第18話 出迎えと歓待
遅くなってしまい、すみませんでした。
少し短いですが、どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕中央部南側 公都〔スリオス〕 公城 スリオウシス城
公都の正面玄関である大門を潜り、公都に住む国民からの手厚い歓迎を受けながら大通りを番者に乗って進んで行った僕たちは、ユーリナタス公爵家の居城であり、公都の政治中枢であるスリオウシス城に到着していた。
城の車止めに到着すると、公爵家に仕える執事の一人が、僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドとガーベリウム・フォン・ノグランシア公爵の乗る馬車に近づき、扉のハンドルに手をかけて、扉を開けると、体を横に向けて礼をしてきた。
僕は、それを受けて馬車から降りて、車止めから続いている階段を登って行った。階段を登りきると城の正面玄関に公爵家の使用人たちが待っており、こう言って来た。
「ようこそお出で下さいました、エギル殿下。」
そう言って簡易の庶民が、王族に対してする礼を行った。それに対して僕も王族が、庶民に対してする礼の簡易版で挨拶を返した。
そしてそのまま城の玄関を通り抜けると先に城に入っていたお爺様たちが、大柄な男性とその隣に立っている女性と親しく話していた。
すると大柄な男性が、僕が入って来た事に気付いて、手招きをしたのであった。僕は、その手招きに応じて、お爺様たちがいる場所へと向かうと、こう言ったのである。
「伯父上、お久しぶりでございます。誕生会以来ですが、お元気ですか?」
そう言われて大柄な男性は、こう答えた。
「おう、元気だぞ、エギル。こっちも久しぶりに顔を見れてうれしいぞ。」
そう言うと、「ガハハハ。」と笑いながら僕の頭をワシワシと撫でたのであった。そして大柄な男性は、一通り頭を撫で終えると、少し横に退いて、隣で立っている女性にその場を譲った。
そしてその女性は、僕の前に立つとこう言って来た。
「エギル、元気かしら? 疲れていないかしら、何かあったら私に言うのよ。」
そう言い終えると僕を抱きしめて来た。僕は、その状態ではあるが、こう答えた。
「はい、元気ですよ。伯母上。大丈夫です、まだまだ元気です。」
それを聞いた女性は、抱擁を緩めると僕の顔をジッと見ると、「うん。」と頷くと立ち上がり大柄な男性の隣に再び戻ったのであった。
それを見ていたお爺様とお婆様は、二人とも「ふふふ。」と笑うとお爺様が、こう言って来た。
「ミリエル、相変わらず子供好きだな。エギルが、戸惑って居ったぞ。」
それを聞いた女性は、こう返した。
「当たり前です、父上。子供は、私たちの国の宝物なのですから。」
それを聞いたお爺様は、ニッコリとすると、「そうだな。」と言って女性に同意を示した。
そうこの僕たちを出迎えた大柄な男性とその横に立っている女性は、僕の親戚である。大柄な男性の方は、デオルード・フォン・ユーリナタス。歳は、45歳。現ユーリナタス公爵である。
そして女性の方は、ミリエル・フォン・ユーリナタス。歳は、44歳。現ユーリナタス公爵夫人であり、公爵との結婚前は、ミリエル・フォン=サールカ=ノルド。お爺様とお婆様の間に生まれた最初の子供で、父上たちの姉であり、僕の伯母上の一人である。
そうこうしている内に公爵家の執事たちが、馬車の中から荷物を取り出して部屋へと持って行っていた。
それに気づいたデオルード伯父上は、執事長を呼ぶと僕たちをそれぞれの客間へ案内する様に言うと、こう言ってその場を後にしたのであった。
「では、先王陛下。私は、公務に戻りますので、一旦失礼させていただきます。後ほど晩餐の席で。」
と言ってお爺様に言うと、ミリエル伯母上にも何かを耳打ちすると、そそくさとその場を離れ公務に戻ったのであった。
僕たちは、執事長の案内の元、それぞれの貴賓室へと向かい、侍女たちに手伝ってもらいながら、荷解きを行い、部屋の中で寛ぐのであった。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




