第28話 突撃と鉄壁
昨日はお休みしてしまい申し訳ありませんでした。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕国境地帯 〔シテネモン要塞〕国境側
ヒューン ドッカーン ヒューン ドッカーン ヒューン ドッカーン
〔デイ・ノルド王国〕の要塞である〔シテネモン要塞〕とその前に広がる防御陣地に対して10k離れた〔ノース・ザルド王国〕の後方陣地から長距離大砲による攻撃が行われていた。
一定の間隔で打ち込まれる砲弾が、要塞や防御陣地に対してダメージを与えていく。
そしてしばらく経った頃、砲撃がやんだのであった。
「砲撃終了、突撃に移行せよ。」
後方陣地の長距離大砲の砲身冷却のため砲撃が終了し、〔シテネモン要塞〕から3k離れた〔ノース・ザルド王国〕前方陣地では、歩兵と騎兵による突撃が指揮官から指示された。
騎兵たちが、突撃隊の先頭に集合し矢の先端の様な紡錘陣形を構築する、そしてその後ろに3列縦隊となった歩兵隊が、集合し、指揮官の合図を待った。そして突撃を指揮する指揮官自身も馬上に上がり、突撃隊の一番先頭に着くと腰の剣帯の佩いているサーベルを鞘から抜き放ちこう叫んだ。
「これより我らは、王国の精鋭として要塞を陥落させる、者ども奮え、我らこそ王国の先駆け成り、突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃい。」
そして指揮官は、手に持っているサーベルを前方に向けると馬の腹を蹴り、走り出した。そしてそれに続いて騎士たちも己の馬の腹を蹴り指揮官に遅れまいと走り出し、また更に後方にいた歩兵たちも自分たちの隊の隊長の指揮の元、騎兵隊に続いて走り出した。
そして、後方の陣地からも支援のため再び砲撃が開始され、〔デイ・ノルド王国〕の防御陣地に砲弾が着弾していった。
そして3kの道のりを騎兵は、10分、歩兵は少し遅れて12分で、防御陣地に達したその時、悪夢が発生した。
要塞の正面と防御陣地の側面から突撃隊は、銃弾の雨を受ける事に成ったのである。そして今まで沈黙していた要塞と防御陣地の大砲も唸りを上げ砲撃を開始した。それより多くの死傷者が発生し、一番先頭を走っていた指揮官も全身に銃弾や砲弾の破片などを浴び戦死していた。
だが突撃隊は、停まらない。突撃隊は、ドンドンとその数を減らしながら防御陣地を抜け陣地からも要塞からも攻撃をされない位置に到達した。
しかし、その位置に到着した突撃隊に更なる悪夢が待ち構えていた。
それは突然だった、攻城戦なのだから固く閉ざされているはずの要塞の門が開いたのであった。
そして開いた門から鬨の声が聞こえて来たのであった。するとすぐに開いた門から槍を持った騎兵とカービン銃と呼ばれる銃を持った騎兵が突撃をかけて来たのである。
この時点で勢いを失っていた〔ノース・ザルド王国〕の突撃隊は、この騎兵の波に飲み込まれ、運よく逃れることに成功した騎兵数名と歩兵数人を残し壊滅したのであった。
そしてその事態を前方陣地の巨大天幕の中で、将軍たちと共に伝令兵から報告を聞いた〔ノース・ザルド王国〕現国王ピスグリス・ドゥ・ユーベル・ザルドは、持っていたゴブレットを脇に投げ捨てると怒りをぶちまけた。
「何故だ、何故だ、何故だ、何故朕が計画したことがこれほどまで上手くいかぬ、誰か答えよ。」
しかし同席していた将軍たちは、誰も口を開かず沈黙していた。それが気に食わないピスグリスは、その最悪な報告を持ってきた伝令兵対して、こう問いかけた。
「兵よ、貴様ならどうすればよいと思う。」
伝令兵は、自分の上官である将軍の方を見た。すると将軍は、首を振り「答えるな。」と警告をしてきた。しかしこの惨状を止めるためには進言すべきだと考えた伝令兵は、上官の忠告を無視しこう発言した。
「陛下、一旦戦線を後退させるべきと小官は、考えます。一旦引き、戦力を整える事こそ感じだと心得ます。そうしなければ……」
伝令兵が、次の言葉を発することはなかった。ピスグリスによって首を斬られてしまったからである。
ピスグリスは、自分に楯突いた伝令兵を殺すと、剣の重さに待機れなくなったのか、尻餅をつくと従兵に剣を預け、将軍たちに「今日は仕舞じゃ。」と言葉を残して天幕の奥の方へと姿を消したのであった。
そして部下を無礼打ちと言う名の王の鬱憤晴らしのため殺された伝令や偵察を指揮する将軍は、殺された伝令兵を抱え上げると、天幕を後にし、自分たちの陣所に向かい埋葬の準備を整えると、殺された伝令兵の同僚とその部下たちを率いてとある場所に向かった。
その場所に到着すると将軍は、部下たちと共に穴を掘り、殺された伝令兵の遺体を共に部下たちと収め、土をかけ、埋めると、簡素な墓標を建てると、皆で冥福を祈ったのであった。
そして、祈りを終えて周りを見てみると、そこかしこに同じ様な簡素な墓標が立っているのである。
これは全て、今日の戦死者の墓標ではない、攻城戦を開始して2週間に戦死したり無礼打ちによって殺されたり、戦傷が元で死んでしまった者たちの墓標であった。
その数、4万5千人。
開戦当時には、総兵力10万の大軍で押し寄せた〔ノース・ザルド王国〕親征軍は、たった2週間で戦力の半数を失っていたのであった。
では、何故このような事に成ったのか、それは、国境砦が〔ノース・ザルド王国〕の手に落ちた4週間前に遡る。
〔デイ・ノルド王国〕国境地帯 〔シテネモン要塞〕広場
この日、夜遅く〔シテネモン要塞〕に珍客が現れた、その人物たちは、王国陸軍に所属している飛竜隊の飛竜に乗ってやってきた。黒いフードをかぶり迎えに来た兵士に導かれ、要塞の内部に入ると、司令長官の部屋へと入っていき、そこで黒いフードを頭から外すと司令長官にある物を渡したのであった。
司令長官は、その渡された物を広げ読み、「分かりました。」といいさらにこう続けた。
「偉大なるお二人にのお知恵をお借りすれば、何年でもここを死守できます。なにとぞ、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げたのであった。すると黒のフードを被っていた二人も「こちらこそ、よろしくお願いします」と言って頭を下げたのであった。
そして、3人は、司令長官室の中で討議を行ったのであった。そして次の日からとある事が始まったのであった。
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