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許嫁=猫…ではない  作者: 東音


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対西園寺同盟

屋上前の階段に集まった四人はそれぞれに思い空気を纏っていた。


怒り心頭の者。


責められる覚悟をしている者。


大変な事態に巻き込まれて、神妙な顔をしている者。


起こった事態にどう対処しようかと思案しながら、少し面白がっている者。


ん?一人全然重くない奴いたわ。


くっそ。恭介め。神妙そうな顔してるけど好奇心に目が輝いているぞ。他人事だと思って!


「りんごがもう少しで大変な目にあうところだったのは、東先輩から聞いてますよね?

この事態予想できた筈ですよね。どう収めるつもりなんですか?里見先輩!!」


「いや、どう収めるって言われても…。」


猛獣に噛み付かれるが如く、宇多川に責められるように言われ、怯む俺。


「えーと、私が風紀委員に接触を受けた事、浩史郎先輩に予想できた筈っていうのはどうして?

風紀委員の西園寺先輩は、浩史郎先輩の事を好きみたいだけど、どういう関係なの?元カノさんか何かですか?」

「違う!断じてそんな関係だった事はないっ!!」


りんごが不思議そうに首を傾げて質問してくるのを俺は身震いしながら、即座に否定した。


宇多川が忌々しげにため息をついた。


「風紀委員自体が、裏では里見先輩の風紀委員長=西園寺グループの令嬢西園寺茉莉花を筆頭にした里見先輩のファンクラブなのよ。」


「えっ!そうなの!?」


りんごが心底驚いたように叫んだ。


「そうよね?里見先輩?」


「………。」


宇多川に睨まれるも、俺はしょっぱい顔で項垂れるしかなかった。


後を補足するように、恭介が説明した。


「浩史郎は、小さい頃から王子様みたいにモテていたって前にも言ったよね?

現風紀委員長である、西園寺茉莉花さんは、昔から、美人で、成績優秀、スポーツにも秀でている才媛なんだけど、

浩史郎の熱烈なファンで、浩史郎が参加するイベントには必ず姿を見かけたぐらいだよ。」


「えーと、浩史郎先輩の追っかけ?」


「ストーカーだろ?」


りんごの言葉を俺は訂正してやった。


「でも、西園寺先輩、宝塚の女優さん並みに綺麗だし、スタイルもいいし、浩史郎先輩の

好みドンピシャじゃないですか?

何でそんな人に愛されてるに、付き合わないんですか?今ある全ての問題が解決されますよ?」


「そうよ。付き合えばいいじゃない。そしたら、りんごも私もこんな面倒な事に巻き込まれずに済むわ。」


想い人のりんごに加えて宇多川にも考えるもおぞましい事を言われ、俺は顔を引き攣らせた。


「あり得ない!!いくら美人でもアイツだけはごめんだ!」


「そ、そうなの?」


「ハハッ。浩史郎、西園寺さんにはさんざんな目に合ってるからね。


中学に入ってから、そのカリスマ性も相まって、風紀委員長として君臨するようになった西園寺さんの行動は更にエスカレートして、風紀を粛正する名目で、浩士郎の彼女に嫌がらせをしたり、時には盗撮まがいの行動まで…。なっ。浩史郎。」


「ああ…。更衣室や、男子トイレに隠しカメラが設置されていたんだ。今思い出してもおぞましい…。||||||||」


恭介の言葉に、その時の事を思い返して俺は腕を抱えてガタガタと震えた。


「ト、トイレって…!」

「痴女じゃないの!」


りんごは顔を赤らめて宇多川と顔を見合わせた。


「幸い未遂でカメラは回収されたんだけどね。かなり問題になったけど、西園寺さんがやったという決定的な証拠はなく、結局有耶無耶になった。


カメラは風紀委員で使われていたもので、更衣室のカメラは明らかに浩史郎のロッカーを中心に向けられていた。」


「「……!!! ||||||||」」


りんごと宇多川は震え上がった。


「西園寺の事は前から苦手ではあったんだが、その事があってから、近くに寄られるだけで蕁麻疹が出るようになった。いくら美人でスタイル良かろうが生理的に無理!受け付けない!!」


「そうなんですね。せっかく美人さんに好かれていても、なかなか上手くいかないものなんですね。」


少し残念そうにため息をつくりんごに、宣言するように詰め寄った。


「それに、次に恋人を作るときは、外見的な条件だけじゃなく、内面的にも好きになれる子とちゃんと向き合いたいと思ってる。一緒に居て居心地がいいとか、料理が美味しいとか、そ、その猫っぽ…。」

「浩士郎先輩っ。恋人作りに前向きになってきたんですね!」


りんごは、感激したように両手を組み合わせ、俺の発言を決定的な部分を遮った。


お前、分かっててわざとやってないか?


恭介は苦笑いし、宇多川は鼻で笑った。


「分かりました。では、西園寺先輩と浩史郎先輩をくっつける案はなしという方向で、風紀委員(西園寺先輩)の私や夢ちゃんへの攻撃をどう躱したらよいかとう事ですね。うーん、どうしよう?」


「その事なら、私に少し考えがあるのだけど、ちょっといいかしら…?」


宇多川が怪しげにキラリと目を光らせた。

         


❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇


あれから、宇多川は、西園寺に対抗すべく恭介を通して生徒会に協力を仰ぎ、対策を練ってくれているようだった。


当事者ながら、俺とりんごに計画の全貌は知らされなかったが、宇多川から次の様に言い渡された。

西園寺の身辺調査が既に入っているかもしれないが、急に不自然に行動を変えるのは、帰って怪しまれるので、学校では程々の親しさで、シェアハウスでもいつも通りに生活してよい。しかし、二人で外に出かけたり、二人の仲が決定的怪しまれるような接近はしないようにとー。


西園寺に苦手意識がある俺は、今一強く出れず、りんごを守ってやらなければならない立場ながら、宇多川

や恭介に全てを任せる事になり、無力さを感じていたが、りんごは、明るい笑顔で、言うのだった。


「浩史郎先輩、大丈夫です!誰にだって苦手な人はいるんですから、今回は夢ちゃんや東先輩を頼りましょう。万が一計画がうまく行かなかった場合でも、私は浩史郎先輩を人身御供に差し出したりしませんから!」


そう言ってガッツポーズを取るりんごに逆に不安になって俺は聞いた。


「もしかして、宇多川に計画がうまく行かなかった場合は、俺を差し出して保身を図るように言われていたのか?」


「はっ!い、いえ、そんな事は…!」


動揺して目が泳ぐりんごに俺はため息をついた。


正直者めが…!もしかして、計画知らされてないの俺だけなんじゃねーだろな…。


せめて、自分にやれる事をやろうと、一ヶ月の食費やらを貰いに、一人実家に戻る事にした。


シェアハウスに戻って(ひと騒動集結して)から、りんごは電話で、一時はあわや許嫁解消の事態になって、迷惑をかけた事に対して俺の両親に平謝りをし、(絶讃試験期間中だった為)後日改めてお詫びに伺いたいと伝えてくれていたのだが、二人で、出かけるなという宇多川のお達しで、行けなくなってしまった事に、申し訳なさそうにしていた。


実家に戻り、一人で来た事情を説明すると、母は既に西園寺の事を聞き及んでいたらしく、すぐに理解してくれた。


「あなた達の仲が今良好なら、何も問題はないわ。

寧ろ、西園寺さんの件で森野さんに面倒かけてしまって申し訳ないわね。

学園としても、西園寺さんのご両親にかなりの寄付をして頂いているし、無碍には出来ないのだけど、こちらでも対策を考えているから心配しないで?


あなたも、いざとなったら、森野さんを守らなければならないけど、向こうが仕掛けてくるまでは、彼女との仲よくすることだけを考えて大丈夫よ?」


「な、何だよ、それ!//」


「週末に、妹さん弟さんが遊びに来るって言っていたわね?家に余っていた水遊び用のプールを出したから、よかったら持ってって使ってくれるかしら?」



自分の願望を指摘され、顔を赤らめる俺に母はにっこり微笑んだ。






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