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1591年6月2日 密貿易南蛮船来訪

木更津に半年ぶりに密貿易船が入港した。


梶原や九鬼のお陰で木更津も大分整備されてきて、きょうも驚いていた。


今回の目玉はカルバリン砲である。それも艦砲を船ごと持ってきているから計二隻で4門である。その他、デミ・カルバリン砲が一隻につき一門、都合二門。一体、どうやって手に入れたのだろう?


今回、きょうに同行してきたまがによると、


彼女は単身澳門マカオに潜入し情報集めたが、以前、密貿易船として載って来た壊れたカルバリン砲搭載の船は葡萄牙の製品ではなく、海戦でイスパニア船から鹵獲した物だということがわかったという。


その他、葡萄牙はイスパニアから購入した二隻の船にカルバリン砲が搭載されており、元々それらはイスパニアがイングランドとの戦いで鹵獲整備した船だという事が分かった。


まがは、それらの情報を得ると一度マニラに戻りきょうに相談、配下のキヨヤスらと共に、カルバリン砲を搭載した船を盗むことにしたそうだ。


澳門マカオでは船の保守に明人を多用しており忍び込むのは簡単だったらしい。で、現地で雇った明人と共に試験航行の名目で大きい方の船を漕ぎ出し、一路マニラに逃げて来たという。葡萄牙人達はやがて盗まれた事に気が付いたが、明人をきょうらが大勢雇ったせいで漕ぎ手がいないのか中々追っ手は現れなかったという。


無事にマニラに戻れたきょうらは、やがて間違いなく来る追手に備えて準備を始めた。その中の一つに、前回、来航した時に俺が教えたアルキメデスの鉤爪もあったそうだ。


アルキメデスの鉤爪とは、海岸沿いの城壁に近づいた敵船の突起部に上から垂らした鉤爪をひっかけてこの原理で敵船を吊り上げ転覆させるという方法である。

大砲が主力のこの時代、敵船がそんな容易く近づいて来ることはないだろうが、降伏すると見せかけて油断した相手なら使う場面もあるかも?程度の認識だった。


だが、やって来た葡萄牙船が見事にこれに引っかかってくれたという。


しかも、カルバリン砲を搭載した船が!


マニラの港には海賊船が集結しており守りが固いと見たらしい葡萄牙は港側面の城壁に接岸し上陸を図ろうとしたらしい。しかも、この船、カルバリン砲を搭載していながら船首に衝角も付いていたという。衝角とは船が他の船に体当たりする為の近接戦闘用の武器だ。大砲の時代には無用の長物な筈だが旧型船にカルバリン砲を搭載したのだろうか?


この衝角が海賊側にとっては格好の突起物となったそうで、鉤爪によって、盛大に船が持ち上がり、大勢の船員が海に落ちたという。


アルキメデスの鉤爪かぁ。俺も見たかったな。今となっては滅多に見られない光景だったろう。羨ましい。


結局、葡萄牙がカルバリン砲を撃ってこなかった理由は単純で弾丸が無かったことが原因らしい。その証拠に何故か船にフランキ砲のカートリッジが搭載されていたそうだ。後詰式のフランキ砲のカートリッジでは、先込式のカルバリン砲には使用できないわ。


そんな感じで葡萄牙の旗艦を鮮やかに撃退した海賊達は結果的にカルバリン砲艦を二隻も所有することになったのだ。


で二隻とも俺に献上するという。というのもそんなデカい船で航海していて葡萄牙に見つかったらまた追いかけっこが始まるに決まっているので、早く手放したいそうだ。


今回の他の商品は、硝石、薬用人参、砂糖、に加え前回同様の野菜、動物らである。前回、俺が所望したシャム猫が10匹もいたのには驚いた。シャムでは簡単に手に入ったという。また、象も二頭やってきた。尚、偽銀(白金)はズタ袋3袋程、アジアにあるのはこれで最後だろうとのことだった。


奴隷は前回同様だが、また、アラビア語を話す金髪美女数人にクメール人の可愛い子が何人かいる。夕に怒られるし目の毒だけど、こればかりは男の性、仕方ないよね。ラーニャとザワディの世話役として金髪とクメール人の女の子は俺の直臣にした。二人とも妊娠中だから丁度良いだろう。


他の奴隷達は日本語教育後は畜産指導や力のある者は鉱山労働に付いてもらう予定だ。


前回はこちらは対価が十分に用意できなかったが、今回は十分に用意できていた。

まず、前回同様の漆器、日本刀に加え、足尾銅山で産した銅、硫黄、硫酸、加えて下総で開発したレースグラスもあった。レースグラスはヴェネチア特産だが、ガラスに習熟した俺配下の職人達は下総で制作に成功していたのである。しかも本場ヴェネチアのは白と透明が圧倒的に多いが、下総産は緑、赤など色も多彩である。これにはきょう達も驚いていた。


またきょう配下の日本人キヨヤスとも話をした。彼は元々淡路水軍の出だったが、その後海賊に身をやつしたという。前の天下人・秀吉とは仲が悪く豊臣滅亡をとても喜んでいた。なんでも日本に寄港するのは10年振りだそうだ。


その夜は、九鬼、梶原も交え、海賊共と盛大に宴を開いて一夜を明かした。

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