夏祭りのミッション
「おい、浩史郎。あの仮面◯イダーDXのベイブレー◯取ってくれよ!」
「お兄ちゃん、私は、アイ◯ツの新メンバー、ナルちゃんの人形がいい!」
「ちょっと厳しい位置にあるけど狙ってみるよ。」
ぱすっ!ガタンッ!!
ぽすっ!ガタンッ!!
「「わあぁっ…!!」」
りんごの弟の柿人くん、妹の苺ちゃんにせがまれ、射的で目当てのおもちゃを倒すと二人は歓声を上げた。
「兄ちゃん、いい腕してんね〜!ハイ、お嬢ちゃん、坊っちゃん、景品!」
「「やったぁ!!ありがとう!浩史郎(お兄ちゃん)、すげー!!(すごーい!!)」」
射的コーナーの係のおじさんは、景品を落とすと欲しがっていた柿人くん、苺ちゃんそれぞれに直接渡してくれ、二人は目を輝かせて俺に礼を言って来た。
「いや。これぐらい何てことないさ✨✨いつでも言ってくれよ。」
俺は涼しい顔でそう言ったが、こういうのが得意分野というわけではなく、昨日ネットでチラッと見たコツを思い出しながら、無事景品を取ることが出来て内心ホッとしていた。
「毎年りんごが張りきって取ってやるって言うんだけど、取れた試しがなかったんだよな〜。」
「りんごちゃん、一生懸命やってくれるんだけど、盛大に狙いを外すのよね〜。」
「ぐすん…。浩史郎先輩が優秀なせいで
姉の評価が更に大暴落…。」
射的が苦手らしいりんごは涙ぐんでいる。
りんごの好感度を上げる為に弟妹の機嫌を取っていたのに、却って好感度を下げてしまったようで、慌てて俺は声をかけた。
「い、いや、慎重に狙いを定めればそんなに難しくないよ。りんごもやってみ…」
「そうなのかい?浩史郎くん、僕に射的を教えてもらえるかな?」
「えっ。は、はい。もちろん。」
俺の発言を遮るように、りんご父ににこやかに頼まれてしまい思わずそう返事をしてしまった。
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「えっと…。まずは体がブレないように、両肘を台の上に置いて、腋を締めて…。」
「こ、こうかい?」
「は、はい…。ここに頬を付け、ゆっくりと狙いを定めて…利き手とは反対の手で引き金を…」
そして、俺は何故かりんご父と身を寄せ合うようにして射的のレクチャーをする羽目になっていた。
ボスッ!ガタン。
「おおっ!プ◯ッツ取れた!射的で成功したの、初めてだよ!君は本当にすごいな、浩史郎くん。」
「よかったですね!いえ、おじさんの実力ですよ!」
手を取り合って喜ぶりんご父と俺を見て、りんごはジト目で俺を見ていた。
「ああ、お父さんの信頼まで秒で獲得してしまった。私のお父さんなのに…。」
「な、何だよ。その目は…。」
ますますりんごから謎の敵意を向けられ、俺が戸惑っていると、りんご母が間に入った。
「ったく、あんたは!浩史郎くんがせっかく色々やってくれてるのに、何を対抗心を燃やしているの!」
「てっ。」
りんごは、母親に小さなうちわでポスッと軽く頭を叩かれていた。
「ホラ、花火が始まる前に、屋台飯確保さしとかなきゃいけないから、今から手分けして、買いに行きましょ。
りんごと浩史郎くんは、これに書いてあるものを全部買ってきてくれる?」
りんご母は、そう言って、さっきりんごを叩いたうちわを俺達に差し出して来た。
白いうちわには黒いマジックで屋台メニューが買い物メモのように書き込まれていた。
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焼きそば2個
りんご飴2個
かき氷2個
ベビーカステラ2袋
※はぐれたら大変だから、浩史郎くんと一緒に行動してね。
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「…!」
早速りんごと二人にしてくれようとしている事に気付き、りんご母を見ると、向こうはりんごに気付かれないように目配せをして来たので、俺もりんごに気付かれないように、そっと感謝のポーズを取った。
「え。手分けして買いに行くのに、全部2個ずつ?皆の人数分買わなくていいの?」
全く気付かないりんごは不思議そうに首を傾げている。
「少しずつ買って皆でシェアするのよ。」
「え。でも、かき氷は味の好みあるし、人数分いるんじゃ…。溶けちゃうし。」
「そうね。まぁかき氷とかりんご飴はあなた達で食べちゃっていいわよ。他にも欲しいものあったら、随時買っていいからね?
ゆっくり時間をかけて全部買い終わったら、毎年花火を見ている場所に集合ね?じゃ、解散〜。」
「ええ?えええ??ちょっと?」
「りんご、浩史郎くんまた後でね。」
「またな、りんご、浩史郎。」
「りんごちゃん、お兄ちゃん、ごゆっくり〜♡」
りんごが戸惑っている内に、パンパンと手を叩いてその場を仕切るりんご母に、連れられて、他の家族も俺達に手を振りながら去って行った。
「???」
今一状況を把握し切れていないりんごに、俺は緩みそうになる頬を必死に引き締めながら、呼びかけた。
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