表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/272

1592年8月12日 雨竜川リバークルージング

コシャマイン:かつてのアイヌの英雄コシャマインの子孫?

ヤウカイン:石狩川で攫われた少年。十三湊で保護され探索隊に同行している

アッチャシクル:ヤウカインの父

クネキラタ:ヤウカインと一緒に攫われた少年。所在不明。

ハウカセ:ウラユㇱナイコタンのコタンコㇿクㇽ(コタン長)

九鬼嘉隆、梶原景宗とその配下の水軍の者達はウラユㇱナイコタンに滞在している間は特にやることがない。無音銃や食料の警備をするくらいだ。


足利氏姫程アイヌ語は出来ない上、弥助やザワティ程目立つ存在でもないので手持ち無沙汰感が見ていてもわかる。


そこで、提案したのが、小舟で雨竜川が遡上してみようというレジャー企画だ。


彼らの櫂を漕ぐ力強さはアイヌのこのコタンの人達も見れば驚くに違いない。


ハウカセからも了解が取れたので、参加者を募っていく事にした。


参加は九鬼、梶原とその水軍の者4名、俺、弥助、ラーニャ、ザワティ、えん、足利氏姫と彼女の友達のアイヌの女の子10人。そして、コシャマイン。

ヤウカインは父親と久々に狩りに出るらしく不参加だ。


立花夫妻には荷物の警護を頼んだ。尚、無音銃はアイヌ人には見せていない。欲しいと言われては困るし、種子島と同等の威力で火薬もいらない武器など与えたらアイヌ人内のパワーバランスが大きく変化する危険があるからだ。


アイヌ人の男衆は警備を兼ねて筏舟を出してきた。櫂というより棒で川底を押して進むような感じだ。


さて、ちょっとしたピクニックに出発だ。


案の定、九鬼水軍の漕ぐ速さに皆ビックリ。他の舟は瞬く間に置きざりにされてしまい、皆大笑い。しばらく先で待っていた九鬼の舟に皆乗りたがるので交代で乗船し速さを体験してもらう。なんだか遊園地のジェットコースターみたいだ。男も女もこんなに楽しそうなアイヌ人を見るのは初めてだ。このレジャーやって良かったと思った。


途中、出た。ヒグマだ。川で水を飲んでいたようだ。アイヌ人によると、雄だそうだ。雄熊に出会うのは珍しいと言っていたが、さてどうする?こっちは大騒ぎしていたからもう熊にはバレている。


アイヌの男が弓を出そうとしていたが、それより早く梶原配下の男が弓を構え射た。右肩脱いで凛々しい事凛々しい事。矢は熊の眉間を貫いた。物凄い怒りようだ。次の矢を番える間、別の者が矢を射る。今度は右目を貫いた。アイヌの男も射る。こうして何本もの矢を浴び、雄熊は等々力尽きた。倒れた熊に弥助が武士の情けとばかり刀で喉元を一突き。こうして熊は息絶えた。


アイヌ人にとって熊は神と同じだそうだが、こうして出会ってしまった場合は、闘って倒すしかないそうだ。まあ、言葉が通じないんだから仕方ないね。


ところで、熊の為に上陸した川辺で凄い物を発見した。その名はルテニウム。現代では昭和後期に雨竜川で一粒発見されたと記憶していたが、この時代は一粒なんてもんじゃない。辺り一辺ルテニウム、他白金系の鉱石がずらりだ。これは石炭以上に価値がある。なにしろルテニウムはアンモニア合成の触媒として優秀な素材だ。


熊を解体しているアイヌの男を借り、弥助や水軍衆にも声をかけ、ルテニウムを集められるだけ集めた。こうして、思わず収穫のあった雨竜川リバークルーズは終了した。


さて、クルーズから戻ったらアイヌ人の女の子達からのアプローチが始まった。といってもターゲットは俺じゃない。川辺で石拾いばかりしてた俺が相手にされるはずがない。彼女たちのお目当ては熊相手に凛々しく戦った梶原水軍と物凄い速さで舟を進めた九鬼水軍の若者である。これは何組かカップル成立するかな?


しかし、両親は和人の嫁として嫁いでいく事を認めるのかな?


更に、問題はもう一つ、ラーニャとザワティの懐妊が判明した。問題と言ってもこの問題の原因は俺なわけだが・・


だが、これから野分の季節を迎える。身重のまま船に揺られての帰国は危険な気がする。本人たちや立花夫妻、足利氏姫の意見も聞いた。


ラーニャとザワティは


『万一の事があるといけないので、産まれるまでここにいたい』


で一致していた。立花誾千代もハウカセに頼んでアイヌの女性の助けもかりでここで出産してはどうか?という。


足利氏姫はアイヌ人の出産事情を聞きに出て行った。


ただ、いま懐妊が分かったということは出産はどんなに早くて年明け。真冬の季節である。俺達に蝦夷の冬を越せるのだろうか?ラーニャもザワティも世話役のクメール人も皆暑い地方の出身なのだ。とりあえず、羽黒党に頼んで道南にいる筈の塀和に連絡を頼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [気になる点] 動物・獣に眉はあるんでしょうか? 眉が無ければ「眉間」という表現は如何なものかと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ