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プロローグ

お待たせいたしました、投稿再開します。

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕 東部


 ここは、〔デイ・ノルド王国〕東部にあるとある貴族領。その領内に存在する平原に数十張りのテントが、設営されていた。

そのテントの中には、軽装の鎧を纏った男たちが、少なくて二人、多くて五人の塊となって入っており、寛いだり、ご飯を食べたり、眠ったりと、各々好きに過ごしている。

そんなたくさんのテントが有る中、ひときわ大きな天幕と呼ばれる大型のテントが、建っている。

その天幕の中では、他のテントの中にいる男たちよりも少し豪華な軽装の鎧を身に纏った男が、椅子に座っており、そして机に広げられた地図を見ながら、食事を摂っていた。


「奴らめ、今度こそ仕留めてやる。逃がしはせぬ。」


 そう言って男は、食事を食べ終えると、コップに注がれていた水を飲み干し、食事が載っていたトレーを横に置くと、チェスのコマを使いこれから行われる作戦の予行演習を始めた。

するとそこに、鎧のパーツ同士が当たる音が、聞こえて来た。


 カチャ カチャ カチャ カチャ


 そしてその音は、天幕の扉幕の前で止まり、男の声が、聞こえて来た。


「隊長。偵察隊、ただいま戻りました。」


「うむ、入れ。」


 隊長と呼ばれた男は、偵察隊の隊員を天幕内へと呼び寄せた。その言葉に従い、偵察隊の隊員は、天幕内に入り、隊長に報告を行った。


「報告します。盗賊は、情報通り、森林内にある洞窟を塒にしております。人数は、五十人程と推定されます。」


「うむ、分かった。見張りの数と、武器の種類は?」


 隊長は、報告を聞くと、追加の情報も求めた。その求めに対して、隊員は、こう続けた。


「見張りは、洞窟の入り口に二人、そして森林内を巡回する見回りが二人一組、五組確認されています。武器については、剣、槍、クロスボウなどで武装しています。防具は、我々のより軽装なものです。」


「了解した。下がって休むように。」


「はっ。」


 それを聞いた隊長は、偵察隊の隊員を下がらせ、少しばかり作戦内容の変更を行うと、小隊長たちを呼ぶように天幕を警備している兵士たちに伝え、椅子に座り小隊長たちの来るのを待った。

 そして呼ばれた小隊長たちが到着し、偵察の結果と作戦の変更が通達され、そして作戦開始を夜にすることが、決定したのであった。


 そして夜の帳が降り、辺りを照らすのが月明りだけとなった頃、盗賊たちが根城としている洞窟がある森の入り口に作戦に参加する部隊が整列していた。

全員が、揃ったことが確認されるとこの部隊の隊長の副官が、隊長に声をかけた。


「隊長。全隊員、揃いました。」


「うむ、ご苦労。」


 その報告を聞いた隊長は、そう言うと隊員たちの前へと進み出て、彼らの正面に立つと、隊員たちをゆっくりと見回し、そして頷き、こう言い始めた。


「皆、この作戦に参加してくれて感謝する。諸君も知っての通り、我らの領地を荒す不届き者の盗賊団が、活動している。その影響により他領との交易などに支障が、発生している。これを放置するわけにはいかない。よってこの作戦に置いて盗賊団を壊滅させ、我らの家族や民を守り抜く。いいな。」


 その演説を聞いた隊員たちは、「おう。」と言う声を上げ、隊長の檄に答えたのであった。


 それを聞いた隊長は、こう号令をかけた。


「作戦開始。」


 その言葉を受け部隊の一部から数十人が抜け、森へと入っていた。そしてそれ以外の本隊は、動くことなく森の入り口の前で待機。

森へと入っていた数十人の部隊は、四人ずつつのチームに分かれると、偵察隊が報告していた森を巡回する盗賊たちを一人ずつ無力化していき、森の中にいる脅威を消毒していった。

そして再び合流しながら森を進んで行き、盗賊たちが塒にしている洞窟へとたどり着くと、その洞窟を警備している二人の盗賊も無力化し、本隊へと向けて掃除が完了したという合図となる「光球<ライト>」の魔術を空に向かって放った。

 森の上空に上がった光を確認した討伐隊の隊長は、静かに手を前に振り、部隊に進軍を命じた。

その合図を受け部隊は、一小隊ずつ森へと入り、洞窟の入口へと歩を進めて行った。そしてしばらくが経ち、洞窟の前に部隊が勢ぞろいすると、隊長が声を張り上げてこう言った。


「盗賊団に告げる。直ちに降伏せよ。降伏すれば、裁判を受けることが出来る。人として罪を償う事が出来る。繰り返す、直ちに降伏せよ。」


 それに対しての盗賊団の回答は、こうであった。


「やっちまえ―――。」


 その雄叫びと共に洞窟から数人の盗賊が出てきて、討伐隊に斬りかかった。しかし討伐隊は、臨戦態勢を整えており、その奇襲に対して素早く反応し、飛び出してきた盗賊たちは、槍に刺し抜かれて絶命した。

この出来事を切っ掛けに討伐隊は、盗賊団との本格的な戦闘に突入。盗賊団側も奮戦するが、装備の質や練度の違いにより、すり潰されていった。

そして戦闘は、三十分で終了し、斬りかかってきた盗賊たちは、全員絶命し、洞窟内に残っているであろう、残党を殲滅する為に隊長が、先頭に立ち、洞窟の中へと突入したのであった。

 そして洞窟の内部を捜索しながら部隊が進んで行くと、扉が付けられた横穴を発見、ここが盗賊団の首領の部屋の可能性が高いと判断した隊長は、付き従ったいた隊員たちと共に扉を開け、中へと入った。

しかし、そこには誰もおらず、机が置いてあるだけであった。そしてその机には、紙が置いてあり、こう書かれていた。


『あばよ。』


 それを見た瞬間、隊長は、こう叫んだ。


「全小隊、洞窟から退避しろ。」


 そう叫んだ瞬間、閃光が煌めき、隊長の意識は途絶えたのであった。


 そして森では、轟音が鳴り響いて、洞窟が完全に崩壊してしまったのであった。そしてそれを少し離れた場所から見ていた者たちがいた。


「お頭、うまくいきましたね。」


「あぁ、これでまた楽しいことが出来るな。」


「へぃ、楽しみですぜ。」


 そう言い合うと、その者たちは、夜の闇夜に消えて行ったのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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