表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

長瀬とコンビニへ


下校時間に下駄箱の前で立ち止まって去りゆく知人に挨拶をしていると長瀬がやって来た。

「おう」

長瀬の声に反応し、 ゆめは何度か軽くうなずいて歩き出した。

「待てよ」

慌てて靴を取りだした長瀬の声が後ろから聞こえた。

「お前なんか冷たくね?」

ゆめは片眉を上げて見せた。

「1年の時わりかし休み多かったけど2年はちゃんと来いよな」

なぜこいつに忠告されなけりゃならない?ゆめは憮然として校門を出た。

「おい、こっちだよ」

いつもの癖で帰路に足を向けていた。

「どこ行くの?」

「 あっちのコンビニの裏に森あんじゃん」

2人は並んで歩き出した。

「そこに行くの?」

「そうそう」

見上げると長瀬はニヤついている。

「 何なの?何があるの?」

ゆめはもう我慢できずにつっかかった。

「お前さあ」

「お前って言うなよ』

「 あ、わりい。沢谷猫好きだろ?」

ん?森?猫?こいつ!

「猫見つけたの?」

「そうそう。割と可愛いんだよ」

「え?子猫?」

「たぶんね」

長瀬はずっとニヤついている。

むかしはこの辺にも野良犬がいたと聞いたことがあった。今は全く見かけない。しかし、野良猫はほぼ毎日のように見かける。ここは郊外で野良猫も住みやすいのかもしれない。それにしても子猫を見せたいのか、この男は。なんなんだ本当に。

コンビニが見えてきた。すかさず長瀬は進み出てコンビニのドアが開いた。少し遅れて脳天気なジングルが鳴った。

長瀬は長い背中を丸めて棚の下の方に陳列してあるキャットフードを物色した。高ぇな。とつぶやきながら1つ選ぶと、続いて200mlの牛乳パックを手に取った。

レジに並んだ長瀬の背後から、ゆめはカップのかき氷を渡した。

「 ん?これ欲しいの?」

驚いた顔を見せる長瀬に

「 いいから!」

と、ゆめは凄んで見せた。

「しょーがねーなー」

とつぶやいてから長瀬は会計した。

「ほらよ」

と赤いかき氷を渡す長瀬に、

「ここで食べて」

とゆめは命じた。

「 はい?おま・・・沢谷が食べるんじゃないの?」

ゆめは首を横に振った。

「んだよ!4月だけどさ、今日ちょっと寒いじゃんもう」

冷めてーと妙な声を挟んでなんとか食べ終えた長瀬に、ゆめはコンビニに戻って容器を洗うように命じた。長瀬もうすうすゆめの意図を察していたようで、逆らわずに従った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ