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第25話 静けさと怒り

どうぞ、お読みください。

 時は、数十時間前に戻る。


 〔デイ・ノルド王国〕国境 国境の砦


 その日国境の砦は、いつものような穏やかな日を迎えようとしていた。砦の門の両側に在る詰所から兵士が二人出てきて門の前に歩いて行く。

彼らは、門の前で一旦止まると、一人がポケットに手を突っ込み懐中時計を取り出し、もう一人が、同じくポケットに手を突っ込み鍵を取り出した。

懐中時計を取り出した兵士は、蓋を開け時間を確認すると、鍵を持った兵士にこう言った。


「よし、八時だ。開門よーい。」


「開門よーい、サー。」


 と、言われた兵士も復唱をし鍵を持ち門へと向かい、鍵を門の鍵穴に差し込み、回すと門が開錠された。すると両側の詰所よりまた兵士たちが出てきて門の所に向かうと、閂を持ち上げ門を内側へと牽き、開門されたのであった。

すると門が開くのを外で待っていた商人たちがこぞって中に入っていく。商人たちは、自分たちの割り当てられた場所に向かうと店を開店する準備を始め、商品などを陳列しお客さんが来るのを持つのであった。

そして九時となると国境側の二重門が、開かれると、砦内の宿泊所に止まっていた。旅人たちが姿を見せ、商人たちから商品を買ったり、国境通過審査の列に並ぶなどをして、思い思いに過ごしていた。

 そんな様子を砦の一番高い塔で観察していた国境守備隊司令官は、塔に集まっていた隊の幹部たちを前に朝礼を開始した。


「今日も騒がしい一日が、始まった。各々自分たちの役割を全うし、砦と国境の守備、そして何よりも民の安全の為に全力を尽くしてもらいたい。以上だ。」


 司令官の訓示が終わると国境守備隊の小隊の隊長を務める幹部たちにそれぞれの隊のシフトが配られ、各隊が自分たちの役割を確認すると朝礼は終了した。

そして幹部たちは、各々の隊へと戻るとシフトを提示し、部下たちを指揮し業務へと取り掛かったのであった。


 それから九時間後。


 国境通過審査が十時に締め切られ、今日最後の一人が国境を越え〔ノース・ザルド王国〕へと向かい、後は、砦の入門時間締め切り十一時のになるのを待つ状態となっていた。


 その時である。俄かに〔ノース・ザルド王国〕の国境の砦が、明るくなると、その明るさがこちらに飛んできたのであった。

その明るい物体は、砦の壁当たると、大きな音を立てた。異変を感じた兵士たちが確認に向かおうとするとまた明るい物体が飛んできて壁に激突したのであった。

兵士たちは、何が壁に向かって打ち込まれているのかを確認するとそこには、赤々と熱された巨大な石であった。

異常事態が、発生したと判断した兵士の一人が司令官にこの事を伝えに行き、その場に残った兵士たちは、守備の為壁へと上がる者と砦内にいる民間人たちを避難させる者たちに分かれ行動を開始したのであった。


 そして伝令に言った兵士によってこの事を把握した司令官は、同じように砦の守備と民間人の避難、さらに首都と国境要塞である〔シテネモン要塞〕へと伝令を命令し、自らも砦の守備に就いたのであった。





 また数時間、時は、遡る。


 〔ノース・ザルド王国〕国境地帯 〔ダガロン要塞〕


 ここ〔ダガロン要塞〕にてとある男が、何らかの知らせを待ちながら、ゴブレットに入ったワインを飲み干していた。

その男とは、〔ノース・ザルド王国〕現国王、ピスグリス・ドゥ・ユーベル・ザルドであった。

 ちょうどワインを飲み干したタイミングで、伝令の兵士がやってきた。


「陛下、ご報告申し上げます。」


 それを聞いたピスグリスは、「うむ、申せ。」と言い兵士に続きを促した。そして伝令の兵士は、こう答えた。


「影の長より、作戦は失敗したとの報告がございました。」


 それは、ピスグリスにとって耳を疑う言葉であった。伝令の兵士に再び報告を言い直させたが、事実は覆る事はなく、ピスグリスは、激高し、伝令の兵士にこう告げた。


「将軍たちを呼べ。」


 それを聞いた兵士は、将軍たちを呼びに部屋を出て行ったのであった。しばらくして将軍たちが部屋へとやってくるとピスグリスは、こう命じた。


「今すぐ、かの国を攻撃せよ。」


 それを聞いた将軍たちは、「はっ」と返事をすると攻撃開始の命令を伝えるため部屋を出て行ったのであった。

そしてその命令から1時間後、攻撃が開始されたのであった。





 これが第二次林伐戦争の最初の戦闘であった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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