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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第9章 旭日昇天・女直編
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1600年2月 グレの戦いPart1

マンジュから帰還したハダ首長メンゲブルは、マンジュからの民衆の帰還を見届けるや直ちにイェヘらフルン3部と連絡をとり、フルン連合軍への参加を表明した。


元より、マンジュがメンゲブルを帰したのは、明がハダ滅亡の制裁にマンジュ内での馬市の停止を仄めかし脅かしたのが原因で、メンゲブルがマンジュに臣下の礼を取ったわけではなかったのだ。


フルン連合軍のマンジュ侵攻はグレ山(現在の中国・遼寧省グル村の北西)近郊から行われた。ここを取ればマンジュの本拠フェアラ城まで30㎞足らずである。


実は、このグレ山付近では且つてフルン他9か国連合軍3万がマンジュ1万を攻めて大敗した因縁の地でもあった。


兵で勝る連合軍がヌルハチ率いる100騎の奇襲を受け、後を追うとグレ山の背後に隠れていたマンジュ本軍に後ろを突かれ挟撃されて惨敗したという、まるで川中島の戦いの啄木鳥戦法のような戦記が残っている。


そんなフルンにとっては縁起の悪い地ではあるが、マンジュを攻略する上では重要な地であるのは間違いない。今回のフルン連合軍もここグレ山近郊でマンジュと睨み合っていた。且つての9か国連合の3万の兵には及ばないが、それでも1万を超える兵がフルンにはいた。一方、マンジュはハダ部や南部の朝鮮への警戒もあり兵力は1万を切っていた。


フルン側で先陣をきったのは最大の領地と最大の兵力を誇るウラ軍である。女神を頂くホイファ軍は後方に控えている。フン川を渡りグレ山を翳めフェアラへと向かうウラ軍。だがグレ山にはマンジュの精鋭騎馬隊が陣取っており、果敢に山を駆け下り進軍するウラ軍の横っ腹を突いたので、ウラ軍は大混乱になり、荷駄等は全て放り出してフン川を超え逃げて行った。マンジュは捕らえたウラ兵が身に付けている貂皮より軽く、貂皮より暖かい毛編の着物に眼を奪われた。騎馬兵にとって軽いということは大いに意味をがある。その上、最高級の貂皮とり暖かいとなれば、最上のお宝である。ウラ軍が残していった荷駄にも同様の毛編の着物が大量にあった。この一戦だけでマンジュはお宝の毛編の着物を1千着手に入れた。


マンジュ兵は食料や武器だけでなく着替えの着物まで荷駄に用意しているフルン側の軟弱ぶりをあざ笑った。


一方、フルンは捲土重来を期して、7日後に再びフン川を超え今度はグレ山を取ろうと登りだした。だが、この時もやはり山頂と山腹裏側に配置したマンジュの騎馬兵に上と下から挟撃され大敗した。マンジュが期待した通り、彼らが放り出して行った荷駄にはお宝の軽い毛編の着物が大量に入っていた。


そして10日後、三度目の戦いが火ぶたを切ろうとしていた。今まではウラ軍が先鋒を務めていたが、今回はイェヘ軍も加わり混成軍となってフン川を渡って行った。過去二回の教訓からか今回は荷駄は渡河していない。


これらの戦いは他民族にとっては女直同士の内戦ではあるが、隣国内の力関係の変化には各国とも敏感であり、当然、各軍内に密偵を忍ばせている。女直内の力を均衡させ互いに争わせておきたい明国、勝馬に乗ろうとする朝鮮。二度ともマンジュが勝ったと知って両国も動きを見せた。


まず明国は今まではハダの参戦を認めていなかったがフルンが連敗したと聞き、今回はハダの参戦を認めマンジュ北部を突くよう指示した。一方、朝鮮はフルン劣勢とみて、ウラが支配する沿岸部のワルカ地方に侵攻してきた。かつて盗賊と恐れられロトゥンもいない上、主力はマンジュとの戦いに出払っているワルカ部を朝鮮軍は蹂躙した。

布陣図を作ろうと思ったのですが、グレ山の場所がハッキリしない上、フン川はダムが出来ており往時の姿を残していませんでしたので、止む無く断念しました。


挿絵(By みてみん)

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