表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/129

第33話 奪取と簒奪

投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。


どうぞ、お読みください。

〔ノース・ザルド王国〕とある地方 〔花園の園〕


 〔花園の園〕と呼ばれるこの場所は、〔ノース・ザルド王国〕において最も忌み嫌われている場所である。

その理由は、単純明快であり、だからこそ国民には、正確な所在地が知らされていないのである。

その理由とは、この場所が死刑の執行の地であるからである。

では何故そのような場所が〔花園の園〕と呼ばれているのか? それにも理由がある。


元々この地には、離宮が立っており王家の人々が夏になると静養に訪れていた。その中の歴代王妃の一人が、植物を特に花をこよなく愛する人であった。その王妃が、数十年に亘って離宮の周りを花でいっぱいにしたのであった。

そしていつの日からかこの場所は〔花園の園〕と呼ばれるようになったのであった。そしてそれに目を付けたのが、この国の歴代国王の一人であったのだ。

その国王は、この地に来て花園に囲まれた離宮をみてこう言った。


「ここに死刑を待ち者たちのための施設を建てよ。そして死刑に処された者たちをこの地に埋め弔い、そして花を咲かせ続けるのだ。」


 その言葉の通り、計画は実行された。まず離宮を取り壊しその跡地に死刑執行まで余生を過ごす留置施設が建てられた。

国民も最初は、この王が考えた計画を歓迎した。しかしその評価は、簡単に覆る事に成ったのであった。

それは、ここで最初に死刑が執行された死刑囚に起因していた。その死刑囚とは、その王の息子つまり王子であったのだ。

死刑が執行され王子は、息を引き取った。そしてその遺体は、埋められることなく花が生い茂る地面に打ち捨てられ、朽ちるに任せ、放置されたのであった。そして遺体が骨だけになると王がやって来て王子の骨をハンマーで粉々に砕き、打ち捨てたのであった。

この事が原因となりこの地は、人々から忌み嫌われる地となってしまったのであった。


 しかし、そんな忌み嫌われ国民の大部分にその所在地を知らせていない場所に、馬車がやって来ていた。

その馬車は、荷台を三両連結し六頭の馬車で引かれていた。


「止まれ。」


 その馬車が、〔花園の園〕の門の前に近づくと門を警備している警備兵が停車を促した。

馬車の御者台に乗っていた人物は、警備兵の催促をうけ馬車を停止させた。停止した馬車に警備兵は近づくと御者台に乗っている男たちの人相を確認した。


「うん? いつもやって来ている者たちと違うな。彼らは、如何した?」


 そう兵士が訪ねると御者台に乗った男の一人がこう答えた。


「あ~ぁ、いつもの奴らでしたら、今日は風邪をひいて寝込んでますぜ。俺たちは、その代わりです。」


「風邪か、またどうして?」


 と兵士が問うと、男はこう答えた。


「最近めっきり冷え込んできたじゃないですか、それなのにあいつら深酒して道端で眠り込んでしまったんですよ。それが原因で、風邪にかかったんすよ。それを聞いた商館長が、激怒してましたよ。」


 それを聞いた警備兵は、呆れながらこう言った。


「それは、まずいな。お前たちにも、同情するよ。」


「全くですぜ。で、旦那、通っていいですか?」


 男は、警備兵の言葉に同意を示しながら聞いた。それ対して警備兵は、こう答えた。


「あ~、入ってくれ。いつもの場所に馬車を止めてくれよ。」


 そう言うと警備兵は、門を開けに行き、門が開くと御者台の男は、「はっ。」と言って馬に鞭を入れる。その鞭を受け馬たちは再び走り出し敷地内へと入っていった。

そして馬車は、所定に位置で止まり、御者台から男たちが下りると荷台に積んでいた荷物を降ろし始めた。

すると建物から兵士を率いた人物が現れ、荷物をチェックし始めた。その人物がチェックを終えた荷物から建物内へと兵士たちが運び込んで行きしばらくそれが続いた。

そして最後の荷物がチェックされ建物内へと運び込まれると、荷物をチェックしていた人物が、馬車で荷物を運んできた男たちに近づきこう告げた。


「今の荷物で最後か、いつもすまないな。」


「いえいえ、御贔屓にしていただき、ありがとうございます。」


 男たちは、そう答えると馬車に残っていた木樽を降ろした。


「何だ? その木樽は。」


 チェックをしていた人物が不審そうに聞いてくると男たちは、こう答えた。


「へい、商館長からです。贔屓にしてもらっているお礼として上等なワインが入ったので、兵士の皆さんで飲んでくれとの事です。」


 それを聞いた人物は、ゴクリと喉を鳴らせるとこう言った。


「そうか、ならば受け取っておこう。商館長によろしく伝えてくれ。」


 そう言って兵士たちに木樽を持って行かせ、男たちに仕入れ票の控えを渡すと、その人物は、建物の中に消えていった。

用事が終わった男たちも御者台に戻ると馬車を発進させて〔花園の園〕を後にしたのであった。


 昼頃に来た馬車が返ってから数時間後の深夜〔花園の園〕に向かう道を何頭もの馬に乗った者たちが駆けていた。

その者たちは、〔花園の園〕の門の前で停止すると馬を降り、中へと侵入していった。そして建物の中に入ると施設長の執務室へと向かい、机の上に置いてあったリストと地図を回収すると、何人かに分かれて、収監されていた数十人の人物を連れ去っていったのであった。

 そして次の日の朝、案の定〔花園の園〕では、大騒ぎになったが、それが首都に伝わることはなかったのであった。






 〔ノース・ザルド王国〕北方 とある町 第三王子隠棲の家


「クーデターを成功させるために必要な事は、他に何があるでしょうか?」


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、自分の斜め前の一人掛けのソファーに座ったディニール宰相に問うていた。

すると宰相は、こう答えてくれた。


「ワシと同格の公爵二人の力添えが必要でしょうな。しかし二人とも出てくるかどうかは分かりません。」


「何故ですか?」


 僕が理由を問うと、宰相は、こう答えた。


「二人とも王族に失望しているからです。」


 僕は、それを聞いて何故そうなってしまったのか理解したのであった。そしてそれに気づいた宰相は、こう言って来た。


「エギル殿下、その聡明さ、真六歳でございますか? ワシにはもっと年上に映るのですが?」


「正真正銘、まだ六歳の子供です。まだまだ知らないことは多くある事を僕は知っています。」


 その答えにディニール宰相は、こう返した。


「その事をお忘れにならなければ、貴方様は立派な大人物へと成長されるでしょう。期待しておりますよ。」


 そう言って自分の隣のソファーに腰掛けている第三王子の方へと向き直るとこう切り出した。


「ハイディ二ル殿下、公爵二人への説得をいたすのは、貴方様です。」


 そう言われた第三王子は、こう返してきた。


「しかし、養父上。お二人は我々を見限っています。説得に応じてくれるとは思えませんが?」


 それを聞いた宰相は、一旦目を閉じ、パッと開くとこう切り出した。


「では、このまま不毛な戦いを継続させて良いと思われますか、戦争で苦しむのは、いつも民と軍にいる者たちです。彼らを救う為にも是が非でもやらなければならない事です。その為にエギル殿下もこのお年でここにいらっしゃるのでございます。」


 その言葉を聞いて第三王子が、僕の方に振り向いた。そして更に宰相の言葉は、続く。


「ハイディ二ル殿下は、民の為を思って身を引かれた、内乱を防ぎ民のくらしを第一に考え行動したではありませんか。その時の下した決断を今再びしていただきたいのです。」


 義理の父でもある宰相の言葉を聞いていた第三王子は、僕の方を見、そして宰相の方を見ると、顔を伏せてこう言って来た。


「二人とも席を外してください。一人で考えたいので。」


 僕とディニール宰相は、その言葉に従い、ソファーから立ち上がり部屋を後にし、それぞれの部屋へと戻ったのであった。



 そして次の日の朝の食事の席で第三王子は、こう切り出した。


「養父上、私はこれより公爵二人の説得に向かいます。王族としての覚悟をお二人に示してまいります。留守の間の指揮は、お任せいたします。」


「はっ、かしこまりました。」


 宰相が、それを聞きこう応じた。そして僕の方へと向くと王子は、こう言って来た。


「私は、君の国と必ず和平を結ぶ、その暁には私と友人となってくれ。」


 僕は、この言葉にこう返したのであった。


「何を言ってるんですか、貴方と僕は、もう友達です。だからこそ僕たちも全力で貴方を助けます。」


 そう言い終えると、お互いに笑いを堪えられなくなり爆笑してしまった。そしてしばらく笑い合い、笑い終えると朝食を食べ、行動を開始したのであった。



 そして一ヶ月の時間が過ぎ、僕たちは首都〔ザイルシティー〕へと向かったのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ