表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/129

第12話 聴取と発見

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕東部 元〔ドルパース伯爵領〕領都 〔マーリ〕


 領都の〔マーリ〕にある領主館から少し離れたところに有るのが、地方領警備隊の詰所である。

その建物の前に現在手隙の警備隊員たちが、集められていた。そして集められた隊員たちを指揮する少しばかり若い小隊長が話し始めた。


「皆、手隙の所集まってもらってありがとう。君たちに集まってもらったのは、数日前に行方不明になったと家族たちから届け出のあった狩人たちだ。狩人の家族たちによると1週間前に狩りへ行くと言って戻って来ていないとの事だ。家を出て以降の足取りを知る者たちはいない。そこで二人一組となってそれぞれの家族と周辺の聞き込み、交友関係などから、当たってくれ。二人組が出来たところから私の所に来て狩人たちの魔導写真を受け取ってくれ。それでは取り掛かる。はじめ。」


 その掛け声とともに隊員たちは、二人組を作っていき、小隊長から魔導写真を受け取り、領都へと散って言ったのであった。

そして最後の魔導写真が残った。小隊長は、誰かまだ受け取っていないのかと思い回りを見回すと、周囲をキョロキョロとして落ち着かない隊員を見つけた。

小隊長は、その若干挙動不審の隊員の所へ行き、声をかけた。


「君、新人だね。私は、警衛補のムース・パドリアンだ。君の名前は?」


 そう声をかけられた若い男は、「はい。」とすこしビックリした声を発してこう言った。


「自分は、衛士のキセレ・イースラテムであります。」


 そう言ってピシと背筋を伸ばして敬礼をしてきた。パドリアン警衛補も敬礼を返すと、こう言った。


「キセレ衛士、どうやら入ってまだ日にちが浅いようだね。どうだろう私と組まないか?」


 それを聞いたキセレ衛士は、「よろしいのですか?」と問うた。するとパドリアン警衛補は、こう言った。


「遠慮するな。私もこれから捜査に加わるのでな、バディは必要なんだよ。」


 それを聞いたキセレ衛士は、「はい、分かりました」と言ってパドリアン警衛補のバディとなったのであった。

そして彼ら二人も領都の街中へと繰り出したのであった。


 彼ら地方領警備隊の手隙メンバーによって操作が開始された狩人行方不明事件が、この後に起きるもう一つの事件の呼び水となることは、この時は、誰も知る由もなかったのである。


 パドリアン警衛補とキセレ衛士は、行方不明となった狩人の若手の家へと到着していた。

そこには、息子の帰りを待ちわびる両親が居り、二人が、家に入ってくると、「息子は、見つかりましたか?」と聞いてきた。

警衛補は、正直に「まだ、見つかっていない」と答え、こう言った。


「息子さんを見つけるためにも、お話をお聞かせください。お願いします。」


 そう言ってキセレ衛士と共に頭を下げたのであった。それを見た狩人の若手の両親は、行方不明となる日の事を話しだした。

 その夫婦の話によると狩人の若手である息子が、行方不明になる前の夜、仲間たちと遅くまで酒を飲み帰ってきたというのである。

そして行方不明になった当日、装備を整えて森に狩りへ行くと言って家を出たとの事であった。

それを聞いた警衛補は、こう問いかけた。


「息子さんが、飲んでいた場所、分かりますか?」


 その問いに対して両親は、こう答えた。


「さあ? 飲んでいる店の名前は、知らないけど。東町の酒場のどこかだと思う。」


 それを聞いた警衛補は、「なるほど」と言って席を立ち、両親に向かってこう言った。


「ご協力感謝します。」


 そう言ってキセレ衛士を連れて家を後にしたのであった。そしてその足で東町へと向かった。

東町に着くと警衛補は、持っていた魔導写真を見せながら、東町にある酒場を一軒一軒調べて周り、そしてとある一軒のマスターが、彼らを見たと証言したのであった。

マスターの証言を得た二人は、直ちに詰所に戻り、魔導通信機を動かして現在捜索に出ている隊員たちを呼び戻した。

そして捜索に出ていた隊員たちが戻ると警衛補は、こう告げた。


「今から一の森へと向かい、外周分の捜索を行う。全員二級装備を着用。着用の後、集合し、出発する。はじめ。」


 その掛け声とともに隊員たちは、一斉に動き出し、二級装備と呼ばれる装備を装着し詰所の前に集合し、一の森へと向かった。

一の森に着いた警備隊は、森の外周部の捜索を開始した。すると捜索を開始して1時間が立った頃、狩人の格好をした男たちの死体が、発見されたのであった。

そしてその報告は、警備隊の隊長と地方統括官にも伝えられた。そしてその二人を絶望に落とす事柄が告げられた。


「狩人たちは、動物や魔物によって殺されたのでは、ありません。何者かによって殺されたことが、確認されました。」


 それを聞いた地方統括官と警備隊隊長は、呆然となりしばらく動く事はなかった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。


感想、評価、ブックマーク、『いいね!』をしてくれると励みになります。

お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ