第17話 役割と歓迎
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〔デイ・ノルド王国〕中央部 公都 〔スリオス〕近郊 平原
僕たちは、軽食を食べ終えるとそれぞれが乗るべき馬車へと乗り込み、再び公都〔スリオス〕へと進路を取った。
先頭は、馬に騎乗した近衛騎士二人で、その次に侍女たちが乗った馬車、その後ろにお爺様とお婆様が乗る馬車で、その馬車の両脇を馬に騎乗した近衛騎士四人が固める。そしてその後ろにも侍女たちの馬車が続き、ガル叔父上とシルビア叔母上が乗る馬車がそれに続いている。そして叔父上たちの馬車の両脇にも、馬に騎乗した近衛騎士が四人、並走して走っている。
そしてもう一台侍女たちの馬車を挟んで、僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドとガーベリウム・フォン・ノグランシア公爵を乗せた馬車が続いている。そして僕たちが、乗る馬車の両脇にも馬に騎乗した近衛騎士が四人、並走していた。
さして馬車列の最後尾に馬に騎乗した近衛騎士二人が、警護をしてくれていた。
僕は、少し揺れる馬車の中で、リウム先生と向かい合い、さっきの休憩の時に聞いた、質問の答えとなる講義を受けていた。
リウム先生が、口火を切り、こう言って来た。
「殿下、まずは我々公爵家の成り立ちからお教えいたしましょう。」
そう言ってリウム先生は、椅子に置いていた杖を取り、魔法を唱えだした。
「示せ・事の流れ・話せ・事の意図・動け・知る者たち・ドールズヒストリックホール。」
すると杖から何体もの人形が、出てきて、椅子の上に着地すると僕に向かってお辞儀をして、劇を開始したのであった。
先生は、その劇の進行に合わせて公爵家の成り立ちを教えてくれた。
劇の内容は、こうである。
『昔々、ある国の村に男の子が住んでいました。その男の子は、とても利発で好奇心旺盛な子供でした。ある時、男の子は、村のはずれに住んでいる様々な事を知っている賢者と呼ばれる女性を尋ねました。男の子は、賢者にこう言いました。「僕にあらゆる事を教えてください」と、賢者は、「何故、そんなに知りたいの」と問い返しました。その問いに男の子は、こう答えたのです。「僕は、人を助けたい。助けるためには、いろいろな事を知っていて、それを使いこなすことが、出来なきゃならない。だから僕に勉強を教えてください。」と、賢者は、その思いを聞き、男の子に勉強を教える事に成りました。』
すると場面が、変わり、六体の人形たちが加わった。
『数年以上が、経ちました。男の子も大きくなり、青年と呼ばれる年になっていたのです。しかし彼に勉強を教えている賢者は、年を取りませんでした。彼女は、龍人と呼ばれる存在で、不老長寿の種族でした。青年は、そんな賢者に教えられることにより、村で、皆から一目を置かれる存在になっていました。そんな時です、村に国の役人が来訪し、こう告げたのでした。「戦争になったこの村も危ない。急いで荷物を纏めて村から離れろ。」それを聞いた青年は、役人にこう言いました。「僕は、戦います。村の皆を助けたいです。」、その言葉を聞いた役人は、「分かった、一緒に行こう。」と言いました。そしてそれを聞いていた賢者もこう言いました。「私も、ここの皆さんに恩返しする為、戦います。」、そして二人は、役人連れられて戦争へと向かいました。戦場で、二人は、自分たちの近くに住む村人四人と会いました。彼らは、直ぐに仲良くなり、友達になりました。しかし、戦争に負け国は滅びました。六人は、生まれ故郷を守る為、村々を一つにして戦う事を決めました。そして彼らは、村を守り切り、平和が訪れました。』
再び場面が変わり、また人形たちが加わった。
『青年と賢者と四人の仲間は、国を作りました。そして青年が、王様になりました。そして王様になった青年は、村々の中間にそびえる山を国の都と定め、賢者と四人の仲間さらには村人たちの協力を得て、山の中に都を築きました。そして四人の仲間たちにそれぞれの四つの村の代表になってもらったのでした。そして賢者には、王様を助ける仕事についてもらい、国を作っていったのでした。数年が、経ちました。王様に子供が出来、四人の仲間たちにも子供が出来ました。そしてその間に国は大きくなり人が、増えて都が、狭くなってしまったのです。そこで王様は、考えました。「今の都も残して、新たな都を建てよう」と、王様は、賢者と四人の仲間たちを連れて都の場所探しに向かいました。そして苦労の末、新たな都の場所を見つけたのです。しかしその時には、王様と四人の仲間たちは、お年寄りに成っていました。これを見た賢者は、王様の息子に新たな都の場所となる土地を守っている人を説得する様に言いました。王様の息子は、四人の仲間の息子たちと共に土地を守護している人と交渉をして土地を譲ってもらいました。そして新たな都を建てたのでした。そして王様の息子は、王様と同じく、四人の仲間の息子たちに都の東西南北に作った町の代表になってもらいました。そして賢者には、古い都の管理を任せ、さらに、新たな都の土地を譲ってくれた、守り人にも新たな都に住んでもらったのでした。 めでたし、めでたし。』
劇が終わり人形たちが、僕の方へと礼をすると先生の持っている杖へと向かい、その中に消えて行ったのでした。
「お判りいただけましたか? 殿下。」
そう言ってリウム先生が、声をかけて来た。僕は、人形劇と先生の説明により、公爵家の成り立ちと、公都の存在意義を実感したのであった。
そして先生は、こう言って来た。
「旧都を管理する我がノグランシア公爵家、北の公都〔ノガルド〕を守護するルードラティル公爵家、東の公都〔キルマ〕を守護するキタニアン公爵家、西の公都〔マラスアン〕を守護するアルドール公爵家、そして今から私たちが入城する南の公都〔スリオス〕を守護するユーリナタス公爵家、さらに首都〔ハルマ―〕を守護するオグレネルト公爵家、そして最後に国と国民を守護するノルド王家、これが我が国の王家と公爵家の役割です。」
僕は、それを聞いて改めて決意をした。この任務、絶対に失敗するわけには、いかない。
そんな決意を胸にしながら、僕たちを乗せた馬車は、公都〔スリオス〕の城門を通過し、ユーリナタス公爵家の居城へと進んで行ったのであった。
そしてその道中、公都に住んでいる人たちからの温かい声援を受け、僕たちがここに来ることを歓迎してくれていると実感したのであった。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




