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第20話 馴初めと申込

遅くなってしまい、すみませんでした。


どうぞ、お読みください。

〔デイ・ノルド王国〕中央部南側 公都〔スリオス〕 公城 スリオウシス城


 僕たち晩餐会の参加者は、広間の隣に在る談話室へと向かい、お爺様たちとガル叔父上、リウム先生は椅子に腰掛け、僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドを含む子供たちはデオルード伯父上とミリエル伯母上の座る椅子の前にクッションを置いて絨毯の上に座ったのであった。

僕たちが、座ったことを確認した伯父上が、伯母上に対しこう言った。


「さて、何処から話そうか?」


 そう聞かれた伯母上は、こう答えた。


「まずは、私たちの出会いから話しましょう。」


 それを聞いた伯父上は、「そうだな。」と言うと、椅子の横に置かれているサイドテーブルに乗っていた鈴を鳴らした。

鈴が、鳴ってすぐに執事長が入ってきた。伯父上は、執事長に自分を含めた全員のお茶の用意を頼んだ。

執事長は、「かしこまりました。」と言って談話室を後にしたのであった。

それを確認した伯父上は、「おほん。」と咳払いをしてこう語りだした。


「ミリエルと最初に会ったのは、私が、〔ハルマ―〕にある海兵隊士官学校に通っている時だ。」






 今から30年前、〔デイ・ノルド王国〕首都〔ハルマ―〕の大通りを何の制服を着た10代の少年が、歩いていた。

少年の名は、デオルード・フォン・ユーリナタス。ユーリナタス公爵家の嫡男である。彼が着ているのは、〔デイ・ノルド王国〕王国海兵隊・海兵隊士官学校の制服である。海兵隊士官学校とは、海兵隊の士官を目指す若者たちが日々研鑽を積んでいる、養成学校である。

デオルード少年は、その制服をビシッと着用し、地面を踏みしめる靴も汚れ一つなくピカピカに磨き上げられ、そして少年の頭には、海兵隊伝統のつばが広い、ブッシュハットと呼ばれる帽子が、載っていた。

 では何故デオルード少年は、こうして正装をして首都の大通りを歩いているのかと言うと、それは今日、士官学校がお休みであり、外泊許可が出たため、これから実家であるユーリナタス公爵家別邸に顔を見せに行くためである。

丁度この日、デオルード少年の両親である、ユーリナタス公爵夫妻が、首都へと来ており、タイミング合ったため、こうして学校の外へと出たのであった。

 首都の大通りを進み、貴族たちの邸宅が立ち並ぶ区画へと入り、公爵家の別邸が集まっている場所へと進んで行く、そしてユーリナタス公爵家別邸が、見えて来た。するとその別邸の前にデオルード少年の知らない馬車が、停まっていた。そして門の警備をしている警備兵が、にわかに緊張している顔をしているのである。

デオルード少年は、何かあったのかなと思いながら、別邸の門の前へとやって来た。すると門番は、デオルード少年が来た事を理解しこう言った。


「坊ちゃま、お帰りなさいませ。」


 するとデオルード少年は、その言い方に少しムッとするとこう言った。


「もう、坊ちゃまって言われる年じゃないよ。」


 そう言われた門番は、「はははは。」と言って笑いこう返した。


「私たちにとって坊ちゃまは、いつまでたっても坊ちゃまです。」


 そう言われたデオルード少年は、「はっ。」とため息を吐いて、こう続けた。


「父上は、別邸内にいる?」


 そう問われた門番は、こう答えた。


「はい、いらっしゃいます。ですが、お客様が、来ておりますので、その対応の最中かと。」


 それを聞いたデオルード少年は、「うん、分かった。」と言ってこう続けた。


「入ってもいい?」


 そう問われた門番は、苦笑いを浮かべながらこう言った。


「はい、とうぞ、お通りください。」


 デオルード少年は、その言葉を受けて公爵家別邸の門を潜り、そして玄関へと入った。玄関を通り抜けたデオルード少年は、出迎えにやって来た侍女たちを伴って父親である公爵に挨拶をしようと応接室へと向かった。

応接室の前に着くと、中から公爵の声と幼い女性の声が聞こえて来た。少年は、何だろうと思いながら応接室の扉を3回ノックした。

すると応接室の中から公爵が、「入れ。」と言って来た。少年は、その言葉に従って扉を開け、被っていた帽子を取り、「失礼します。」と言って応接室へと入った。

 入った応接室の中には、公爵と少年と同じ十代の少女が居た。公爵は、入って来た息子を確認すると、自分の隣に来るように手招き、公爵の目の前に座っている少女に紹介した。


「ミリエル王女殿下、我が公爵家の嫡男、デオルードです。息子は、現在、海兵隊士官学校に在籍していますので、殿下が、お望みの事に応えてくれると思いますよ。」


 それを聞いたミリエル王女は、期待の籠った目でデオルード少年を見つめるとこう尋ねて来た。


「初めまして、デオルード様。ノルド王家第一王女、ミリエル・フォン=サールカ=ノルドです。突然ですが、私の婚約者になってくれませんか?」


「はっ。」


 それを聞いたデオルード少年は、しばらく固まったのであった。






 時は、談話室に戻る。


 それを聞いた僕たち子供は、驚いていた。そしてお爺様たちは、「あ~、そうだったな」と言う顔をしながら聞いていた。

そして伯父上と伯母上は、イチャイチャしながら、お互いに対してこう言っていた。


「あの頃から、君は、大胆だった。まさかこう成るとは、思っていなかったけど。」


 と伯父上が言った。そして伯母上もこう言った。


「えぇ、私も思っていなかったわ。でも貴方と出会えて私は、今とっても幸せよ。」


 二人とも惚気出してしまい話が、全く前へと進まないので、僕は、こう言った。


「伯父上、伯母上、話の続きをしてください。」


 二人は、「ハッ」となると咳払いをしてから続きを話し始めたのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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