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第11話 乗馬と大使

本日、2回目です。


どうぞ、お読みください。

〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕城下町 貴族居住区 アルドール公爵家別邸


「ホ~、そんな事があったのか。」


 そう言って好々爺な顔を浮かべているのは、僕ことエギルの母方の祖父、エルドミル・フォン・アルドール王国公爵である。

建国時から存在する公爵家の現当主であり、王国の最重鎮として国内だけでなく諸外国まで名が響き渡っている名政治家である。


「その馬を儂も見てみたいな。」


 ふとお爺様が、そんな事を言って来た。するとそれを聞いた、お爺様の隣に座っているご婦人が、ストップをかけて来た。


「貴方、今から行くというわけでは、ございませんでしょう。」


 そのようにお爺様を牽制するこのご婦人こそ、僕の母方の祖母、ヒルデリア・フォン・アルドール王国公爵夫人である。

お婆様は、とある国の元公爵令嬢で、お爺様がその国に三年に亘って留学されている時に大恋愛すえ結ばれたと云う逸話を持つ女性である。


 それでは何故、お婆様はお爺様を牽制するのかというと、それはお爺様の趣味もしくはライフワークが原因である。

お爺様は、その国での三年に亘る留学を終え、国に帰ると軍に入営した。何故、入営したかというと、貴族の子息は、必ず王国軍に入らなければならないと法で決められているからである。

 お爺様は、入営後、新兵訓練を終えた後、配置希望を軍に出した。希望先は、砲術であったが、それは叶わず騎兵科へと配置を命じられたのである。

いやいや騎兵科に来たお爺様であったが、そこで過ごしていくうちに馬に興味を持つようになりそれが軍を退官する頃には、動物に対する溢れんばかりの興味に変わっていたのである。

 お爺様は、貴族として仕事の傍ら動物の研究を本格的にスタートさせ、いろいろな論文を提出するなど活躍をされている。挙句の果てには、公都〔アラスアン〕に動物園と水族館を作ってしまうほどの熱の入れようなのである。


 そのため珍しい動物や魔物などに目がないである、そのせいで、時たま暴走をするのでお婆様がストップをかけるのであった。


「分かっておるよ、心配せんでもよい。」


 お爺様が、そう言うと、お婆様は、こう切り返した。


「何を言っているのです、今すぐにでも見に行きたいと顔に書いてますよ。」


 そう指摘されたお爺様は、誤魔化すようにテーブルに置かれていた紅茶を飲みだしたのであった。


「ハハハ、相変わらず仲良しですね、お婆様たちは。」


 僕が、二人の掛け合いに感想を言うと、お婆様もテーブルに置かれていた紅茶を飲みだしたのであった。

しばらく紅茶とお菓子を楽しみながらお爺様たちと話をしていると、お爺様がある提案をしてきた。


「エギル、乗馬をしてみないか?」


「乗馬を?」


「そうだ、お前も六歳に成ったのだから、乗馬の訓練を始めなくてはいけない。どうだ、儂と共に遠乗りに出かけるために練習するのは?」


 僕は、それを聞いて魅力的な提案だなと思った。のでお爺様の提案に乗ることにしたのであった。


「うん、分かった。お爺様、ご教授お願いします。」


 そう言うと、お爺様は、「そうか、そうか。」とさらに相好を崩して喜ばれたのであった。

しかし、もう遅い時間帯なので、明後日から王城の馬場で訓練を開始することになり、僕はお婆様たちに見送られて、公爵家別邸を後にし、王宮へとの帰路についたのであった。


 徒歩で王宮に帰ってくると、何やら騒々しく皆があちらこちらに速足で向かっている状態に遭遇した。

何があったのだろうと思い、通りかかった侍従に話を聞いた。


「この騒ぎは何なの?」


 侍従は、立ち止まり説明をしてくれた。


「これは、殿下。お帰りなさいませ。急遽とある国の新たな大使が陛下に謁見を請願成されまして、その準備に奔走している最中でございます。それでは、失礼いたします。」


 そう言うと、侍従は足早に去っていったのである。こんな時間に非常識な大使も居たもんだと僕は思いながら、後宮の自室へと帰ったのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございました。


明日の投稿については、後ほど活動報告でお知らせいたします。

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