第35話 決戦と即位
本日の2回目の投稿です。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕国境地帯 〔シテネモン要塞〕国境側 平原
〔ノース・ザルド王国〕親征軍の陣地では、朝食の準備の煙が立ち上っていた。現在〔ノース・ザルド王国〕親征軍の陣地が設営されているのは、〔シテネモン要塞〕から二十キロ以上離れた場所である。
そんな陣地の中で一人の兵士が同僚たちと共に朝食準備をしながら隣で作業している同僚にボヤいていた。
「ハ~、今日も作って食べて見張りしてのつまらない一日の幕開けだ。」
それを聞いた同僚は、こう返した。
「そうだな。華々しく活躍できると思って来たのにがっかりだぜ。」
その言葉を受け兵士もこう言いだした。
「まあ、敵さんも要塞に籠って出てこないだし、喜楽ちゃ気楽なんだけどな。しかし張り合いがないぜ。」
すると同僚が、こう返してきた。
「おい、知ってるか? 俺たちが来る前の陣地ってここよりももっと前に有ったらしいぜ。」
それを聞いた兵士は、「えっ、そうなのか」と言いそれに対して同僚も「あぁ。」と相槌を打つとこう言いだした。
「なんでも将軍たちが、陛下とお貴族様たちを説得してこの場所に陣地転換させたらしい。理由は、要塞の長距離砲の被害に遭わないからだってよ。」
それを聞いた兵士は、こう返した。
「そんな理由で、後ろに下がったのか。上は、何考えているんだか?」
同僚の兵士は、その言葉に対してこう返した。
「知るかよ。俺たちが、上の考えている事なんて分かる訳ない。それに早くしなければ陛下が、不機嫌になるぞ。」
兵士は、その言葉を受けて「あぁ、そうだな。」と言って作業を再開した。しばらくして朝食が、出来上がるとピスグリスの戦場での身の回りの世話をする従兵二人が、やってきた。兵士は、同僚と従兵二人と共に国王の起居する天幕へと食事を運び、膳を設えると天幕から出て自分たちの朝食を食べに戻ったのであった。
そして食事をしながらこんな事を言い合った。
「うちの陛下って、やっぱり豚みたいな体してるよな。」
と兵士が言うと、同僚もこう言った。
「俺も驚いているけど、案だけワインを飲みまくっていたら、そうなるじゃないの?」
兵士は、それを聞いて、「あ~ぁ、確かに」と言いながら、納得したのであった。そして朝食を手早く食べ終えると、それぞれが見張りに就く場所へと向かったのであった。
そして朝食から1時間ぐらいが立った頃、見張りに立っていた一人の兵士が、単眼鏡を除きながら警戒していると、何かを発見し、大声を上げたのであった。
「大変だ~、要塞に国王旗が、掲げられているぞ~。」
それは陣地内に衝撃をもたらした。直ちに将軍たちはピスグリスに対して報告を挙げた。しかしピスグリスは、「貴様たちが何とかしろ」といって天幕の奥へと引っ込んでしまった。それを受け将軍たちは、迎撃態勢を発令し、〔ノース・ザルド王国〕親征軍は、平原へと向かったのであった。
時に大陸歴2332年12月10日午前10時の事であった。
一方その頃、〔デイ・ノルド王国〕王国連合軍というと。
国境の町〔シテネニクス〕で国王親征軍と諸侯連合軍は、決戦の4日前の朝には集結を完了し、そして王国連合軍へと名を改め、戦力の組み換えを行い、4日前の昼には〔シテネモン要塞〕へと出発した。
そして全軍が、〔シテネモン要塞〕に到着したのは、決戦3日前の夜であった。ここでアランディアは、兵士たちに十分な休息をとる様に命じ、そしてとある命令を下していた。
さして2日間の休養が終わり決戦の朝となった。
この日、〔シテネモン要塞〕と国境側平原には、早朝から濃い霧が発生しており〔ノース・ザルド王国〕の陣地からは、要塞を確認することは、困難であった。その報告を受けたアランディアは、直ちに軍の招集を下令、要塞に追加の王国軍5万を残し、連合軍30万で平原へと展開したのであった。
早朝の出撃ではあったが、兵士たちは二日間の休養で体力と気力を回復しており迅速に平原に展開することが出来た。
展開完了の報告を本陣で受けたアランディアは、伝令兵を呼び寄せてこう告げた。
「要塞に知らせを、国王旗を掲げよ。」
伝令兵は、その言葉を受けこう言った。
「はっ、復唱します。『国王旗を掲げよ。』伝えます。」
伝令兵は、馬に飛び乗ると要塞へと向かい、そしてしばらくして要塞の各所に設けられた掲揚台に国王が、現在滞在していると示す国王旗が、掲げられた。
そして平原に展開している連合軍にも同じ旗が掲げられた。
その旗の意匠は、赤く燃え上がる鳥が北極星を守護している図形が描かれていた。
そしてアランディアは、馬に跨ると最前線へと本陣を出て行き、戦意高揚のための演説を行った。
「連合軍に集った勇敢なる兵士諸君、国王のアランディアだ。君たちの目に恐れが見える私も恐れている、私たちの後ろいる家族、友人、仲間、を守ることが出来るのかと。だが隣を見よ、後ろを見よ、前を見よ、そこに居るのは、戦友である。恐れる物は何もない。戦友たちと共に駆けよ、疾く駆けよ。我らに勝利を―――――――。」
それを聞いた兵士たちは、こうなった。
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ―――――――――――――――」
その雄叫びを受けたアランディアが、剣を抜き、それを掲げた。それを確認した本陣に詰めていた将軍たちは、こう下令した。
「砲撃開始」
その号令に従い本陣より後方に布陣していた砲兵部隊から一斉に新兵器による砲撃が為された。その新兵器とは、榴弾砲であった。
この戦闘において世界で初めての実戦使用であった。
砲弾は、放物線を描き、〔ノース・ザルド王国〕親征軍が布陣した平原に着弾した。そして同時に爆発すると多くの死傷者を出しのであった。
そして数分間の砲撃の後、アランディアが再び剣を掲げ、それを前へと振ったのであった。
それを後方の本陣で見ていた将軍たちは、各部隊にこう告げた。
「全軍突撃。」
その号令を受け、平原に展開していた連合軍前線部隊25万が、動き出し、動きながら楔型となっていき、そして砲兵部隊からの支援砲撃を受けながら、〔ノース・ザルド王国〕親征軍へと向かっていたのであった。
そして楔の先頭が接触した時、戦場が一時停滞した、だが拮抗は直ぐに崩れ、〔ノース・ザルド王国〕親征軍10万は、左右に分断された。分断を確認した連合軍の先頭部隊が二手に分かれ、分断した敵部隊を包囲し、殲滅していったのであった。
その様子を〔ノース・ザルド王国〕親征軍本陣で見ていたピスグリスは、怖気づき、同じく怖気づいた支持貴族たちと共に〔ダガロン要塞〕へと撤退していったのであった。
時に大陸歴2332年12月10日午後一時の事であった。
〔ノース・ザルド王国〕首都 〔ザイルシティー〕
その日の〔ザイルシティー〕は、久しぶりに快晴となった珍しい日であった。北に在る〔ノース・ザルド王国〕は12月ともなると曇りの日が多く中々晴れる日が、少ないのである。
こんな日は、いいことが有るかもと期待した人たちがいても不思議ではない。
そんな爽やかな朝が過ぎ、昼食を食べて、また働こうかと言う時間帯、事件が発生したのだ。
その事件とは、〔ザイルシティー〕の至る所で火事が発生したのだ。すぐに消防隊と衛士隊が出動し鎮火されたが、直ぐに次の火事が複数発生し、〔ザイルシティー〕は、混乱に包まれた。
そしてその混乱を持っていたかのような事が、王城で起きたのであった。
「くっ、貴様ら何のつもりだ。」
ここは、宰相執務室。ディニール宰相が、捕らえられその後任として就任した宰相が執務をしていた。
そこに鎧と武器で完全武装した兵士たちが乗り込んできたのであった。彼らは宰相を容易く捕縛すると、地下牢獄へと連れて行ってしまった。
更に宰相の他にも捕縛され、この地下牢獄へと閉じ込められたのであった。
そして首都の外、砂塵を巻き上げて疾走してくる騎馬と歩兵の部隊が2つあった。それぞれが旗を掲げており、その旗は、この国の公爵三人の内、二人が掲げている者であった。首都の門番たちは、止めようと誰何をしたが、止めることが出来ず、そのまま通してしまったのだ。
この事を門番の兵士は、上官に報告をしたが、上官は、こう答えた。
「問題ない。」
その言葉に兵士たちは、困惑したが、上官の言う事なので、そうなのだと納得して再び任務へと戻っていた。
その1時間後、首都全域に向けて、こんな放送が魔導拡声器から聞こえて来た。
『これより、首都全域に戒厳令を発令する。そのため首都区域外との交通を遮断し、門を閉じる。区域外に出ている者は、直ちに区域内へと戻るべし、そして区域内に居る者は、この放送以降、区域内へとどまる事、以上である。』
そして王城では、謁見の間に置いて新たな王が、誕生していた。
「ご即位、おめでとうございます。」
「「「「「おめでとうございます。」」」」」
「うむ、皆の働きに感謝する。」
この時、新たに王冠を被ったのは、〔ノース・ザルド王国〕第三王子、ハイディニル・ドゥ・カールベル・ザルドであった。
そしてその即位の場に〔デイ・ノルド王国〕第一王子、エギル・フォン=パラン=ノルドが参列していたのであった。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




