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第27話 準備と戦闘

遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。


どうぞ、お読みください。

〔デイ・ノルド王国〕国境地帯 〔シテネモン要塞〕内部


 国境砦の陥落の知らせにより隣国である〔ノース・ザルド王国〕との全面戦争を決定した〔デイ・ノルド王国〕は、国境地帯を管轄する軍団が駐留し、国境砦を失ってしまったため最前線となった、ここ〔シテネモン要塞〕に対してこのような命令を魔導通信によって送付した。


『籠城し、援軍を待て。』


 それを読んだ要塞を預かる司令官であり要塞駐留軍の司令長官を務めるデセレトス・ズシバール。年齢45歳。皆からはレトスと呼ばれ、階級は陸軍准将は、軍服のシワを正し、制帽を被ると、部屋を出て幕僚たちが待つ作戦室へと向かった。

送付された命令を反芻しながら作戦室へと向かう道中、要塞の廊下を小走りに駆けていく兵士たちの姿を見送りながら、これから始まるであろう戦闘の気配をヒシヒシと感じていた。

作戦室へと到着する前に彼は、とある場所へと歩を進めていた。その場所とは、国境砦で善戦しながらも敗退してしまった、国境守備隊の治療が為されている医療室だった。

彼は、医療室へ入ると近くにいた看護師に場所を聞いてそこへと向かった。その場所には、男性が一人ベットで横になっていた。


「邪魔するぞ。」


 レトスは、そう声をかけ個室へと入っていた。すると横になっていた男性は、びっくりして慌てて起き上がろうとする。

しかし傷の痛みにより起き上がることはできなかった。

レトスは、さらにこう言ってその男性の動きを止めたのであった。


「怪我人が、無理に動くな。ゆっくり休んでいろ。」


「はっ、分かりました。」


 そう言われた男性は、再びベットに体を預け、安静にするとレトスの方へと顔を向けた。

レトスも近くに置いてあった椅子をベットの近くまで寄せ、そこに着席し男性の方へと顔を向けたのであった。


「まずは、報告からだ。」


 レトスが、そう言って手に持っていた資料を開くと、その男性も「はい。」と言って聞く体制になった。


「今回の戦闘で、貴様が指揮した部隊の被害は、戦死千名、退役となる重傷者は二十五名、戦列復帰可能な重傷者は十名、軽傷者は、七百名だ。よって貴様の部隊の現在の総数は、三千九百七十五名だ。大佐。」


「はっ、申し訳ございません」


 レトスの報告を聞いた男性は、謝罪をしてきた。そうこの男性こそ先の国境砦の攻防戦によって国境守備隊を指揮した司令官、スティネル・トリボール。年齢四十歳、階級は陸軍大佐である。

スティネル大佐の謝罪に対してレトス司令長官は、こう返答した。


「何を謝っている、貴様たちがあそこまで奮戦してくれたお陰で敵は少数の部隊を残して退却したのだ。」


 そう実は、敵である〔ノース・ザルド王国〕王国軍は先の国境砦攻防戦によって〔デイ・ノルド王国〕王国軍第五方面軍国境守備隊の頑強な抵抗に遭い、国境砦を奪取したものの多大な犠牲、払ったのであった。そして少数の部隊だけを残して退却していたのである。


後に判明したことだが、〔ノース・ザルド王国〕王国軍は一万人と攻城兵器の攻撃部隊を送り戦死者五千人、重軽傷者合わせて三千人、攻城兵器全て破壊といった状態となっていた。そのため再度の部隊編成のため〔ダガロン要塞〕に退却していた。


 そのため〔シテネモン要塞〕は、まだ戦場とはなっていなかったのである。そしてレトス司令長官は、こう続けた。


「貴様たちが作ってくれた時間によって国境砦と要塞の間に在る村や町からの民間人を避難させる時間が確保できた。これは勲章者だぞ、大佐。だから謝る必要はない。」


 それを聞いたスティネル大佐は、安堵の息をつくと目から涙が零れたのであった。その様子をみたレトス司令長官は、肩を叩き、元気づけると、椅子から立ち上がり、大佐に別れを告げて医療室を後にしたのであった。

そして作戦室へと到着し、幕僚たちと民間人の避難の手配、迎撃プラン、その他の事を話し合った。


 そしてそれから二週間が過ぎた頃、その日の早朝〔シテネモン要塞〕周辺には、深い霧が発生し周りを警戒するにも困難を極めていた。

そんな中、要塞の監視塔で監視の任に就いていた、兵士が霧の中に何か動くのを見たのであった。

兵士は、直ぐに双眼鏡を持ち、それをのぞき込むと、そこに映っていたのは、敵である〔ノース・ザルド王国〕の軍隊機であった。


 それを確認した兵士は、監視塔に設置されている魔導通信機を掴むと要塞司令部へと報告した。

報告を受けた要塞司令部は、迎撃指令を発令し、戦闘に備えたのであった。


 そして〔ノース・ザルド王国〕から大砲による一斉砲撃によって戦闘の火蓋が切って落とされたのであった。






 後に戦史に語り継がれる第二次林伐戦争、最大の激戦の呼び水となる『シテネモン要塞攻略戦』の始まりであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。


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