第6話 招待と制裁
総合PVが10000を超えました。ありがとうございます。大変励みになっています。
これからもどうぞ、応援をよろしくお願い申し上げます。
どうぞ、お読みください。
〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王宮
私ことオルティシア・フォン・スホラーゼルは、エギル殿下の要請を受け、私の母方の祖母であるガーベリウム・フォン・ノグランシア王国公爵が、いる部屋へと向かっていた。
私は、お婆様の執務室に向かう間、お仕えするエギル殿下の事を考えていた。齢5歳になられた殿下であるが、その年齢に見合わない勇気と行動力、さらに胆力をお持ちでいらっしゃる。
それをまざまざと見せつけたのが、殿下ご自身の誕生日であった。
その日殿下は、いつも様に武術と魔導の鍛錬を終えると、誕生パーティーのため、王族の着用される礼装に着替えると私と侍女たちを伴いパーティー会場に向かわれた。
パーティーでは、国王陛下より王族が儀式に着用する正式のマントを送られ、先王陛下、王兄殿下、王弟殿下などからも贈り物をもらわれたエギル殿下は、5歳の誕生の願いを聞かれこうお答えになったのであった。
「先の王城施設爆破及び爆破未遂事件で、魔導装置を設置し爆破を招いたとして懲役刑が言い渡されている、元警衛士ロードスト・モルロの恩赦です。」
それを言い切るとパーティー会場がどよめきに包まれた、パーティーに参加している貴族たちから、殿下に対して臣下にあるまじき言動がなされたが、殿下は、その様な声を最初っから気にも留めずに、陛下にそうするべき理由と意義を申し立てたのであった。
殿下の意見を聞いた陛下は、パーティーに参加していた王国宰相、大法院院長、貴族議会議長、枢密院院長などにも話を聞き、さらにお婆様にも意見を求めた。
王国四役もお婆様も殿下の意見を是とされ、陛下は、殿下の願いを叶えると明言されたのであった。
そしてその日の内にモルロ氏に対して恩赦が、行われ、彼は家族の元に帰っていった。
私は、その報告のため殿下の私室にお邪魔をした際に、「何故、このような事を?」と質問をした。
すると殿下は、こう答えられた。
「人は、時に間違いを起こす、それに気づき、それを悔い、それを改めると誓っている者にチャンスを与えないのは、間違いだ。だからこそ、モルロさんに恩赦を与えて欲しいと願ったのさ。」
私は、それを聞きこの方は、慈悲だけではなく苛烈さも持たれているのを感じたのであった。
そんな事を考えている間にお婆様が使っておられる部屋へと着いた。私は扉をノックしお婆様の許しを得て部屋に入り殿下からの依頼を言付けた。
それを受けたお婆様は、こう言われた。
「やはり殿下は、面白い方ですね。」
私は、その言葉でお婆様が了解したと悟り、部屋を退室し後宮に戻って来ていた殿下の元へと返っていったのであった。
〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕城下町
僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドは、昨日に引き続いて城下町に来ていた。その目的は、とある物をクリスタ家に持っていくためである。
王城から出てしばらく歩いていると、僕の背中の辺りがムズムズとしてきたのである。この感覚は、僕に敵対的な人物か、害をなそうとしている人物が、近くにいるとのサインである。
「ウ~ン、撒いてもいいだけど、後顧の憂いは断つべきだよね。」
僕は、そう決めると少し早歩きとなり、クリスタ家に向かう道を外れて、とある場所に行く道へと進んだ。
すると同じようにそのムズムズも僕と同じ道を通りだした、しかも若干ではあるが距離を詰めてきていた。
僕は、後ろの人数を確認するため、一旦立ち止まり靴ひもを結びなおすことにし、実行した。
僕は、しゃがむと緩んでいた靴ひもを結びなおしながら軽く目を閉じ、深呼吸すると、木と魔力で物を見ることのできる状態になり僕の後についてくる者たちと彼らの仲間を探り出した。
「ハァ~、多いな、子供に向ける人数じゃないよな。」
感知をした人数は、総勢三十人強でその中には、昨日ダンテを虐めていたとある伯爵の息子とその取り巻きの貴族の子息たちの物も感じることが、出来た。
僕は、それを確認すると、立ち上がり、そのままとある場所まで進んで行ったのである。
それから少しばかり歩いていると、ようやく目的の場所の近くまで来ていた。周囲にはほとんど人はおらず、周りに迷惑をかけない事を確認し、目的の場所である、少し広めの広場に到着した。
僕は、そこで立ち止まり、後ろに向くとこう言った。
「出て来いよ、僕に話があるんだろう。」
その言葉を聞いたのだろうゾロゾロと人相の悪いしかも何らかの武器を持ったいかにもな人たちと共にとある伯爵の息子とその取り巻きの貴族の子息たちが出て来た。
そして僕の周りを取り囲み逃げられないようにすると、とある伯爵の息子が、しゃべりだした。
「おい平民、昨日はよくも僕たちの大事なおもちゃを取り上げてくれた上に、僕たちに何かを投げつけて怪我を負わせてくれたな。しかし僕たちは寛大だからね、その無礼も君が土下座をして謝れば許してやろうと、こうしてやってきたよ。感謝してほしいね。」
「はぁ? 何言っているんだか、僕は、何も悪いことはしていないよ、むしろしていたのは、君たちの方でしょ。謝るのは君たちの方だと思うけど。」
僕は、さっきの言い分に正論で反論すると、彼らは、何をと言わんばかりに噛み付いてきた。
その後、しばらく言葉の応酬が続いたが、先に脱落したのは、とある伯爵の息子であった。
「お前たち、あの生意気なガキを痛めつけてやれ。」
その言葉を持っていましたと言わんばかりに、周りにいるゴロツキと呼ばれる連中がニヤニヤとしながら距離を詰めて来た。
そして奇声を発しながら数人が、僕を痛めつけようと向かって来たのである。
「キェェェェェ―。」
僕は、その声を聴いた瞬間、身体強化の魔術を展開し、懐から折り畳み式の金属製の棒を取り出し、その襲い掛かってきた男の顔面を棒の先で突きその反動で後ろから来ていた男の腹も突くと、両側から来ていた男たちの振り上げた武器を転がって避けると、その武器を持った手を強打し武器を落とさせ、ひるんだ隙を見逃さず、二人の男の肩をそれぞれ強打し気絶させた。
それを見ていた他のゴロツキ達は、子供と高をくくって参加していたようで、僕が、ものの数秒で襲い掛かってきた四人を倒すのを見るとこれはまずいと思ったのか、一斉に襲い掛かってきた。
僕は、襲い掛かってきた瞬間に「跳躍<リープ>」の魔術を発動し上空へと行くと、金属製の棒を地面に投げ、こう唱えた。
「雷<ライトニング>」
すると僕の手から雷が発生し、地面に刺さっている金属棒に雷が落ちると、襲い掛かってきたゴロツキどもは、金属棒から出て来た雷に当たって全員感電してしまい、戦闘不能になった。
僕は、「浮遊<フロート>」の魔術唱えて地上に戻ると、感電した中にとある伯爵の息子とその取り巻きたちが居るか調べたが、全くおらず、またその場から姿も消していた。
逃げ足の速い奴らだなと思いながら、衛剣の二人を呼び寄せ、後処理を行い、ゴロツキ共を衛士たちに逮捕させると僕は、本来の目的地へと歩いて行った。
クリスタ家に到着するとエマが、出迎えてくけた。僕は母上たちからの手紙と王家からの招待状を渡し、少し話をしてからその場を後にし、王城へと戻ったのであった。
ちなみに、ゴロツキ共は、気絶するだけのダメージと感電に留めているので誰も死んではいないのであしからず。
お読みいただきまして、ありがとうございました。




