出来事。
「智樹ー!春野ー!」
俺は今最悪の状況にいる。
どれだけ叫んでも友人たちの声は聞こえない。
それはそうだろう。
なぜならここは“雪山”なのだから__
時は遡ること二週間前。
俺は友人の智樹、春野と冬休みの計画を立てていた。
もう高校生にもなったことだ、さすがに親連れで旅行には行きたくないと話していた。
「友達同士だけで行きたいよなぁ~」
「分かる!」
「お前は彼女いるだろうよ」
「まぁまぁ、たまには...ね?」
智樹はいたずらっぽい顔で笑った。
「俺たちのこと馬鹿にしてんなぁ?」
春野の怒りが混みあがっていることは誰が見ても分かってしまう。彼は喜怒哀楽で表情が顔に出る奴だった。
胸倉をつかむとさすがにやばいと思い俺は春野をなだめた。「いつかできるよ」とシンプルな手助けだった。
「そうだよな!うん...」
なぜ彼がこんなにうなだれているのか俺には分かる。
つい先週彼は長年片思いだった幼馴染に告白をした。しかし幼馴染はとっくに彼氏がいて断られたそうだ。とにかく彼女がほしかった彼は学校中の女子生徒の下駄箱にラブレターを入れたらしい。もちろんのこと誰もいいお返事をもらえなかったそうだ。その後、合コンにもいったらしいが俺は行かなかったから詳しい事は知らない。まぁ彼女できたよ報告はされていないためきっと全員から振られたのだろう。そもそも高校生が合コンをしていいのか俺には分からなかった。
「にしてもお前はいいよな~可愛い彼女いて」
半泣きの春野は智樹を睨みつけながら言った。智樹は「そうか?」と照れ臭そうに返事をした。それに対し俺は「そうだと思う」と感情のない返事をしてやった。
「あぁ~!!!もう雪山上ってやろうぜ!」
突然、春野は大声で雪山を上る発言をした。
「そんな雪山を上るなんて無茶じゃない?それに予約とかも...」
「うるせぇ。絶対行くからな!お前らの冬休みぶっ壊してやる!」
なんて物騒な言葉を言えるのだろうか。
春野を説得する暇はなく俺たちの冬休み計画は立てられてしまったのだった。