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1593年4月24日 号泣と求婚

最近、評価を付けて下さる読者様が増えてきております。本当に有難うございます。

やはり、評価ポイント頂くと嬉しいものですね。

一時期は、毎日更新しているのにランク外なんて時期が続いていましたからね^^;

カタングリ油田はヌイエから本当に近いようで翌日には羽黒党の山師達は竹筒に詰めた原油サンプルを持って帰還していた。彼らによると油が湧き出ている所は無かったが、あたりを付けて掘ると数か所から原油が湧きだしたと言う。掘った所はその後、付近にあった石で塞いだそうだ。また、油田の側は海に面しており、遠浅でもなかったので桟橋も設置可能とのことだった。ただ、海に面してニクブンの集落がいくつか見えたと言う。羽黒党の片言ニクブン語では不安なので近づかずに戻ってきたそうだ。それを聞いてヌイエのニクブンの若者が話をしてくると言ってくれたので、羽黒党の山師と共に出発していった。


そして、今日、オハ油田の視察に行った真田衆が戻って来た。あれ?ソリが増えてるぞ!出発した時はソリ三台だった筈だが、帰って来たのはソリ8台、5台も増えている。どういうこと?


小舟に分乗し川を渡って8台のソリ隊がヌイエに帰還した。早速、真田衆に視察結果を聞きたい所だが、その前に増えた5台のソリが気になる。と思っていたら、ソリから降りたニクブン女性達が、たどたどしいがしっかりとした日本語で


『『『トノ、オハツニオメニカカリマス』』』


と挨拶してきた。何故に日本語?樺太では世界言語効かない筈?と思っていると、


『殿、真田の忍び達を酷使しては可哀想ですよ。オハからここまで片道7日掛かるのが普通ですよ』


何とも、懐かしい、表現しがたい声が聞こえた。声の主を見る。


やはり、やはり、やはり、夕だった。


「夕!!!」


気が付くと俺は夕の元に走り、彼女の胸に顔を埋め泣きじゃくっていた。


『殿、こんな姿、家臣が大勢いる前で見せては駄目ですよ』


夕はそう言いながらも、俺が落ち着くまでそのままでいさせてくれた。


俺がこの世界に転移して以来、時に厳しく、時に優しく、常に影となり俺を守ってくれていたのが夕なのだ。それが、一年ちょっと前に突然姿を消したのだ。俺が自覚している以上に俺の心は寂しかったのだろう。中々涙が止まらなかった。


その夜、漸く落ち着きを取り戻した俺は夕と二人でヨットの甲板にいた。家臣達も遠慮したのだろう、今、このヨットには俺と夕しか載っていない。


「夕、それにしても、何故、こんな遠くにいたんだ?何の連絡もなく突然いなくなったから心配したぞ」


『殿が金髪美女を次々と胎ましたので、側にいたら殿を殺してしまいそうだったので距離を置いたのですわ』


あぁ、あのエタノール消毒液の頃か。今頃は皆出産してるんだろうな。他人事みたいに言ってる場合じゃないが。


「それにしても、何故樺太だったんだ?」


『殿はずっと臭水に拘ってこられました。それに以前、樺太には新津より大きい臭水の場所があるとお話されていたので、先に見に行って現地に味方を作ろうと思ったのです』


「じゃあ、あのソリの者達は?」


『えぇ、私がオハで採用した歩き巫女です。この辺りの人は色んな言葉を話す人が暮らしていますから、言葉を覚えるの早いですよ。彼女達に日本語教えてまだ三か月ですから』


「そうだったのか。それと、金髪の側仕えの件は」


『その話はもう良いです。思い出すと殺意が蘇ってきてしまいますから』


「とっ、ともかく、樺太に信頼できる味方が出来るのは本当に助かる。有難う夕」


こんなに真正面から夕にお礼を言ったのは初めてかも知れない。夕もちょっと戸惑い気味かな。それに、久しぶりにあったせいか、改めて見る夕はとてもとても美しかった。そんな意識が夕にも伝わったのか、話題を変えるように夕が言った。


『それにしても、この地はななつ星(北斗七星)が良く見えますね。隣に輝く小さな星までも良く見えます』


!!!!!!!!!!!!


そっ、そ、それ、俺が子供の頃に読んだ漫画の超々フラグワードだ。


死ぬな夕!と思った瞬間無意識に夕を抱きしめていた。漸く会えたのに、死なせるわけにはいかない。


夕は訳も分からずという感じでただただ驚いていたが、やがて体の力を抜き俺に身を委ねてきた。俺はもう我慢できなかった。


「結婚して欲しい。正室になってくれ」


唇を重ねる。この日、ななつ星始め満天の北の星空の元、二人は初めて結ばれた。

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