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落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
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1590年4月5日・新型炮烙玉

翌4月5日、ご隠居様の弟・氏照様と面会、手先が器用で慎重な性格という条件で兵100名ほど貸してほしいと依頼した。


氏照にはご隠居様から既に話がいっていたようで、直ぐに快諾してくれた。

なんでも、兵たちは今はサイコロ振って遊んだりしているが、やがて、博打遊びに飽きてくれば、退屈な毎日に閉塞感が漂うのを危惧していたそうで、仕事を与えてくれるのは有難いと言われた。100名と言わず2000名くらい使えと言われてしまったので、製造環境が整ったらお願いします。と答えておいた。


なにしろ、先ずは鋳物師にガラスの器を作成してもらうことから始めなければならないのだ。


職人街に向かう前に鯨屋に寄った。鯨の部位で脂身の強い所を尋ね、

皮下脂肪部、内臓、骨などだとのことだったので、それらは全て戦で使用するので売らないよう伝え、他の鯨屋にも通達するよう頼んだ。

グリセリンは容易に抽出できる筈なので、まずは部位を抑えておけば良いだろう。


次に職人街に向かう。

先日の鋳物師・治郎右衛門と会い、珪石からガラスの容器を作って欲しいと伝える。

蒸留作業に使うので、出来るだけ耐熱力のある品を作って欲しいと依頼した。

ガラス器の制作なんて初トライの筈なのに、いきなり耐熱力とか、我ながら無茶ぶりだなと思ったが、意外なことに治郎右衛門は珪石を原料とした鋳物を作ったことがあるという。それも、焼酎醸造所に納める為で、そこでは正に蒸留に使用されている筈だという。

急遽、治郎右衛門の案内で焼酎醸造所に向かう。


そこは小田原に、いやおそらく関東唯一の焼酎醸造所だそうだ。


焼酎なんて日本の伝統酒だからいくらでもあるだろうと思っていたが、この時代にはまだあまり普及していないらしい。

この蔵元も先代が琉球から来た人で、この辺りでは良い麹が取れず、今は八丈島で作った麹を使っているという。

というか、これ焼酎というより泡盛だね。

泡盛のほうがアルコール度数高いからエステル化には有用だし、在庫は5樽ほどあるようだが、全部買い占めてたら5万の兵が黙っていないか。


と思ったが、蔵元によると、一般の人にはあまり飲まれていないので問題ないという。以前は城下に数人お得意さんがいたが、戦が始まると知って皆、町を出て行ってしまったそうだ。何なら増産するから好きなだけ使って欲しい。その代わり絶対戦に勝って欲しいと懇願されてしまった。


さて、肝心の治郎右衛門作の蒸留器を見せてもらう。現代ガラスのような透明感こそないものの、厚めの容器になっており耐久度は問題なさそうだ。唯一、気になったのが、加熱器と冷却器を繋ぐチューブ状の物体だ。これは鯨の腸だという。ここでも鯨の登場である。問題は鯨の腸に耐酸性があるかどうかだが、やはり心配なのでガラスの管を用意してもらおう。


とにかく、新型炮烙玉の製造にはガラスの蒸留器を数多く揃えることが必要だ。

鋳物師、鍛冶師総動員で頑張ってもらうことにした。

(史実での小田原陥落まで、あと92日)

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