表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/129

第16話 説教と開始

どうぞ、お読みください。

〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王城の西 軍の兵器庫


 魔力爆発に伴って発生した火災をリウム先生たちが、止めたことにより、負傷者の救助と治療を迅速に行うことが出来たため、爆心地の兵器庫の中にいて亡くなった、三人の兵士以外の死者は発生しなかった。

 亡くなった三人の兵士の遺体も回収され、遺族の元に返されることになった。


 爆発の原因の調査と並行しながら建物の片付けも進んでいる現場を見て安堵していると、突然耳を誰かに引っ張られた。


「イタタタタタ―――」


 そう言いながら、引っ張られている方を向くとリウム先生が、立っており、ものすごく怖い顔で僕を見ていた。


「殿下、後でお説教です。覚悟してくださいね。」


 そう言って僕の耳を離した先生は、王城の方へ歩いて行った。僕は、先生の後を追うように王城へと戻り、後宮に入り着替えを済ませた。

 後宮のダイニングルームに向かうと、母上たちと姉上に抱きしめられ、その後にお説教されると言う事態になった。僕も、「ごめんなさい」と謝りながらお説教を受けた。その後にリウム先生の部屋でお説教を受けた。

 リウム先生のお説教が終わると、父上から呼び出された。「また、お説教か~。」と思いながら、父上の居る王宮の居室に向かった。

王宮の居室に着くと、父上は僕を招き入れて、椅子に座るように言うと、父上の分と僕の分の飲み物を注いでテーブルに置いて、僕の前に座り、お説教をしてきた。僕も皆に心配を懸けたことを反省しながら聞いていた。

 しばらくして、お説教が終わると、父上は、立ち上がり部屋の奥へ行くと何かを取り出して僕の所に持ってきた。

 その手には、短めな刀が握られており、それを僕に差し出してきた。


「最後に、言っておく。よくやった。これはその褒美だ。」


 父上は、そう言って僕の手に小さめな刀を握らせ、僕の頭に手を載せてわしゃわしゃと撫でてきた。

僕は、貰った刀を握りしめ「ありがとうございます。」と言い、その場を後にした。その後、後宮に戻り、刀を刀掛けに置き、着替えて就寝したのであった。





 〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王城 中庭


 今日から授業で、武術と魔導の鍛錬が始まる。その鍛錬のため僕は、運動に適した服に着替えて中庭に待機していた。どんな訓練をするのだろうと考えながら待っていると、リウム先生が、二人の人物と共に歩いてきた。


「殿下、おはようございます。」


「おはようございます、先生方。わっ。」


 僕が、リウム先生たちに挨拶を終えた瞬間、何かが足元に刺さる感覚を覚えて、思わず飛びのいてしまった。

飛びのいた場所をよく見ると、投げナイフの小さい版みたいなものが、刺さっており、飛びのいていなければ、足に刺さっていたことを確信した。

誰が、投げたんだと思いながら見ていると、上の方から「ハハハ」と言う初老の男性の笑い声が聞こえて来た。


「これ投げたのって、須針師匠ですか?」


「うむ、第一の試練は、合格じゃ。」


「これが、第一の試練?」


「そうじゃ、危機を感じ取れぬものに九我流を学ぶ資格は、存在せん。死んでから、出直して来いと言う物じゃ。」


「そういう事を言うのは、もしかして一歩間違えれば、命を落とすっていう事?」


「うむ、九我を学ぶ者には、死に対する恐れを感じることが、必要になってくる。それを知ることこそ、最初に学ばなければならない事なのだ。」


 そう言うと、須針師匠は、地面に刺さった小さなナイフを抜くと、腰に佩びて居る刀の鍔の部分にそれを刺して仕舞った。

 仕舞い終わると、須針師匠が言った。


「九我流の門弟として、認める。死を恐れることを忘れるな。」


それを言い終わると、リウム先生の隣に下がった。代わりに前に出てきたのが、ユナ師匠であった。

 ユナ師匠は、僕の前に立つと握りこぶしを握った両手を突き出してきて、こう質問してきた。


「私の両手の何方かに魔法を発動させています。どちらの手でしょうか?」


 僕は、ユナ師匠の手を観察した。すると何かの違和感を感じて、それを感じた手を指差した。


「こっちの手の中に魔法が発動している。」


 そう答えるとユナ師匠は、にっこりと笑い、手を開いた。すると右手には何も握られていなかったが、左手には光の玉が浮かんでいた。


「正解です。でもまだありますよ。」


 そう言うとユナ先生は、光の玉を消し、再び握りこぶしを作って、質問してきた。


「私の両手の何方かに魔術が発動しています。どちらの手でしょうか。」


 僕は、再び両手を観察した。今度は直ぐにそれが分かったのである。僕は、すぐにその手を指差した。


「こっちの手の中に魔術が発動している。」


そう答えるとユナ先生は、ますますにっこりとして笑い、手を開いた。すると先と同じで右手には、何もなし、左手から、光の玉が出てきた。


「正解です。弟子として認めましょう。」


 ユナ師匠は、そう言って僕の弟子入りを認めてくれた。そして、先ほどのテストの意味を解説してくれた。


「先のテストでは、魔法と魔術の違いを体感させて、それが分かるかってことを調べたんだよ。」


 ユナ先生の解説によると、魔法とは、世界の法則を変える物、そのため発動後に違和感を感じてしまうのだと言う。対して魔術は、世界の法則を捻じ曲げる物、そのため使用する時に大量の魔力を使う為、魔力の流れを感じるのだと言う。この違いを感じることが出来る者にしか魔導を扱うことが出来ないのだと言う。


「だから習得者が、少ないんですか?」


「その通り、花丸を挙げましょう。」


 ユナ先生は、そう言うと僕の頭をヨシヨシと撫でた。


 師匠たちの試が終わると、ようやくこれからの鍛錬の内容が、リウム先生から教えられた。


「これからの鍛錬の内容は、体力づくりと気と魔力を感じる訓練となります。これが出来なければ次に進むことは、出来ません。よろしいですね、殿下。」


「うん、分かりました。頑張ります。」


「よろしい。では、体力作りから参りましょう。」


 リウム先生の掛け声とともに鍛錬が、始まった。この超基礎鍛錬を僕は、怠るずにやり続ける事により、この先に起きた出来事に対処することが出来たのである。


お読みいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ