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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第8章 旭日昇天・ヌエバエスパーニャ編
241/272

1600年4月1日 メヒコ湾とテキサスの油田

タイトルを少しいじって見ました。

湾内から海賊やエンコメンデーロのならず者が一掃され、海域は平穏を取り戻した。ハリケーンの暴風雨に流され命辛々バハマまで逃げ延びた一部の海賊は口々に


『空からグリフォンに襲われた』


『いや、あれはコカトリスだった!』


『いや、あの翼はサタン(悪魔)だ。甲板が一瞬で溶かされた!』


『海にポセイドンが現れ船を掴まれ動けなくされた』


『俺はあれは北欧の海賊が言っていたクラーケじゃないかと思う』


その恐怖を語りあった。


この時代のバハマ諸島は無人島で、生き残り海賊達は雨水で喉を癒した後、壊れた船の廃材から筏を組み南のキューバ、ハイチを目指した。


彼らはその地でメヒコ湾の怪物の恐怖を語り継ぐことになるが、ユカタン半島南方から南米まで海賊の狩場はいくらでもあるのでメヒコ湾に近づくことは無かった。




ヌエバ・エスパーニャは元々キューバ、フロリダ半島を領有していたので安全になった湾内でこの地との交流が再開された。


また、鹵獲した海賊船から高速船の構造も解析され昔ながらのバリスタを備えた快速護衛船も建造された。バリスタを搭載したのは大砲だと重くて速度に支障がでた為である。




日ノ本からその後も続々と到着した施設部隊は一部は、神官こと甲賀衆の案内でガテマラの産油地に、酒井家次率いる残りの施設部隊本隊は昨年やってきた先遣施設部隊と合流し甲賀衆の神官、歩き巫女を伴い、エスパーニャ軍の護衛と共に海路で現代のテキサスに入った。テキサスは東部は油田地帯。西部はヘリウムの産地と正に資源の宝庫である。ヌエバ・エスパーニャ攻略の最大の目的地でもあった。


尚、彼らがヌエバ・エスパーニャ各地に建設した原油採掘設備は”神命による土地の浄化”という名目で伴天連の司祭達がモヒートやアフリカンを雇用して稼働させている。勿論、モヒートら労働者には給金も支払われている。汲み上げられた原油は採取地毎にワイン樽に詰められアカプルコに運ばれガレオン船で日ノ本に運ばれたが、やがてワイン樽が足りなくなると南部の森林地帯かの木を使って樽が製造されるようになった。


また、海賊対策部隊の松田隊は任務終了し、副王や司祭に惜しまれつつテキーラ酒や銀、サボテンなどの土産と共に帰国した。




さて、テキサスに上陸した一行は海岸から一番近い硫黄臭のするガス噴出地を直ぐに発見、そこを第一の拠点とした。現代アメリカの都市で言えばテキサス州ボーモントである。


ところで、このテキサスの海岸一帯に住んでいる先住民はカランカワ族と言い2メートル近い大男の集団だという。且つてこの地を探索したエスパーニャのコンキスタドール(探検家)は彼らと交流し、友好関係を結んだと記録しているという。


酒井家次隊は露天湧きしている油田の回りに汲み上げ施設を作りつつ、周囲をメヒコから持ち込んだ柱サボテンで柵を築いた。如何に大男といえどサボテンの柵を簡単に破ってはこれないだろうとの判断だった。


だが、いくら待ってもカランカワ族はおろか人ひとりやって来ない。それはそうだろう、何しろテキサス州だけで日ノ本の国土より広いのだ。そう簡単に人に遭遇できるわけはない。幸い海が近く湖も川もあり魚も塩も水も容易に手に入るので護衛のエスパーニャ兵には一度戻ってもらい、陸路で馬を曳いてきて貰う事になった。




酒井隊は山師を動員し付近を調べた結果、この一帯がとんでもない埋蔵量の石油地帯である事を確信した。大将軍・伊勢直光からは油がガスと共に噴出している場所もある筈だと言われていたが、正に大将軍の言葉通りだったのだ。


となると、今度は輸送手段に問題が出てくる。樽による輸送は既存の油田で手一杯で、この地からの大規模輸送にはとても対応できない。更にまだ見ぬ先住民への警戒も必要だ。エスパーニャ人の記録によればカランカワ族は温厚だったが、他の部族には異人を奴隷にする種族もいたと記載があったのだ。


酒井家次は事の次第を文に纏め、アカプルコまで使者を遣わし本国の判断を仰ぐことにした。


また配下の藤堂高吉、若干20歳を造営奉行に任命し油井周りの防衛強化を指示した。


もう一つは山師に新たに命じた粘土層の探査だ。この地域からメヒコ湾沿岸は平坦な地が広がっており、土管が建設出来れば輸送に使用できると考えたのだ。

テキサスの主な油田

挿絵(By みてみん)

現代のテキサス州と同縮尺の日本

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] アメリカって、あらためて大きいと思いました。比較地図ありがとうございます。
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