浩史郎失恋?
隣のビルのカフェにいるりんごと間抜けなやり取りをしているところへ…。
「お客さん、彼女さんと連絡取れました?」
りんごいわく、「巨乳、年上、優しい」の三拍子揃ったスタッフさん(ネームプレートには槇村と書かれていた。)はゆさゆさ揺れる果実を震わせながら、俺に近寄り、心配そうに声をかけてきた。
「え、ええ、まぁ…。」
向こうのカフェにいるりんごは、スタッフに気づくと、慌ててこちらに背を向け、お水を飲もうとして、盛大に咳き込んでいた。
変なサングラスで変装している上、挙動不審な行動で余計に目立っているのを横目に見ながら、俺は深いため息をついた。
「やはり、先に店を出ていました。あいつは一体何をやってるんだか…。」
頭を抱えた俺に、スタッフの槇村さんは、オロオロして謝ってきた。
「何か、こちらで不手際があったんでしょうか。先ほどは、彼女さんの前で、馴れ馴れしく話しかけてしまって申し訳ありませんでした。」
「ああ。いや、不手際とか全然そんなんじゃないんです。」
槇村さんは、自分が彼氏(俺)に馴れ馴れしく話しかけたために、りんごが怒って帰ってしまったのかと思っているようで、俺は慌てて否定した。
確かに美人でグラマラスな槇村さんに声をかけられたら、大抵の男性客ならデレデレしてしまうだろうし、それを面白く思わない女性客もいるだろう。
しかしこの場合は当てはまらず、逆に男性客(俺)とスタッフと仲良くなれるよう姿を消すという女性客の謎の行動に俺は頭を抱えた。
「むしろヤキモチとか焼いてくれるような奴だったら、苦労はなかったんですけどね…。
俺はあいつが何を考えているのか全く分からないんです…。
嫌われてはいないと思うんですけど、奇想天外な行動に振り回されっ放しです。」
思わず、目の前の槇村さんに愚痴を言ってしまっていた。
「ふふっ。彼女さん、猫みたいな方なんですね…。」
槇村さんは、そんな俺に共感するように大きく頷いてみせた。
「分かります。こっちが思ってる程、向こうは自分の事を気にかけてくれていないような行動を取られてヤキモキするんですけど、そうかと思うとこっちの琴線に触れるタイミングで急に甘えて来て、振り回されちゃうんですよね…。」
「そう!本当にそうなんです…!」
俺も大きく何度も頷いた。
「でも、結局のところ、彼のそういうところも可愛いと思ってしまってるから、仕方ないんですけどね…。惚れた弱味っていうか…。」
「確かに…って、えっ?」
腕組みをして苦笑いする槇村さんに思わず同意してしまったが、途中から艶めいた話になり、思わず向き直ると、彼女はハッと口を押さえて赤くなっていた。
「すいません…!途中から彼氏の愚痴になっちゃいました!」
「…!彼氏さん、いらっしゃるんですね?」
「え、ええ…。年下で猫みたいに掴みどころがない人なんです…。///」
照れながら、彼氏の事を語る槇村さんは、とても嬉しそうで、彼への愛に溢れていて、俺はそれを苦笑いで見守った。
ホラ、見ろ、りんご。美人で、グラマラスな年上の優しいお姉さんに、彼氏がいないわけないだろう?
調査不足で引き合わせて、俺が本気になってたら、即失恋コースだったぞ?
これは、猫へのお仕置き確定だな…!後で覚えてろよ?
そう決意し、固く拳を握り締めた俺だったが…。
「猫っぽい人…可愛いですよね…。」
ゴロゴロしている猫達を眺めながらの槇村さんの言葉には、つい同意してしまったのだった。
「ええ。すげー可愛いです…。悔しいですけどね…。」
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