母は俺に耳打ちして来た。
「(浩史郎くん。どう?どう?りんごと二人きりで少しは進展あった?)」
「(その節はご協力ありがとうございます!出来る限りは頑張ってアプローチしたつもりですが、どこまでりんごに響いているのかは…。あんまり、やり過ぎて、シェアハウスに戻りたくないって言われても困りますし…。)」
俺が苦笑いしていると、りんご母はカラカラと笑ってそれを否定した。
「まっさか!あの子がシェアハウスに戻りたくないなんて言うわけないわよ。」
「や、でも、りんごはご家族大好きですし、やっぱり居心地がいいから、実家を離れたくないって言われてもおかしくはないかと…。」
「はは…。まぁ、りんごもあんなんだから、分かりにくいかもしれないけどね…。ちゃんと変わっては来ていると思うのよ?嘘だと思うなら、シェアハウスに戻ってから、あの子のお土産の量見てみて?」
「お土産…??」
自身のない俺にりんご母は自信たっぷりにそんな不可解な言葉をかけたのだった。




