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第4話 願いと受諾

少し短いですが、どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王城 大広間


 ワーライシス侯爵の挨拶を受けた後も、いろいろな階級の貴族たちの挨拶を受け、その次に王国政府の重鎮たちである宰相たちの挨拶を受け、そして最後に公爵たちが挨拶し、お爺様たち他の王族からの祝福を受けた。

しかし祝福を言った王族には、第三王妃は入っていなかった。なぜなら彼女は、現在妊娠中であるため、今回のパーティーには、参加していないのであった。

そしてパーティーは、進んで行き、そして最後に七歳に成ったことを記念した願いを言う時間となった。

僕は、少し乱れていた服装を直して、父上と母上が座っている玉座に向かって膝まづき、礼をしてこう告げたのであった。


「国王陛下、王妃陛下、この度は、私、エギル・フォン=パラン=ノルドの七歳となった祝いを開催していただき、誠にありがとうございます。この後も王族の一人として恥じない行動を心がけてまいりますので、何卒お見守りくださいませ。」


 この口上に対してまず父上からこう言って来た。


「エギルよ、其方が七歳に成ったことを余は、うれしく思う。これからも師や先達たちの教えを守り、王族として恥じることが無い様、務めることを希望する。」


 その言葉を受け母上が、続いてこう述べた。


「エギル、お誕生日おめでとう。貴方が、健やかに育ったことを私は、うれしく思います。これからも健やかに育ってくれることを願います。」


 母上が、そう言い終えると、父上が玉座より立ち上がる、それに続いて母上も立ち上がり、そして僕以外の他の王族の出席者は、立ったまま少し頭を下げ、それ以外の出席者は、跪き、頭を垂れた。

それを確認した父上は、こう発した。


「七歳となった祝いに願いを申せ。」


 父上の言葉に従い、僕は、願いを口にした。


「私は、冒険者としても活動をしたいと思っています。冒険者に登録できる歳となりましたら冒険者に成ることを願います。」


 それを聞いたお爺様たちや先生たち以外の出席者からざわざわとした雰囲気が、伝わってきた。

少し耳を傾けると、出席者の間で、こんなやり取りがされていた。


「なんと王子が、冒険者に成りたいなどと、あのような粗野な者たちに成り下がると言うのか。」


「これは、王家の教育が成っていない証、先が思いやられますな。」


「真に真に、王家の恥さらしの何者でもない。」


 と言った具合に僕に対する誹謗中傷が、飛び交っていた。すると父上が、手を掲げた。すると出席者のおしゃべりが止まり、父上が、口を開いた。


「エギルよ。其方は、何故この願いを言ったのだ。理由を申してみよ。」


 僕は、この問いに対して、こう答えた。


「冒険者に成れば、民たちの為に働くことが出来ます。更にそれがこの国にとって有益な結果を齎すことになると考えました。そしてもう一つは、王族こそ物事に率先して取り組むことが我が国の士気を上げることに繋がるからです。」


 それを聞いた父上は、少し考える素振りをすると、こう告げて来た。


「あい分かった。其方の願い聞き届けよう。十三歳に成った暁に冒険者に成ることを許す。ただし王族としての務めからも逃げぬこと、よいな。」


「はっ、心得ました。願いを了承していただきありがとうございました。」


 僕は、そう答えたのであった。


 願いを言う儀式が終わると父上は、手を叩いた。それに呼応して侍従長が現れた。侍従長は、両手に少し小さな箱が乗った台を持っており、それを父上の前に置き、礼をして横へと移動し、頭を垂れた。

父上は、置かれた台を取り、僕の方へとやってくるとこう告げた。


「エギルよ、其方に七歳となった祝いの物を送る。受け取りなさい。」


 そういって僕の前に台を置いた。僕は、乗せられていた箱の紐を解き、中身を確認した。


「えっ、これは。」


 その箱に入っていたのは、中央に魔石と思われる石をあしらった眼帯であった。僕は、それを取り出すと閉じている左目に着けた。

すると頭の中に映像が浮かび、右目だけで見ていた景色が、両目で見ているような感覚になったのであった。


「見えます、父上。ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」


「うむ。」


 そう言って父上は、玉座に戻り、こう宣言した。


「これにてエギルの七歳の祝いを終了する。皆本日は、良く集まってくれた。エギル共々礼を言う。」


 そう言って父上は、軽く頭を下げ、それに続いて僕も頭を下げたのであった。それに続いて参加者から拍手が起こり、パーティーは、つつがなく終了したのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここで涙が出てたらなんか感動的かもって思ったけど、視界が見えなくなってから対して時間経ってないし、泣く理由が無かったわ
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