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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第8章 旭日昇天・ヌエバエスパーニャ編
243/272

1600年6月20日 ロスアンヘレス(ロサンゼルス)

一月以上遡ります。

*カリフォルニア攻略隊 征東将軍・北条氏勝*


5月に木更津港を出港した艦隊は先日、”さんふらんしすこ”なる入り江に囲まれた地で佐竹義宣隊、相馬義胤隊(施設部隊)、水野勝成隊(ハンググライダー隊)、総勢1千名と鉢屋20名、歩き巫女5名と2艦を残し、タンカー船2隻と護衛艦でここ、ロスアンヘレスの海岸に到着した。


某には長期航海の経験はないが、歩き巫女によるとこの新型艦カティーサークは物凄く速いという。旧来のガレオン船の2倍以上の速さだそうだ。”2月掛からずにこの地まで来れたのが信じられない”と言っていた。


この新型艦を設計した大将軍・伊勢直光殿は凄いが、彼がそれ以上に凄いのは”さんふらんしすこ”や”ロスアンヘレス”の位置を正確に知っていた事だ。おまけに詳細な地図まで描いて渡してくれた。


大将軍殿によれば”さんふらんしすこ”は川を遡上すると一面の金山地帯だという。なので、石見銀山を警備していた山師が豊富にいる鉢屋が降りたのだ。


そして、ここロスアンヘレスは臭水の宝庫だという。村雲党も優秀な山師が多くいるので期待大だが、それにしても、一度も来たことない筈のこれらの地について何故、あそこまで詳しく知っているのか?本当に不思議なお方だ大将軍殿。本当にお天道様なのかもしれぬ。


さて、錨を降ろし小舟に分乗した本多忠朝率いる施設部隊の最初の仕事は、地上拠点の設置と桟橋の敷き設だ。父親・忠勝譲りの剛の者忠朝だが、施設部隊への指示も若干18歳とは思えない見事な統率振りである。


桟橋に使用する木材は日ノ本から積み込んで来た物だ。理想は現地の木材を使う事だそうだが、木というのは伐採して直ぐには使えない。乾燥に2年位かけるのが普通だから、当初は日ノ本の木で敷き設する。


船で待つ事5日、桟橋とその周りの簡易小屋、鋼の梁に盲様布をはった”てんと”なる小屋だという。それに窯場など料理場、更に原住民の襲撃を警戒して周囲を”てつじょうもう”という鉄針の壁で囲った。木や土の壁より遥かに簡便に設置でき、針満載の鉄網であるから防御力は申し分ないという、誠に未知の地の探検には最適な壁である。


この辺りは日ノ本では考えられない乾燥した一面の荒れ地であるが流石は村雲衆、もう井戸をいくつか掘り当てており飲み水には困らない。更にもう油田を二つ発見したという。早速、本多忠朝率いる施設部隊が掘削に向かい、準備出来次第汲み上げを始める予定だ。


この一帯を流れる川はロスアンヘレス川と命名したが、少し遡上すると大将軍殿がいう所の鰐なる大型の水棲ヤモリが生息していた。非常に獰猛かつ凶暴な相手だが狩ると肉は白身魚のように美味であり皮は丈夫で鎧にも刀の鞘の装飾にも非常に有用な素材になる。


しかし、当初警戒していた先住民が一向に姿を見せない。ロスアンヘレス川を30㎞程遡上した所に山岳地帯があったので、松平信吉率いるハンググライダー隊を出し上空から監視させる事にした。


ところで、今回の隊には馬は同行していない。十分な飼葉を確保出来るか不安だったからだ。だが、その代わり、やはり大将軍殿が発案したという”じてんしゃ”なる乗り物が人数分与えられていた。兵の階級に関わらず同じ品で、二つの大きな輪からなる胴体を足で踏み込んで動かす画期的な乗り物である。速さは馬には敵わないが人の移動には充分である。現在の日ノ本軍に入隊する兵は全員、この”じてんしゃ”を乗りこなせないと採用されないのだ。慣れた者は”じてんしゃ”から両手を話し流鏑馬の如く弓や銃を使う者もいる。いやはや、ほんの10年前は馬か徒歩しか移動手段がなかった事を思えば別の世の中に来てしまったようだわ。そんな感慨に耽っていると監視を行っていた松平隊から報告の使者が来た。


『将軍様、ロスアンヘレス川を更に遡上した地域の北西部に人間の集落らしきものが点在しておりました。また、西部海岸沿いは森林地帯になっており、煙が確認できましたので人間が住んでいると思われます』


「分かった。現場までの目印になりそうな物はあったか?」


『それが、周囲は一面の荒野で、目印は見当たりません。上空から誘導するしかないと思います』


「そうか。では、一旦引き上げてきてくれ」


『はっ!』


その夜、食事の後、軍議を開くことになった。

ロスアンヘレス周囲の集落と油田群

挿絵(By みてみん)

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