表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ち武者・歴史は知らない理系リーマン、化学チートで戦国を駆ける   作者: ディエゴ
第一章 包囲されたはじめての街
12/272

幕間・現代での転落

美人の先輩香織と婚約。おまけに結婚式の仲人は専務取締役に決まったことで、俺は、エリートコース確定!とばかりに完全に有頂天な幸せな日々を過ごしていた。


が、綻びは意外な処から訪れる。


最初は新潟での営業時代にちょっと付き合った由佳理だった。


新潟は鉄道車両製造の大手メーカーがあり、そこの会社の女性が由佳理だ。


付き合ったきっかけは、「かつて新潟には新津油田という日本最大の油田があった。」という話からだった。


日本に油田があったなんて全く知らなった俺は彼女の案内で油井跡やら巡るドライブする関係になり、そのまま男女の仲になっていったのだったが、その由佳理が俺の婚約を知って、クレームを付けてきたのだ。


俺が新潟に居たのは、半年程度だったし最近は研究三昧で連絡もとりあっていなかったし、自然消滅した仲だと思っていたのだが、”婚約”と知って黙っていられなかったらしい。最初は電話やSNSで諭していたのだが、とうとう会社に押しかけて来てしまった。しかも、俺のいる研究所じゃなく本社営業部に!


もう一人は、日立の大手電機メーカーの女性・恵理だ。


彼女とは入社一年目の夏、水戸に赴任していた時に知り合った。


先方の重役のお嬢様だった恵理は、父親の秘書っぽい感じで飲み会にも父に付き添う形で同席することが多かった。


『明治の頃は、この北茨城から福島南部にかけて大きな炭鉱があったそうだよ』


とても穏やかに昔話をしてくれる優しい重役さんの話にすっかり気を許した俺は、気が付けば恵理も含めた家族ぐるみの付き合いになっていた。


時には恵理と二人だけで週末を過ごすようになったが、新入社員の営業研修期間は短く、夏の終わりと共に俺は転勤。


やがてSNSのみでのやりとりとなり、特に研究所入りして以降はメッセージのやり取りも無くなったので、もう完全に終わった関係だと思っていたのだ。


が!やはり彼女も俺の”婚約”を知るやクレームを付けてきた。しかも、重役の父親経由で、俺の仲人をしてくれる予定になっていた専務に!


この手のトラブルは会社にバレるのは非常に悪い。噂に尾ひれが付きどんどん話が大きくなっていく。


曰く、「孝太郎は化学のドン・ファン!」とか「女性は二人とも孝太郎の意向で中絶させられている」とか。事実無根の噂がドンドン広がっていく。


極めつけは婚約者の香織がこの手の噂話に耐え切れず手首を切ったことだった。


幸い発見が早く大事には至らなかったが、これが俺の人生を決定づけたともいえる。


香織の最後の言葉は「信じてあげられなくて御免なさい」だった。


彼女にとっては俺が初めての恋愛だったらしく、衝撃も大きかったのだろう。


結局、俺は「将来のノーベル賞候補!」の期待の若手から、女に汚い最低男に転落。


勿論、婚約は破棄され、横浜総合研究所研究員から広島県呉市にある会社の歴史資料館館長代理という閑職に追いやられてしまった。25歳で出世絶望おまけ人生の始まりである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ