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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第9章 旭日昇天・女直編
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1599年9月15日 海西女直・ホイファ使節団

この時代の世界情勢と科学と調べる事が多すぎて、執筆がきつくなってきました。エタらないよう頑張ります。

明朝から海西女直と呼ばれていた彼らは女直人の言葉ではフルンと称し、ハダ(哈達)、イェヘ(葉赫)、ウラ(烏拉)、ホイファ(輝発)の4部から成り、女直では、これらをフルン4部と呼んでいる。


4部の内、ハダは最も明国の領土に近く伝統的に明からの支援を受けている勢力である。イェヘはハダと領地が近く敵対する事が多いと同時にフルン4部の盟主を自任する勢力でもあり、且つてマンジュに挑み大敗した9か国連合軍を結成したのもイェヘである。この戦いでイェヘの首長ブジャイは討ち死にしている。ホイファは4部の中で最も南に位置しマンジュ領とも近く4部の中では最小勢力だ。最後のウラは一番北に位置し首長のブジャンタイは9か国連合に加わった際、マンジュに捕らえられ一時期マンジュで虜囚生活を送っていた過去を持つ人物である。


この頃になるとフルン4部にも、明朝が野人女直と呼んでいる地域で活動する日ノ本軍の事が噂話として入って来ていた。曰く、


・空に巨大な怪鳥が現れ、それが飛んだ後には川ができる。


・地中から巨大な火を噴くミミズが現れ何もない地にあっという間に川を作る。


・彼らの城はカラタチの棘を凌ぐ強靭な棘に守られ、何人たりとも近づくとこさえ出来ない。


どれも荒唐無稽の噂だったが、北部のウラは近隣のグワルチャ族、シベ族が彼らと交流している事を知り偵察の使者を派遣した。また、ホイファはマンジュが東に勢力を伸ばしているのを警戒し、棘に守られた堅城を探しに探索団を派遣した。イェヘもウラに噂の真偽を確認する使者を出していた。




*10月10日 ウェジ(旧ウスリースク) 津軽為信*


最早、日ノ本の大陸における一大拠点と化したウェジ。流入を続ける野人女直ら地元民に備える為、拡張を繰り返し、有刺鉄線は既に3重にまで広がっていた。日ノ本の城風に言えば本丸、二の丸、三の丸といった所だろうか。その最外部の三の丸で為信は女直の一団と面会していた。


彼らは、ここから遥か西のホイファからやって来た一団だという。団長の名はワンギヌと言い、野人女直達の噂を聞き棘に守られた堅城を視察にやって来たという。


そして、ワンギヌはこう言った。


『もし、棘の堅城を見つけた際には主よりこう仰せつかっております。我がホイファを貴国の庇護下に加えて下さい』


ワンギヌはそう言うと、ホイファ首長バインダリの名で書かれた恭順の意を示す書状を差し出した。


実はホイファには上記の噂以外にも話が届いていたのである。それは、


・棘の堅城では地元の恵まれない女性を保護し、女性の教師により食事や生活の術を教えており、過去に女性を脅かした野蛮な男達は、堅城の女性達に次々と捕らえられ地獄に落とされている。


という内容だった。


ホイファではこの噂を始祖の女神アブカハハ(天神)が蘇ったのでは?と考えたのだ。そして、巨大ミミズは大地の女神バナムハハ、怪鳥は星の女神オトロハハではないか?


フルン4部の中で最小のホイファは拡大を続けるマンジュに脅威を抱いていたが、仮に女神アブカハハ(天神)の棘の堅城を発見し庇護下に入れれば、流石のマンジュも女神の領域には手を出して来ないだろうという思惑があった。領内に特産品のないホイファではこの交渉の為なら領民を奴隷に提供する用意があった。いざとなればホイファ首長の座を明け渡しても良いとすらバインダリは考えていた。マンジュに先に棘の堅城を発見されたらホイファは終わりなのだ。


為信は歩き巫女の通訳を聞きながら、考えを巡らせた。


「避難民であれば問題なく受け入れたのだがな」


唸りながら独りごちた。


庇護下に入れようにも飛び地となる。使者は『ここから直ぐ西の地です』と言うが、大陸の人間の『直ぐ』は日ノ本の常識では『遥か彼方』に等しいことはこれまでの経験で分かっている。短くても津軽から京くらいの距離だと思っておいた方が良いだろう。これは、征西将軍・伊勢直雷様の判断を仰ぐべきだろう。


「其方達の意向は良く分かった。主と相談する故、暫しこの地に逗留されよ」


為信は一向を暫くウェジに止め置き、伊勢直雷に相談する事にした。また一行から聞き出した情報から羽黒党5名に女直人歩き巫女を付けホイファの地に向かわせた。

挿絵(By みてみん)

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