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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
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1590年6月9日・首実検

夕刻、箱根から早雲寺で仕留めた猿長、狸長らの首が運ばれてきた。


ここには、ご隠居様、親方様、一門の北条氏房、氏光、両名と面識のある宿老・板部岡江雪斎、そして、風魔を代表して俺と雄二7人しかいない。


氏照さんは、同じく宿老・松田憲秀隊とともに弟・氏規が籠城する韮山城に救援に向かった。バリスタ隊も帯同していったが、野戦でも活躍できるのだろうか?


また、他の重臣たちは城周辺の夥しい遺体や武具遺品の整理に奔走していた。


俺は遺体回収の兵たちに、装備と共に衣服は褌に至るまで全て剥ぎ取り、腹と両腿の肉を剥いでから火葬するか川に流すよう依頼しグリセリン製造部隊を同行させた。いまだ鯨は余ってるとはいえ、貴重なグリセリン素材だからね。そして衣類つまり繊維はニトロセルロースの原料となるのだ。

この時代一般的な土葬をさせなかったのは、そろそろ梅雨が明け夏が到来しそうだからだ。

土葬するなら余程深く掘らないと腐敗し疫病の元になる可能性がある。

ならば、燃やすか、川から海に流して魚の餌になってもらった方が衛生的なのだ。

本来、俺にそんな命令権はないのだが、現場が混乱してる事、穴を掘るより川に流す方が圧倒的に楽なことから、了承して貰えた。


そんなわけで、いささか寂しい評定の広間に7人だけでの首実検である。


俺は、この首実検に大いに期待していた。何しろまだこの世界にきて獣人族を見ていないのだ。首とはいえ初の獣人とのご対面である。あるのだが・・・・・


想像していた顔と大分違う。


猿人族って映画に出てくるような大猿を想像していたのだが、目の前の首はどう見ても猿似の人間である。暗号で猿子と暗喩していた、猿長の甥子にいたっては、どう見ても普通の人間である。


また、狸人族長も獣耳も付いていないし、どう見ても腹黒そうな政治家みたいな人間である。


しかし、板部岡さんは3人を間違いなく本人と断定している。


思わず、俺は誰ともなく訪ねてしまった。


「あの、この人たち、尻尾はついてなかったですか?」


すると、6人全員が大爆笑し始めた。雄二は笑いながら俺の口を押さえようとしてくる。


『はははははは、猿だから尻尾か 小太郎、其方、冗談を言うようになったのか!』


『まこと、初めて聞きましたな、小太郎の冗談』


『せっかく敵将の首を取ってきて生き残れたんだ。笑い死にさせないでくださいよ、小太郎殿』


皆、腹を抱えて笑ってるよ。空気の読める男俺は一緒に大笑いした。


(心の中の気分は↓↓どん底である)


尚、暗号で藤と呼んでいた黒田孝高と茶頭・千利休は板部岡さんも、会ったことがないのでわからないという。


だが、二人ともどう見てもただの人間のオッサンである。


余談だが、重伍によると、藤こと黒田孝高は鬼煙を喰らいながらも、熱湯を浴びせかけたり槍で突いてきたり、最後まで抵抗し続けた偉丈夫だとのこと。


それはさておき、つまり、俺達が戦っていたのは獣人族の連合軍じゃなくて人間の軍隊だったってことか?


となると、ここが異世界かどうかも怪しくなってくる。


猿は豊臣秀吉、狸は徳川家康なのか?


元の世界の史実では小田原攻めは秀吉が総大将で、家康も重臣として従っていた筈、いや、家康はこの小田原攻めの後、関東に移って江戸の町を整備、それが今の東京になっていくんだよ。


でも、江戸を作った家康も、家康に命じた秀吉ももう首になってますけど、じゃあ誰が江戸を作るんだろ?俺の故郷東京はどうなっちゃうんだ?


そもそも、どこでどう勘違いしたんだ俺?


ふと記憶が蘇る。


『風間君は太閤殿下がサルと本当に呼ばれていたと思っているかい?あれ、嘘だから』

榎本カンチョーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

敵兵の遺体とはいえ、最早、グリセリンの素材としか見ていないとは何とマッドサイエンティストな。

まさか、石鹸作ったりしないだろうね?北条特産「関白石鹼」なんて名前で・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵とは言え、遺体をグリセリンの材料とは…MAD過ぎる! ナチスのゲットーを連想してしまったのは、私だけではないと思う
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