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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
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1590年4月13日・鏡集めと鏡面磨き

前日の雄二の説明で、小田原に残っている領民達は、皆、極めて領主に協力的なこと、その理由もわかったので、新たな策をもう一つ実施することにした。


ご隠居様、親方様、氏照様は直ぐに面会に応じてくれ、早速、場内にお触れを出してくれた。特に氏照は、兵の仕事が増えると聞いてとても喜んでいた。


因みに、以前、お願いしていた手先の器用な者、行動の慎重な者の選定はもう暫くかかるとのことだった。


さて、そのお触れの内容だが、城下にある銅鏡の供出である。


雄二に確認したのだが、銅鏡はこの時代の一般家庭にもそこそこ普及していたのである。


大分流出したとはいえ、それでも10万近くいる小田原城下である。大きさや状態はマチマチだろうが、1千個くらいは集まるだろうとのことだ。


これを兵達に手分けして磨いてもらうのである。磨くのは馬、鹿の革に主に鯨から絞った油を使用してもらった。鯨の油脂はグリセリンにも使用するが、鯨は大量にあるのでまあ大丈夫だろう。


こんなに鏡を集めて一体何をしようとしているのか?


それは、”アルキメデスの熱光線”の準備である。


古代・シラクーザの物理学者アルキメデスは、攻め寄せる敵船を鏡を使って太陽光線を反射集光させ炎上させたという言い伝えがある。これが”アルキメデスの熱光線”である。今風に言えばレーザービームだ。


今回の戦でも、敵の水軍がすでに相模湾内に集結しており、あわよくば、伝説の天才・アルキメデスの再現を!と目論んだのだ。


しかし、季節はこれから梅雨。肝心の太陽が出てくれるかは、甚だ気がかりな所である。


ところで、氏照に鏡面磨きの為の兵を借りに行った時のこと、


兵を使う度に一々、許可を取りに来るのは大変だろうから、今後は城内の兵を自由に使える”許状”と、兵側にそのことを伝えるお触書を出そうか?と言って貰った。


非常に有難い話なのだが、本来忍びの者である風魔一党が風魔の名で一般兵の前に出るのは、忍び仕事に影響が出る恐れがある。


兵の前に出る際は変装するのは勿論、名前や出自も新たに用意したい、と相談した。


実際の所、俺は先代様の忍びの技術は記憶を継承してないので、忍び仕事は出来ないが、新型炮烙玉製造は、風魔の手の者5名を熟練の域になるまで指導し、その5名が一般兵を指導する予定なのだ。


何しろ危険の伴う作業だ。一か所で大量製造は危険すぎる。広大な城内に作業場を点在されて製造していくつもりだ。


その為、少なくとも俺と指導員5名は、風魔とは別の名前が必要になるわけだ。


氏照に雄二も交え、話し合った結果、


名は二曲輪にぐるわ衆。


出自は委細不明だが、風魔のお頭が南蛮船から引き抜いてきた高度技能集団。


という設定に落ち着いた。


二曲輪という姓を考えたのは氏照だ。


二曲輪にぐるわは”逃げるわ”の暗喩だそうだ。


『俺だったら、そんな物騒な実験怖くて逃げるわ』ってことから思いついたそうだ。


氏照さん


顔は怖いが、なかなか気さくで、話していて楽しいお人なのである。


早速、俺は二曲輪猪助、雄二は一般兵の前に出る予定はないが、二曲輪丙助と名乗ることにし、氏照の名で一般兵に、風魔が召し抱えた二曲輪衆からの仕事依頼には応じる事とお触れを出してもらった。


新炮烙玉製造の指導員となる5名の下の名前も適当に決めるつもりだ。

(史実での小田原陥落まで、あと84日)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] レーザービームよりソーラーシステムまたはソーラー ・レイの方がイメージがわかりやすのでは。
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