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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
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1590年6月20日・独眼竜・お天道様・雷神様

前日、下田に着いた伊達隊は下田湊に錨を降ろし一泊、午前の内に小舟に分乗し小田原にやって来た。


尚、伊達隊に同行していた北条氏光隊は親方様の奥方・督姫様と駿河で捕らえた留守居役の前野長康・家康の嫡子・長丸を伴って昨夜の内に小田原に帰還していた。


伊達隊は総勢1万というが、小田原にやって来たのは政宗以下近習の100名程だ。


実を言うと、俺はまだ獣人の存在をあきらめてはいなかった。政宗は竜人族ドラゴニュートではないかと期待していたのである。


伊達隊は後に伊達者という言葉が生まれるほど派手な衣装を着た者が多い。


その行列を一目見ようと小田原城下は、大変な賑わいとなった。


俺も雄二と共に一目政宗を見ようと詰め掛けていた。


が、目の前を通った政宗は眼帯すらしていない普通の人間だった。


もしかしたら、普段は人間で戦闘時にだけ変身するのかも?と思ったのだが、


100名もの従者が全員人間というのはやはりおかしい。


政宗もまた人間か。周囲の歓声とは裏腹に意気消沈である。


ところで、この喧騒の中で、伊達隊への歓声とは別に、自分に向かっても声が飛んできてることに気付いた。


『お天道様』『お伊勢様』などという声である。隣の雄二には『雷様』『雷神様』などの声が掛かっている。


政宗一行が通り過ぎた後も群衆は解散せず、明らかに俺達見物に勤しんでいるのだ。はっきり言って、恥ずかしい。雄二も同様だ。


そもそも忍びは目立つような仕事ではないし、目立つことに慣れていない。今回は二曲輪の扮装をしているものの、群衆の中には他国の間者もいるだろうし、これほど目立ってしまってはもう忍びの仕事をするのは無理ではないか?


館に戻った後、何故俺達があんなに注目されていたのか夕に聞いてみた。


『お頭は目立ち過ぎたのです』


と開口一番に言われた。


彼女によると、全てはあのアルキメデスの熱光線が原因らしい。


あれは確かに太陽光線を使用するから、明るい中で氏隆と共に俺も指揮に当たっていた。いや、原理を何も知らない氏隆と違って、俺は太陽と目標の角度から鏡の位置を調整したり、太陽の上昇に伴って鏡の角度をどれくらい動かせばよいかとか、ほぼ一人で八面六臂の差配をしていたと言って良い。


それを城下の領民が目撃していたというわけだ。特に今もって原因が分からない長曾我部隊の爆発が衝撃だったらしい。光を使って悪を誅する存在として天照大御神の再来と言われてるらしい。


『天照大神は女神様なんですけどね』と夕は笑った。


この手の話は日に日に噂が大きくなっていくものだ。


今では、『俺は敵の大型船5隻を爆発させた正にお天道様の再来』だそうだ。


いや、爆発させたのは最初の一隻だけでそれも偶然、あとは帆を焼いたのが一隻、他は大筒のおかげなんだけどね。


では、雄二は?なぜ『雷様』に?


『それは、お頭の隣にいたせいです』


え?俺のせい?


『お天道様の隣で対等に話していたので、あの夜の敵の頭上に自由自在に雷を落とした神、雷様に違いない。となったのです』


夜間の新型炮烙玉か。確かに大筒の発射の轟音を違い、敵の頭上や敵陣で爆発する新型炮烙玉の爆音は雷のように聞こえるかも知れない。


そんな、新たな異名の経緯を聞いている頃、城内ではご隠居様、親方様と伊達家一行の顔合わせが行われ、幾つかの合意が得られた。


1.清水港から鹵獲した物資の三分の二を北条氏に献上する。

  千賀ノ浦まで船で行った後、本拠・黒川城まで物資を運ぶ人足が足りないため余剰分を献上する。

2.北条氏直の娘・寿と、伊達家重臣片倉景綱の二男・弥左衛門を政宗の養子に迎え元服後に婚姻する。

3.伊達政宗の妹・千子姫と氏直の嫡男・善右衛門尉が元服後に婚姻する。

4.バリスタ10器を伊達家に献上する。また、翌年以降、新型炮烙玉を毎年伊達家に譲渡する。数は生産可能数を確認し後日取り交わす。


後日、この取り交わしを聞いた俺は4に仰天したのは言うまでもない。


新型炮烙玉を他家に譲るって、それって大丈夫なの?ダイナマイトだぞ!いいのか?

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