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序章ー神々の祝福《イデア》ー

生まれ変わってから10年が経った。


転生した世界は前世とはかけ離れていた。


まず人が違う。この世界の人たちは魔力というなんとも不思議な力を宿しているんだ。


この魔力というのがすごい。魔力によって操作の仕方を覚えれば、普通の人でも前世で言うアスリート並みの運動能力を出すことができる。他にも体も頑丈になり頭上から瓦礫が落ちてきても死ぬと言うことがほとんどないんだ。この世界の人たちはそれを当たり前のように振る舞い過ごしている。


なぜならこの世界の人たちは魔力なんかよりもっと重要視してるものがある。それが神々の祝福《イデア》だ。


これはいわゆる特殊能力みたいなものだ。

この世界では神様が信仰されている。それはもう様々な神さまがいる。


そしてその信仰する神様によってイデアが与えられると信じられている。例えば火の神様だったら火を出せるといった感じだ。


つまり神様はとても崇められていて、影響力が大きく、国も信じる神様の宗派によって分かれているのだ。

特に影響力の大きい5つの国が存在する。


火や水、風といった自然を象徴する神様を奉り、農業や酪農などが盛んで自然豊かな「調和国家シキノクニ」。


秩序、正義、規律を司どる神様を信仰し、聖騎士という特殊な騎士を擁する「祝聖国家セレイン」。


創造・発展・革新などを束ねる神様を讃え、世界に様々な技術や発明を生み出す「創成国家クリテオン」。


破壊や戦・征服を統べる神々を狂信し、最も多くの軍事力を有すると言われている「覇軍国家インペリオル」。


これら四つの国は四大国家と呼ばれている。


それら四つの国々をつなぎ、貿易国家としての役割を持つ 「中立国家バリアス」。

この国が信仰している神は決まっておらず、国民一人一人が自由に信仰している。


ちなみに僕は中立国家バリアスに住んでおり、さらになんと王子だったりする。

前世では全く成功のなかったこの僕がだ。


生まれ変わったことで前世の厄が無くなったのかもしれない。


今世での名前は、「リオン・ローゼン」。


普通王族はラストネームに国名が入るのだが、まだ僕は皇太子になったわけではないからだ。

ローゼンは母方の名前だ。


そして今僕は10歳で人生の節目を迎えている。


それはイデアの発現だ。

この世界においてイデアは10歳の時に発現し、この後の人生を左右するといっても過言ではない。


なぜならイデアには個人差があるからだ。


例えば同じ火の祝福を受けた人が二人いたとする。


一人はマッチ程度のひをだせる。もう一方はあたり一面を火の海にすることができる。


イデアは発現した時にその規模が決まっており、魔力によって発動するわけだがそれで規模は変わらない。


つまり車のエンジンとガソリンの関係だ。


ちなみに発現してそれ以降基本的に変化しないらしい。


だからイデアが人生が変わるのだ。騎士とはイデアを操り戦う戦士のことを指し、国の国防を司る要であり、重要な国家戦力と言える。


だから優れたイデアを代々継いでいる家系は貴族として扱われている。一般市民などで、もし規模の大きいイデアが発現したなら、騎士としての将来がひらけてくるわけだ。


これは王族にも言えることだ。


王族の継承権順位はイデアの規模によって決まるのだ。長男だからといって確実に王位を継げるとは限らない。


あとイデアは基本的に遺伝性の可能性が高いと言われている。詳細なことはいまだに分かってはいないらしいけど。


自分の両親が信仰する神に近いイデアが発現しやすいのだ。

父親が水の神、母親が風の神を信仰していたなら、水か風のイデアもしくは類似性のあるイデアが発現する。


そしてついにその日がきた。


イデアの発現を確認する日が来たのだ。


イデアは発現したとしても自分で確認することはできない。基本的には専用の魔道具を使うことになる。


魔道具とは文字通り魔力を持って動かす道具であり、様々な効果を持つものがある。その魔道具は基本的に国やそれに所属する組織が管理している。

魔道具はどの国でも開発を行なっているようだが、その中で一歩抜きん出ているのが創成国家クリテオンだ。


専用の魔道具を使用することでその人がどのようなイデアが発現してその規模を計測することができる。普通の人は街で確認を行う所だけど僕は一応王子なので住んでいる城の中にある教会仕様の部屋で確認するのだ。


あと他にも理由があって貴族以上の人間が公の場で測定することは基本的に禁止されている。だから貴族の家には基本的に一個測定器が置いてあるらしい。



僕は教会の様相をした部屋に入っていく。そこには自分の父親であるバリアス国王や母親である王妃そしてこの国の重鎮が集まっている。


僕のイデアによってこの国の将来を左右するといっても過言ではないからだろう。


装置が置かれた祭壇に近づいていくにつれ悪寒のようなし始めた。僕はこれに身覚えがある。前世で感じたものだ。


しかしそれはもうないはずだ。これから人生の分岐点に挑むことへの武者震いのはずだ。


そう思って装置に近づき手を乗せた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


結果から言うと僕にイデアは存在しなかった。1回目に測ってからその後も何回も測ったけど装置は無常にも僕に才能がないことを告げた。


これを見た父は僕に対し

「こういう事は稀にだが存在する。気は落とさずに王族としての勤めをこれからも果たしなさい。」


と言ってくれたけど、がっかりしていることが伝わってきた。


僕は無能だと分かってから1ヶ月間部屋にこもっていた。王子としてしなければならない事を全てほっぽり出して。


しかし父にあのように言われたからにはこれ以上ずっと落ち込んでいるわけにはいかない。


さらに1ヶ月が経ち、ある程度元の生活リズムに戻り、王子として勤めを果たしている。


勉強に武術王族としてのマナーなどだ。しかしそれでも周りの反応は2ヶ月前と比べると少しよそよそしく感じる。


仕方ないことではあるが少し悲しい。


一番影響があるのは武術の練習だ。僕に武術を教えてくれる先生は、この国で最も戦闘技術が高く、5本指に入る騎士だ。名前はシュルト・レイス。風のイデアを持っていてその規模は周囲を竜巻で薙ぎ払うことができる。それだけではなくその膨大な風をその身に纏うことで高速戦闘を行うこともできる。


そんな彼は僕にこう言った。


「たとえイデアがなくとも体を鍛え、技術を磨く事は重要です。いざという時ものを言うのは体ですから。」


僕はこれを聞いて嬉しくなった。

例えイデアがなくても見放せずに普通に接してくれる彼の優しさに。


だから僕は国で一番になれるように体を作り技術を磨くことにした。


数日後城の図書室にて勉強していた。今日は歴史の勉強だ。


この世界では500年前に大きな戦争が起きていた。聖戦と呼ばれ四つの国が戦争していたのだ。


その四つの国とは、「調和国家シキノクニ」、「祝聖国家セレイン」「覇軍国家インペリオル」「創成国家クリテオン」だ。


今の情勢からは想像もできない。詳しい事は書いてないがただ聖戦と呼ばれる大きな戦争がありそれは10年近くも続き、四つの国は疲弊し休戦したと。


「中立国家バリアス」は聖戦終了後の今から300年前にできた他の国と比べると新しい国なんだ。


読んでいた歴史書の中に面白いことが書いてあった。


聖戦中ただの剣技と身体のみで戦場を駆け巡り各国の騎士団に被害をもたらした存在がいると。


その存在の名は「叛逆の騎士」。名前の由来は戦闘に置いてただの一度もイデアを使うところを確認したものがいない。どんなに追い詰められれも使わずに、最終的に各国の騎士団い追い詰められ死亡した。だからイデアを持っていなかったと言われている。


僕はこれを読んで少しこの「叛逆の騎士」に親近感が湧いた。そしてピンとくるものがあった。


「叛逆の騎士」の戦闘が描かれた箇所にこう書かれていた。


イデアの反応は見られない。しかしそのものは騎士たちを薙ぎ払っていった。彼の剣は隙がなく洗練され技量が高いことが窺え、また剣で切り付けられても重傷は負わず、何より力があった。彼の剣を体に受けたものは全員が致命傷だった。


つまり彼は魔力で体をより強化していたんだ。


この世界の人は常にある程度魔力で体が覆われており、前世の世界とは比べ物にならない生物としての強さがある。


勿論騎士たちは体を鍛え魔力の扱い方ある程度鍛えるが、何より重要なのはイデアだからだ。

ただの傷では魔力によって治るが、イデアによる攻撃は魔力じゃ回復ができない。だから魔力操作よりもイデアの操り方に比重を置く。


僕には神々の祝福《イデア》がない。だから正直自分の理想像が描けていなかった。


だけどこれで目標が決まった。


魔力操作と剣術の技量を誰にも負けないようにすればいい。


「叛逆の騎士」のようになろうと。












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