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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
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1590年4月12日・豆乳ババロアはいかが?

早雲寺に猿長の一団が入ったと聞いて、暗殺の可能性を模索するチームが立ち上がった。総勢4人全て女性である。寺に賄いで出入りしている風魔の女二人、他は毒に詳しい三つ者の女二名である。


当初、敵が入寺すると聞いて、寺の人間は全員殺されるか、良くて追い払われるかだと思っていた。が、猿の長は強者の余裕を見せつけたいのか、僧達の今まで通りの生活を保障した。といっても、寺の建物は殆ど敵の寝床他に接収され、本堂も内部は全て撤去され長の居室となっているのだが・・


広大な境内には、陣幕ともに簡易休憩所、寝床が次々に作られ、場所が足りなくなると、墓地の墓石を撤去し整地した後、やはり兵の施設が建てられ。

そして境内の一番奥まった場所、かつて、北条歴代の墓所があった場所には茶室が建てられた。

猿人族の建築の速さは驚異的である。あっという間に早雲寺を敵の色・風に染めあげてしまった。

こうして、猿長本隊8千は箱根山から早雲寺に移転完了したが、寺の守りに8千は多いということで、兵2千を残し、他は小田原城包囲に向かわせた。


更に、猿長は上方から、雌を呼び寄せ、昼間は湯本の温泉、夜は茶会と、戦の総大将とはとても思えない生活ぶりだった。


このような状況下での暗殺計画である。

賄いに出ている風魔側から、まず女(猿が呼んだ雌)を落とそう。それには甘味が一番。女が気に入れば、やがて長も食べだす筈。それを見極め甘味に毒を入れては?と案が出た。

これには、三つ者側も賛同し、お頭から聞いた”ばばろーあ”なる南蛮の甘味を作る事を提案した。

”ばばろーあ”とは豆乳に砂糖を加えて寒天で固め、更にそれを冷やした甘味で南蛮の女に人気の品だという。


実は風魔の里では砂糖が取れる、イタヤカエデの樹液から採取するのだが、元々、三つ者が武田時代に陸奥に潜伏時、取ってきて甲斐で栽培していた木で、三つ者が風魔に身を寄せる時、株分けして育ててきた謂れがある。

因みに砂糖と言っても、一般的甘味として調理に使用されることは絶対にない。

収穫量が少ないこともあるが、なにより、甘さは毒物を混入したときの味覚の異変を誤魔化してくれるからだ。

加えて今回の”ばばろーあ”は冷やして提供する。冷やすのもまた味覚を紛らわせるのに効果的だ。そういう意味では、”ばばろーあ”は毒殺には最適な食物といえるだろう。さすがは、お頭である。


今回の毒はヒ素が使用されることになった。この時代すでにヒ素は存在する。

三つ者によると甲斐国の一地方の山で取れるそうで、厳重に秘匿してあるので、現在、甲斐を収めている狸にも伊賀者にも、採取場所は知られていないという。

毒物としてのヒ素の良いところは、無色無臭であり違和感なく食してもらえることだ。即効性はないが、毎日毎日、ヒ素入りばばろーあを食していけば、毒を盛られたという実感すら得ないまま敵を仕留めることが出来るだろう。


ますは、毒なしのばばろーあを女達に食して貰うこと、そして、毒見役を不要とするほどのお気に入りになってもらうのが、当面の目標だ。

(史実での小田原陥落まで、あと85日)

甲斐(山梨)でヒ素が算出するという話は創作です。

山梨はほうとうとか信玄餅とかワインとか美味しい物一杯なところです。


イタヤカエデから取れるのはメープルシロップですが、この時代、本物の砂糖は庶民は見る事すらなかったでしょうから、メープルシロップのことを砂糖だと思っているという設定にしています。

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