第26話 依頼と練習
遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
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〔デイ・ノルド王国〕南部 王家直轄領 とある町 冒険者レギオン支部
「おい、アレ。」
冒険者レギオンのロビーで、仲間と話していた冒険者が、何かを発見して仲間に声をかけた。
声をかけられた仲間たちもその冒険者が、指している方向に向くと、全員、「えっ」と言う顔をしてそれを見つめた。
そこには、こんな光景が、広がっていた。
「ウ~、狩りの依頼は、ほとんど無いか、魔物の討伐依頼ばかりだな、これじゃエギルには、させられないな。」
冒険者レギオンに持ち込まれ依頼を掲示している掲示板の前で、ガタイの良い男が、そんな事を言ってた。
「シルビアの方で良いのが見つからなかったら、引き上げるか。」
そう言うと男は、受付のカウンターに向かい、そこで受付嬢と話をしている女性の元へと歩み寄った。
「シルビア、何か目ぼしい依頼は、あったか?」
そう声をかけられた女性は、振り返ると、こう言って来た。
「あら、ガル。掲示板の方は、どうだったの?」
そう言われてガルと呼ばれた男性は、こう返答した。
「狩りのクエストは、あんまりないな。有るのは、危険度の高い動物のクエストだけだ。今のエギルには、やらせられない。」
それを聞いたシルビアと呼ばれた女性は、こう言った。
「そうね、エギルが、いくら出来る子であっても、危険生物を狩るのはちょっと危険ね。という訳なんだけど、いいクエストないかしら?」
そう言って受付嬢に話を振ったのであった。話を振られた受付嬢は、かなり動揺しながら「はい。」と言うと、依頼書の束を漁りだした。
そしてしばらく書類を捲っていき、とある書類で停止した。そしてそれを束から抜き出して、ガルとシルビアに見せた。
二人は、書面を確認すると、「よし。」と言って頷き合うと、受付嬢に対してこう言った。
「それじゃ、その依頼、引き受けます。」
それを聞いた受付嬢は、「分かりました。」と言って、依頼書に受注の判子を押し、カウンターに置かれている魔導装置に置いた。
するとガルとシルビアは、冒険者の身分の証である、『冒険者登録証』を取り出して、依頼書の置かれた魔導装置にそれをかざした。
すると登録書のプレートに受注中の文字が、浮かび上がった。この印が、クエストを受けた証であった。
二人は、登録証を仕舞うと、受付嬢に「ありがとう」と礼を言って、カウンターを離れ、建物の外へと出て行ったのであった。
その後、このレギオン支部では、数日間、有名人がやって来た事で大いに盛り上がる事になったのであった。
僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、ガル叔父上とシルビア叔母上が、冒険者レギオンから帰ってくるのを待っていた。
僕は、使節団が滞在している王家の別邸の庭で、短弓の練習を行っていた。その練習内容とは、リウム先生に頼んで、動く的を魔法で作ってもらい、それを射っていくというものである。
キリ キリ キリ キリキリキリキリ キリ ビューン。 トサ。
動いている的に向かって矢が飛んでいく、しかし、的が矢が当たるよりも速く動いていたため、当たることなく屋敷の壁に当たり、地面に落ちてしまった。
僕は、それを見て、少しいる角度を変え、再び矢を番えて、放った。すると今度は、的に掠ったものの、命中することなく、再び壁に当たり、地面に落ちたのであった。
そんな事が繰り返されながら練習していると、後ろからガル叔父上の声が、聞こえて来た。
「エギル、いい依頼が見つかったぞ、明日、狩りをしに行くぞ。」
僕は、そう言われて番えていた矢を外して、矢筒に戻すと、叔父上の方へと振り返り、こう尋ねた。
「どんな依頼なの、叔父上。」
そう言うと叔父上は、自分の『冒険者登録証』を取り出して、依頼内容を投影して僕に見せたのであった。
そこには、比較的難易度の高い依頼が、表示されていた。僕は、それを見て若干尻込みしそうになった。
しかし、わざわざ叔父上たちが、探してきてくれた依頼である。その好意を無にしない為、僕は、こう言った。
「分かった、叔父上。がんばるよ。」
そう言って先ほど弓に番えていた矢を再び番えると、動く的に向けて発射したのであった。
すると矢は、的に命中したのであった。
そして次の日、ガル叔父上とシルビア叔母上と共に、獲物がいる森へとやって来たのであった。
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