第23話 顛末と基地
遅くなってしまい、すみませんでした。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕中央部南側 公都〔スリオス〕 公城 スリオウシス城
デオルード伯父上とミリエル伯母上の馴れ初め話を聞き終えた僕たちは、談話室を後にしてそれぞれの部屋へと引き上げて行き、就寝の準備を終わらせ、後は、ベットに横になるだけとなった。
しかしふと疑問に思ったことが出来たので、それを確認する為、横で本を読んでいるリウム先生に質問をしてみた。
「リウム先生、〔タルスク公国〕の公子殿下は、あの後、どうなったのですか?」
その質問に先生は、読んでいた本から顔を上げて、こう答えた。
「公子は、海兵隊に捕まった後、近衛師団に引き渡されて、取り調べを受けたの、でも自分の事を正当化するばかりで、全くと言って反省をしている状態ではなかったわ。それを聞いたイルドリ大公は、激怒して彼を廃嫡にして、勘当して、刑に服する様に言って来たわ。それを聞いた公子は、ようやく事の重大性が、分かったようで、その後は、取り調べにも素直に応じたのよ。その後、起訴猶予と言う処分が下されたわ。その後彼は、大公に引き取られて公国へと帰っていたわ。」
僕は、それを聞いて「へぇ~」と思いながら、それに関連した質問を先生にした。
「じゃあ、先生。公子が、勝手に婚約を破棄してまで結婚しようとしていた女性は、どうなったの?」
その質問をすると先生は、本を閉じてこう答えた。
「彼女も、同じく近衛師団に引き渡されて取り調べを受けたのだけど、その証言を裏どりする為にものすごい労力を費やすことになって、捜査が、全く捗らなくなったの。だから私が、呼ばれて事実を話す人形の魔法で、彼女が受けた嫌がらせが本当にあったのかを調べたわ。その結果、嫌がらせは、一部あったのだけど、ミリエル殿下は、その一部にはかかわっていなかったわ。そして彼女が、主張した嫌がらせの大部分は、彼女の自作自演であったことが分かってね。彼女の証言に信憑性はないと判断され、「虚偽告訴罪」と「名誉棄損罪」の両方を問われて起訴され、裁判所での審理において、有罪となり、罰金と修道院への送致が、決まったわ。そして今も、彼女は、そこで暮らしているわ。」
先生は、そう締めくくると、こう言って来た。
「もう、お休みの時間ですよ、エギル。明日は、用事が沢山あるのだから、早く寝なさい。」
僕は、先生のその言葉を受けて「はい。」と言うと、ベットへと向かい、横になったのであった。
そして先ほどの話での教訓を胸に刻みつけて、目を閉じたのであった。
次の日。
僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、デオルード伯父上・ミリエル伯母上夫妻とその子供たち、さらにお爺様たちとの朝食を終え、スリオウシス城を馬車に乗って出発し、とある場所へと向かった。
その場所とは、公都〔スリオス〕から南東に40キロ離れた場所に存在する平原と湖である。
何故、ここに来たかと言うと今から行われるモノを見に来たのであった。
馬車が、湖が見える場所に差し掛かると、ゆっくりと速度を落として行き、完全に呈した。
すると外から声が、聞こえて来た。
「此処からは、危険区域です。軍の関係以外の方のご入場は、お断りさせていただいています。」
その声を受けて馬車を操縦している御者が、こう言った。
「基地の司令官には、御許可をいただいている。本日演習をご見学なさる、我が国の第一王子エギル・フォン=パラン=ノルド殿下が、乗っておられる。直ぐに道をお開け願いたい。」
それを聞いた守備兵は、こう返した。
「分かりました。直ちに司令官に確認を取ります。それまでお待ちください。」
そう言うと守備兵は、仲間の守備兵の一人に司令官への問い合わせの通信を入れるように指示をした。
そして彼は、僕が乗っている馬車を点検し、危険物が積まれていないかなどを確認し、馬車の扉をノックした。
そのノックを同乗している侍女が受けた。
「はい、如何しましたか?」
侍女は、馬車の扉の窓を開けると、守備兵に応えた。そして守備兵は、こう尋ねて来た。
「こちらの馬車に、エギル殿下は、御乗車されているか?」
その問いに対して侍女は、こう答えた。
「はい、御乗車されて居ります。」
それを受けた守備兵は、こう返してきた。
「侍女殿の言葉を信じない訳ではないが、確認の為、車内を見分させていただきたい。」
それを受けた侍女は、ムッとした顔をして守備兵に対して何かを言おうとしたので、僕は、こう言って止めた。
「ミーナ、言ったらダメ。彼は、仕事をしているだけなんだから。」
それを聞いた侍女は、「はい、分かりました。」と言って、守備兵に対してこう返した。
「どうぞ、ご自分の目でお確かめください。」
そう言って馬車の扉を開けた。すると守備兵は、「失礼します」と言って武器を置いて車内へと入って来た。
そして僕の顔を見ると跪いた。
「お初に御意を得ます。本基地の門の守備隊の隊長をしております。ラッセル・ネルガンズ大尉であります。車内の確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
僕は、それを聞いてこう答えた。
「ネルガンズ大尉、任務ご苦労様です。どうぞ、確認してください。」
それを聞いた守備兵は、「はっ、ありがとうございます。」と言って立ち上がると車内の確認を行った。
そして車内の点検が終わるのと同時に、仲間の守備兵が、こちらに向かってきて、こう告げた。
「隊長、司令官に、確認しました。本日エギル殿下は、演習をご覧になる為、本基地に来られるとの事です。危険物の点検が、終了次第直ちにお通ししろとの事です。」
それを受けた守備兵は、こう返答した。
「了解した。」
そう言い終わるとまた跪いて、こう言って来た。
「殿下、確認完了いたしました。どうぞ、お通りください。」
そう言って立ち上がると馬車から降りて「失礼します。」と言うと扉を閉めて、仲間たちに開門を支持した。そして全員直立不動で敬礼を行った。
それを受けた御者は、馬車を発進させ、ゲートを通過したのであった。そしてそのまま進んで行き、建物の前で停止したのであった。
建物の前には、赤いカーペットが敷かれており、その両脇を制服を纏い、魔銃を抱えた兵士たちが立っていた。
そして一人の兵士が馬車に歩み寄ると、扉を開けてタラップを降ろし、横に退いた。すると掛け声がかかった。
「気よ付け、第一王子殿下に、ささげー銃。」
ザっという音が聞こえ、兵士たちが捧げ銃をしながらこちら側顔を向けた。僕は、それを受けて。扉から出ると、赤いカーペットに降りると、兵士たちの間を進み、正面で敬礼をしている人物の場所へと向かった。
その人物は、僕が、自分の居る場所に到着するとこう答えた。
「御来訪歓迎いたします、エギル殿下。当基地を国王陛下よりお預かりしております、イースガイル・フォン・ドニラブルズ少将です。」
それに対して僕は、こう答えた。
「今日は、お世話になります。ドニラブルズ少将。」
そう言って手を伸ばした。すると少将も「光栄であります」と言って手を差し出した。僕たちは、握手をすると少将の案内で基地の中へと入って行ったのであった。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




