第15話 突入と敗北
時間の変更、すみませんでした。
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〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕領都 〔マーリ〕警備隊詰所
警備隊の詰所の前に、一級装備と呼ばれる重武装と防御力の高い魔導軽鎧で身を固めた地方警備隊に所属する衛士たちが、集合し整列していた。
そして詰所の正面玄関が開くと、今回の捕縛作戦をする地方警備隊隊長が、姿を現し、士気鼓舞の為、訓示を始めた。
「皆、聞いてくれ。これから始まる捕縛作戦は、我ら地方警備隊が発足してから最大規模のモノとなる。迅速にかつ大胆に作戦を進めてもらいたい。 以上。」
そう言い終えると隊長は、壇上から降り、彼の副官を務める警衛士から作戦の詳細な伝達とグループ分けが言い渡された。
そして出発時間となった。
「全員、乗車。」
各グループを束ねる小隊長たちの掛け声とともに、詰所に集合していた隊員たちの後ろで待機していた四頭立ての馬車三十台にそれぞれ分乗し、出発した。
一の森までは、馬車を使えば1時間で到達することが出来る、そして隊員たちが乗っているのは、逮捕された犯罪者や囚人などを、護送する時に使われる馬車であった。
馬車の中で、彼らは自分たちの使う武器の動作確認をしながら、それぞれ無言のまま現場へと向かったのであった。
そして一時間後、馬車が停止し、一の森の入口へと彼らを導いたのであった。
〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕 一の森
一の森に到着すると隊員たちは、グループごとに整列すると点呼を取り、それぞれの役割を果たす為、盗賊たちのアジトである砦を監視した偵察隊員たちの誘導に従って、森の中へと入っていた。
ここで作戦の内容を説明する。作戦は、四チームにより三段階に分けて行われる。
まず一段階目、砦に続く道を第四グループで封鎖して逃亡を阻止し、敵を孤立させる。二段階目に、砦を第一グループが包囲し、第二・第三グループを突入させ、三段階目として、砦を捜索し残敵の捕縛と砦の解体と焼却を行う。
これが、今回取られる作戦の要旨である。
第一から第四グループまでが、一の森へと入り、作戦の項目に従い配置について行く。そして盗賊たちがアジトとしている砦の警戒線の外に第一グループが到着し砦をぐるりと取り囲むと、彼らは、腰に差しているナイフを取り出すと一斉にしゃがみ込み、地面に仕掛けられている警戒線を小隊長の合図と共に一斉に切断した。
するとガシャンと言う音共に何かが落ちる音が辺りに響いた。それを確認した第一グループは、砦にさらに接近し包囲を完成させたのであった。
そして包囲を完成させた第一グループの小隊長は、魔銃を手に持ち上空に向けて発射した。
パン。 パァーン
そしてその音共に砦の門の前で待機していた第二・第三グループは、扉を魔術で破り、それを確認した小隊長は、こう叫んだ。
「「突入。」」
その掛け声とともに隊員たちは、突入していった。
しかし、砦の中で彼らを待ち受けていたのは、信じられない光景であった。そこには、魔導爆弾が無数に仕掛けられており、そしてそのカウントは、後一秒となっていたのであった。
それを見た小隊長たちは、「逃げろ。」と叫んだが、時すでに遅く、砦の周囲を取り囲んでいた第一グループと共に光の中へと消えて行ったのであった。
そして第四グループにも悲劇が、襲い掛かった。
第四グループは、砦へと続く道を封鎖して盗賊たちが逃げてきても捕縛する為、その場で待機をしていた。
その時、砦の方向で爆発が発生し、確認の為、人を向かわせようとした時、後ろから何者かに襲われたのであった。
襲って来た者たちは、第四グループの隊員たちを手際よく昏倒させると、そのまま森の奥へと連れて行ったのであった。
そして爆発が起きる前、森の外で報告を待っていた隊長と馬車を警護している警備隊員たちの元に森の方角から矢が飛んできた。
矢は、馬車に刺さり、その後の攻撃は、なかった。
隊長は、その矢に手紙が結ばれているのを見つけるとその手紙を開けた。ちょうどその時森から爆発音がとどろいた。
隊長は、手紙を持ったまま森の方を見て、直ぐに第一から第三のグループに連絡を取ろうしたが、繋がらず、そして砦の道を封鎖させていた第四グループに連絡を取ったがこれも繋がることは、なかった。
そして隊長は、爆発前に打ち込まれた矢文を改めて確認し、矢文の最後に署名されていた名は、タルドマン・フォン・ドルパースの名を見て、隊長は、顔をこわばらせたのであった。
その後隊長は、直ちに作戦を中止し領都へと戻ると地方統括官に警備隊の壊走とこの事件の首謀者の名を告げたのであった。
それを重く見た統括官は、首都へ向けて魔導通信を発したのであった。
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