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第8話 決定と逃亡

本日、2回目です。


どうぞ、お読みください。

〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王城 枢密院小議場


 時をさかのぼって、『王国合同総合火力演習』が、行われる二日前の夜、王城東区にある王国枢密院の小議場と呼ばれる会議室に八人の男たちが集っていた。

会議を招集した男性が、開会を宣言した。


「これより、極秘枢密会議を開く、議題は、とある貴族の処罰について」


 その宣言が、なされると、八人の男性は各々の席に着席し、それぞれの席に用意されている資料に目を通しだしていた。

そして数分後、資料を読み終えた会議の参加者の一人が、同じく参加者である年長の子供に対して質問をした。


「…、これは真なのですか。…と知らずに襲ったというのは。」


 その殿下と呼ばれる年長の子供は、こう答えた。


「うん、彼らは僕について何にも知らされてなかったみたい。命じた本人も僕だとは分かっていなかったしね。」


 すると別の参加者から別の質問が会議の開始を宣誓した主催者の人物に対して行われた。


「…、処罰することについては、何の異議もございませんが、この土地は、非常に重要です。誰を封じるのですか。」


 会議の主催者は、こう答えた。


「うむ、その心配は、最もである。しかしこの家の長男は、真面だ。彼に、任せようかと思っている。」


 そう言ったやり取りが、参加者の間で行われ、あらかたの質問が出され事を受け会議を主催した者から決を採るとの宣言がなされた。


「これより、決を採る。伯爵に対する処罰について賛成の者は、手を挙げよ。」


 その言葉が、終わったのと同時に参加者全員の手が上がり、決が採択された。


「全会一致、これにて極秘枢密会議を終わる。」


 主催者が、会議の終了を宣言し、参加者は、建物を後にしたのであった。




 また時は、演習当日へと戻る。『王国合同総合火力演習』午後の部の実戦演習が、まもなく開始されようとしていた。

午前の部において大砲が、暴発するといった事故が、発生したが、幸いにも死傷者は居らず開催できるとの判断が、アラン国王から行われ、予定通りに始められることとなった。

 しかし、とある一人の貴族が、その実戦演習に対して文句をつけていた。


「何故、この私が、最前線なのだ。納得いかん。」


 そう不満をあらわにしているのが、〔デイ・ノルド王国〕王国伯爵、テイドマ・フォン・ドルパースである。

ドルパース伯爵は、王国の中心から西南西の所に位置するドルパース領に封じられている伯爵である。

 このドルパース領は、王国の最前線を防衛する辺境伯領とその後方支援を担当する王国領ともう一つの伯爵領の間に位置する戦略上重要な要地である。

そのためドルパース領の伯爵軍は、戦時に後方に置いて大砲などによる支援砲撃や後方部隊に対する護衛を司るのが任務であり、戦場の最前線で戦うのが、本来の仕事ではないのである。


 しかも、ドルパース伯爵を苛立たしているのは、最前線に配置されたと言う事だけではない。

それは、実戦演習部隊の指揮官も彼の気に障るのであった。


「何故、あのような身分卑しき者が、私の上に立って指図しておるのだ、納得いかん。」


 今回の演習で王国軍と諸侯軍の混成軍を指揮をするのは、七年前の〔ノース・ザルド王国〕との戦争において、最前線にて武功を重ね、平民から騎士爵へと任じせれた、若き青年であった。

 この青年は、騎士爵に任じられた後、自ら後方部隊に行きたいと希望を出し、後方での勉強を経て、二年前に若くして王国軍准将の肩書を拝命した王国軍の期待の若者である。

そんな彼に対してドルパース伯爵は、嫉妬心を露わにしていたのである。


「父上、お怒りは重々承知ですが、少しお静まりください。」


「何だ、何か用か?」


「はい、あの平民上がりを出し抜く方法がございます。父上。」


 そう言って話しかけてきたのは、ドルパース伯爵の次男である、エデルであった。


「ほぉ~、聞こうか、我が息子よ。」


 続きを促されたエデルは、その策を話しそれを聞いた伯爵は、みるみると上機嫌になりご満悦の表情になった。


「さすがは、我が息子。あやつとは、出来が違うの。」


 伯爵は、そう言って次男を褒め称えた、対して次男もこう返した。


「当たり前です、私は、あのぼんくらな兄とは、違います。」


「ハハハ、確かに。」


 伯爵は、それを聞き更に上機嫌となったのであった。



 そして、演習場に王国軍と諸侯軍の合同混成軍と近衛師団、第六騎士団、第二混成師団の統合軍の配置が完了し、国王からの演習開始の下知が下った。


 演習が、開始されまず行われたのが、砲撃の応酬であった。それぞれの陣営の砲座や兵員の人数を減らす攻防が繰り広げられた。

まさにそんな時、それは起こった。

 そんな砲撃の応酬中にも関わらず、最前線の部隊が、指揮官の判断も仰がずに突然、東統合軍の方へと突撃を敢行したのであった。

その部隊こそ、ドルパース伯爵の部隊であった。

 突然の事態に合同混成軍にかなりの動揺が見られたが、指揮官の青年の的確な指示にやり混乱は沈静化、後に続く部隊は、現れなかった。


 一方の突撃を仕掛けられた統合軍の方はというと、砲撃を合同混成軍の前に着弾させる方法に切り替え、援軍を出させないようにすると、第六騎士団から一部部隊を出撃させドルパース伯爵の部隊を迎撃した。

 迎撃を受けたドルパース伯爵の部隊も果敢に応戦をするが、遊撃部隊として精強を誇る第六騎士団の圧力に屈し敗退を余儀なくされる。

 敗退した伯爵の部隊を憲兵隊が待機場所に誘導し伯爵も含め点呼を取ったところ伯爵とその次男、更には同行していた三男が居ないことが発覚し、捜索が開始された。


 一方その頃、ドルパース伯爵たちは、演習場の周りに存在している森へと逃亡していた。

 演習が開始され果敢に突撃を行ったものの、後に続く部隊が現れないと知った伯爵は、自分の子供たちだけを連れて部隊から逃亡していのだ。

そして森に入ると、この策を授けてた次男を詰りだした。


「貴様の考えたの当てにならん、なぜこのような事になるんだ。」


 言われた次男も言い返す。


「俺の意見を取り上げたのは父上だろ、責任は父上にあるんだよ。」


「何を、貴様。」


 と言った具合に内ゲバを繰り広げていた。


 するとそんな三人に忍び寄る影たちがあった。その影たちは、懐から何かを取り出すと争っている伯爵たちめがけて何かを打ち込んだ。

すると撃たれた伯爵たちは、急激に意識をなくし倒れ伏したのであった。

 伯爵たちが、倒れ伏したのを確認した影たちは、三人に手錠をかけ、持ってきていた担架に乗せるとどこかへと連れ去っていたのであった。


お読みいただきまして、ありがとうございます。

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