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1592年4月16日 幕間・自分に与えられた能力

よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーやく、八丈島から雄二と甲斐姫が帰って来た。10ヶ月もハネムーンに行ってくるとは、現代の社畜日本人に知られたら羨ましがられる。いや、恨まれても仕方がないぞ!


ということで、キツークお説教でもしてやろうかと思ったが、彼らは乳児を抱いていた。なんでも、八丈島で甲斐姫が身籠っている事が判明し、そんな状態で船旅は危険とのことで現地で出産と相成ったんだそうだ。知人もいない離島での出産はさぞかし心細かっただろう。しかも、双子である。彼らには歩き巫女の御産婆さんも同行しなかったし難産だったことだろう。それにしても、ラーニャもザワティも双子を産んだ。風魔は双子の家系なんだろうか?


そういえば、双子の片方は捨てられたり殺されたりしてたんだっけ。そういった子を忍びは拾い育てる事も多いとう話だから遺伝的には双子が続いても不思議はないのかな?


さて、雄二からの説明により、八丈島でのサトウキビ栽培は無事に始まることになった。更に八丈島の南に青ヶ島という無人島があるらしいのだが、その島一帯を耕しサトウキビ島にするとか何とも大きな話になったそうだ。元サトウキビ農家だというその琉球人のやる気が伝わってくるね。


俺に挨拶してきた見事に日焼けした男は、最初、誰だか分からなかったが万喜城主・土岐頼春だ。元々はサトウキビの件は彼に託したのだったっけ。


俺は今回の任務に加え雄二と甲斐姫の世話までしてくれた彼を大いに労った。いずれ希望を聞いて何か恩賞を与えねばね。


さて、この世界に来てもう2年が過ぎた。


普通、異世界やらタイムトリップした人は何かしらチートスキルが付くのが定番だ。だが、この2年、自分には何も能力が発現していない。


コンタクトやメガネが欠かせなかった現代での自分が今は途方もない遠くまで肉眼で見る事ができるし、登山などやったことない俺が日光山を普通に走破できた。


ただ、これは転移によるチートではなく、この風魔小太郎の体のお陰だ。


因みに魔法の習得はもう完全に諦めた。切っ掛けは夕の接近を気配で察知できるようになったことである。つまり彼女は卓越した忍びの能力で気配を消して接近してきてるのであり、転移魔法を使ってるわけではなかったのだ。


魔法を諦めて、改めて考えてみて気が付いた事がある。


異世界物のスキルに世界言語とか言語理解とかいうのがある。


簡単に言えば、転移先の言葉を話せ聞き取れるというスキルだ。


よくよく考えたら、俺はこの種のスキルを持っているのではないか?


というのは、この時代はテレビもラジオもない。勿論、学校教育もない。


つまり、少なくとも口語における標準語なんてない世界なのだ。


しかし、俺は陸奥の者だろうが、畿内の者だろうが、全く苦にせず会話出来ている。いや、俺の耳には彼らの話は標準語として入って来ていたのである。


周囲の者達は、俺が風魔小太郎だったことを知ってるので、色んな方言を理解していても”流石はお頭”くらいにしか思わないのだろう。


こう考えた切っ掛けは、以前、小田原の泡盛屋を訪ねた時だった。


当主・先左衛門が弟子と雑談している際に話に加わったのだが、後で、


『伊勢様は琉球語も達者なのですな』


といわれたのだ。彼らは琉球語で話していたらしい。つまり、俺は琉球語を標準語として聞くことができ、俺の言葉は相手には琉球語として伝わったということだ。


とはいえ、このスキル万能ではない。密貿易船の明人の言葉は分からなかったし、ラーニャのアラビア語もアラビア語として耳に入ってくる。


ということは、現代日本の領土内の言葉であれば標準語に変換されるのか?


現代中国は尖閣諸島の領有を主張しているが、明語が変換されないのは日本が実効支配している為か、あるいは無人島だからか?


日本が実効支配していない場合はどうなるんだろう?


例えば、竹島は韓国に実効支配されているがこの時代の朝鮮人の言葉は変換されるのか?北方領土はどうだろう?ロシア語は俺の耳に日本語の標準語として入ってくるのだろうか?竹島は無人島、北方四島は有人島という違いがあるが・・


まあ、俺は朝鮮人とは会う予定はないし、ロシアはこの時代ではまだシベリアを伺い始めたかどうかという状況だろう。先ず会う事はないだろう。


そこで、実利的な検証課題として北海道つまりこの時代の蝦夷である。


蝦夷にはアイヌ人が住んでいる筈だ。もし俺が異界言語のようなスキルを得ているとしたらアイヌ人と直に話が出来る筈だ。


もう一つのスキルは上手く表現できないが、物質の再現性みたいなスキルだ。

改めて考えてみれば、空気という概念がまだないこの時代にエアガンが開発されたってのはやはりおかしいだろう。しかも、自分はエアガンの内部構造は全く知らないのである。

それに、相良油田で開発を進めている内燃機関。ああも簡単に試作品が完成するのはやはり異常ではないか?

この時代の職人が優秀というのもあるが、それにしてもチート過ぎる気がする。

なにか、再現可能な物と不可能な物との線引きがある筈だが、今のところ見当がつかない。


最後は記憶だ。

この世界に来て2年。それが未だに呉の資料館でみた日本炭鉱一覧等各種資料を完全に覚えているのだ。いや、覚えているというのは正確ではない。必要に応じて完全に思い出すことができるのだ。長年打ち込んできた化学に関することならともかく、「飛び鉋」とか新人時代の赴任先で地元の人にちょっと教わった事を、陶工に指導できるレベルで思い出すなんて、やはり普通の記憶力ではない。


これも思い出せるか否か、なにか線引きがある筈だがやはり見当がつかない。


さて、現状で思い付く自分のチートはこんな程度だ。だが、無意識に使うのと、チートかもと意識して使うのではスキルの伸びも変わってくるのではないか?


戦国時代3年目、今年こそオリジナルチートを開花させたい!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 三人かと思っていたら四人で帰ってきた。
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