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第13話 師匠と師匠

どうぞ、お読みください。

 〔デイ・ノルド王国〕首都 〔ハルマ―〕王宮 談話室


 私こと、マリアンヌ・フォン=カルティア=ノルドは、夫で在らせられる国王陛下のお呼び出しを受け、第二王妃であるステラ・フォン=ルドリア=ノルドと共に後宮を出て王宮の談話室の一室に参りました。

談話室に到着し扉を開け中に入ると、陛下の他に大賢者リウム様が居られ、顔を強張らせて座っておられました。私は、この時何か不吉なものを感じました。しばらくして、他の王族の方々も談話室に来られ話が始まりました。

その話は、我が息子エギルに関することでした。エギルが、本日の授業でとある素質を持ってることが、分かったとの事でした。

 リウム様の言葉によると、この素質を表した人物は、ありとあらゆる困難に直面し続けると言うのだ。それは、エギルであっても例外ではなく、乗り越え続けなければならないと仰っていました。

さらに、その直面する困難を乗り越えることが、出来る資質もエギルは持っており、それを開花させるためには、全てを学ぶ必要があるとの事でした。そのために最高にして最強の師をエギルにつけるべきだと、リウム様は、申し出ました。

 私は、この時後宮の部屋でアリベルと共にベットで寝ているエギルの事を考えていました。今すぐにでもエギルたちの元に言って抱きしめてやり、安心させてやりたいと。

その事を考えていたためか、隣に座るステラの手と私の手がお互いを強く握りこんでいました。そのお互いが、握りこんでいた手にふと冷たい感触が乗ってきました。

それは、陛下の手でした。

 陛下は、私たちの手を覆いかぶせるように包むと、こう申されました。


「あの子は、強い。私たちは、あの子を支えることでエギルを守っていけば大丈夫だ。」


 私とステラは、その言葉に安心を得て、お互いの手を離すことが出来ました。その後、夜も遅いので、一旦話し合いを打ち切り、後日改めて話し合いを設けることとなり私たちは、解散しました。

 私とステラは、後宮に戻るとそれぞれの部屋に一旦帰り、夜着に着替えて、子供たちが寝ている部屋に向かいました。


  コンコンコン


 私は、部屋の扉を小さく叩き、子供たちを見てくれている侍女を呼びました。すぐに侍女が出てきて子供たちの様子を教えてくれました。

私は、彼女に「今日は、もう良いので休みなさい」と伝え、彼女を帰しました。そして私たちは、部屋に入り子供たちが寝ているベットへと向かい、エギルとアリベルを挟むようにベットに入り子供たちと共に眠りに就いたのでした。






 僕は、暑さによる寝苦しさで、意識が覚醒した、眼を開けてみると、いつもの天井が見えていた。それにしても暑いと思いながら体を起こそうとすると、体に重さがかかっていて起き上がれないのである。

おかしいなと思って横を見てみると、そこには母上がいて僕を抱きしめて寝ているのである。そして反対側を見てみると、姉上が僕を抱きしめて寝ており、さらに姉上の横にいるママ様にも姉上ごと、抱きしめられていた。

これにより三人の身体の重さが、僕に掛かり体を起こすことが出来なかったと言う事である。

しかしこれでは、身動きが取れないのと暑苦しいので、母上たちに起きてもらう為、僕は、行動を起こした。


「母上、朝ですよ。起きてください。」


 そう言って、僕の首の辺りに掛かっている母上の手を叩いた。すると母上の眼がゆっくりと開いて、僕を見た。


「エギル、おはよう。」


「おはようございます、母上。」


 挨拶を終えると母上は、僕のほべったに口を寄せて、チークキスをしてきた。


チュッ チュッ

 それを終えるとさらにギューと抱きしめてきて、僕の顔をスリスリとしだした。


「母上、離して~。起きられない。」


 と言って、抗議をすると「あら、ごめんなさい」と言って離してくれた。

そんな事をしている間に姉上とママ様も起きてきて、母上と同じことをしてきた。しばらく三人のおもちゃになっているとようやく満足してくれたのか、離してくれて、ベットから起き上がることが出来た。


  コンコンコン


 部屋の扉をノックする音が、聞こえてきて、部屋の外から、後宮侍女長のアンリの声が聞こえてきた。


「おはようございます、皆様。アンリでございます、入ってもよろしいでしょうか。」


「どうぞ。」


 母上が、代表して答えると、アンリが扉を開けて入ってきた。入ってきたアンリは、再び朝の挨拶をして、僕たちの服を持ってきた侍女たちを中に入れた。

僕は、いち早くベットから出ると、僕の服を持ってきてくれた侍女から服を、受け取り、手早くパジャマを脱いで、服を自ら着替えると、急いで部屋を出た。

 部屋を出ると、今の僕のお世話係であるイルマがすぐに僕のそばにやってきた。


「イルマ、おはよう。」


「おはようございます、殿下。」


 イルマに、朝の挨拶をして僕は、後宮のダイニングルームに向かった。ダイニングルームに向かう間、僕は、イルマから今日の予定を聞いていた。


「殿下、リウム様からの言伝でございます。」


「先生から、どんなの?」


「はい、今日と明日の授業はお休みとの事です。」


「えっ、お休み?」


「はい、その通りです。」


 僕は、昨日リウム先生から予定を聞いていなかったので、少し驚いたが、今日と明日は、調べものに時間がさけると思った。

ダイニングルームに着くと、まだ父上は、来ておらず、今日も僕が一番乗りであった。

僕が、ダイニングルームの椅子に着いた頃、母上たちがやって来て、席に着き、そのすぐ後に父上が、やって来て席についた。

そして、皆で挨拶をして朝食を食べたのだった。


 朝食を終えて僕は、後宮にある自室に戻ると、[賢者の書庫]を取り出して展開をし中に入った。中に入ると昨日いたネスシーに変わって女性型魔導人形のネルビ―が司書の仕事をしていた。


「ネルビ―、おはよう。」


「おはようございます、マスター。」


 僕は、ネルビ―に挨拶をして、本の場所を尋ねた。


「ネルビ―、聞きたいんだけど。」


「はい、何でしょうか?」


「世界魔導師協会の本てあるの?」


「はい、ございます。」


 そう答えると、ネルビ―は、魔石を操作して、その本が置いてある本棚を呼び出した。ネルビ―が、本棚から一冊の本を取り出して僕に渡してきた。


「こちらが、マスターがお探しの本でございます。」


 渡された本の題名は[世界魔導師協会 創立から現在まで 大陸歴2329年版]となっていた。

この本には、世界魔導師協会の創立時事から現在までの事が書かれている、さらに協会に所属する魔導師の名前までが、創立時から現在まで載っているのである。

僕は、とある人物を探すためにこの本をネルビ―に出してもらったのだ。


 僕は、早速本を開いて、目的のページを探した。探すこと数分、目的のページが見つかり、その名前を探した。探し始めて十数分後、その人の名前が、見つかった。


「この人だ、ユナリーム・ベラント・カークソルト。」


 ユナリーム・ベラント・カークソルト、この人を僕が知ったのは、リウム先生の授業であった。

 リウム先生の話によると、ユナ導師は、魔導と言う概念の提唱者であり、開拓者であり、研究者で在ったという、さらに世界魔導師協会の創設したのもユナ導師であるとの事であった。

僕も聞いていた時は、そんなすごい人がいたんだなと思ったが、その後、先生から思いがけない言葉を聞いた。


「彼女は、今も生きていて、世界を巡っていますよ。」


 僕は、それを聞いて嘘だと思ってしまった。そんな大昔の人物が、生きているなんてと、だが先生が、とある事を告げたのであった。


「彼女は、私と同じ長命種です。」


 僕も先生が、長命種だとは知っていたが、他にも同じ人たちが居るんだなと教えて貰った出来事であった。

このことを覚えていた僕は、この人に魔導を教えて貰いたいと考えたのであった。そのためにどんな人物かを改めて調べるためこの本を出してもらったのであった。


 一通り調べ終わり、本を返して[賢者の書庫]を出た僕は、部屋を出てとある場所に向かっていた。

 そこは、西宮である。

今日は、リウム先生の授業がお休みなので、久しぶりお爺様とお婆様に会いに行き、昼食を一緒に食べようと考え、書庫に入る前にイルマに伝言を頼んだのであった。

その時間が、来たので向かっているのだ。


 西宮に着くとお婆様が、出迎えてくれて、そのまま昼食と言う流れになった。昼食を食べ終えて、リビングのソファーでお爺様お婆様と話していると、ふと目に留まった本が在った。


「お婆様、あの本は何?」


僕がそれを指差すと、お婆様は振り向いてそれを確認すると、こう答えてくれた。


「アレは、わたしの故郷の国の武術を纏めた本だよ。」


 僕は、その本に俄然と興味が沸き見てみたいと思い、見せてもらうことにした。お婆様は、その本を取ってきて、見せてくれた。

その本には、お婆様の国で編み出されたありとあらゆる武器を使った流派の事が、事細かく書いてあった。

その中に僕の好奇心を刺激してやまない流派が存在した。


 その名は、〈九我流〉と言う。


 この本と、お婆様の話によると、〈九我流〉とは、お婆様の故郷の国に1500年前に誕生した統合武術の流派であり、元は暗殺を生業とする貴族が、編み出したもので、一対一の他に、一対多、多対多などの状況でも、生き残るためにありとあらゆる武器を使い戦う事を主眼に置いた武術であるとの事であった。

 そしてさらに僕を興奮させたのは、その〈九我流〉を僕の曽祖父にあたるお婆様の父上が、それを習得しており、それを教えた人物も、今も生きていて、現役で教えているとの事であった。

 僕は、それを聞き自分も習得したいと思ったのであった。



 二日後


 今日僕は、リウム先生にあるお願いをするために朝早くから、部屋で待っていた。部屋で待っていると、ドアがノックされリウム先生が入ってきた。


「おはようございます、殿下。それでは、授業を始めましょう」


 僕は、椅子から立ち上がり礼をして「お願いします」と言い席に着いた。

そして、席に着くのと同時にこう言った。


「リウム先生、お願いがあります。僕の武術と魔導を教える先生たちは、この人達でお願いしたいと思います。」


 と言って、その二人の名前を出した。この授業が、終わった後、大変な事になったのであるが、無事に僕の願いは、聞き届けられたのであった。






 とある草原


 その場所には、長身の女性が立っており、今しがた届いた手紙を読んでいた。


「リウムちゃんに頼まれたらいやとは言えないし、この王子様面白そな子だから行ってみよう。」


 そう言うと女性は、何処からともなくトンガリとした帽子を取り出して被ると歩き出した。


「さあ、面白いことの始まりよ。楽しみね。」






 とある国 とある場所


 「ほ~、久しぶりに娘から手紙が、来たと思えば、曾孫からの手紙も来るとはな。善き哉善き哉、誠に人生は、面白い。」


 そんな事を言っている人物に、別の人物が近づいてきた。


「まさしくですな、して私をお呼びになった訳は。」


「うむ、娘と孫と曾孫からの願いにより其方をかの国へ派遣したい、かの国で曾孫に〈九我流〉を伝授してほしいのだ。」


「はっ、大殿と姫様のご恩に報いるため、この老骨に鞭を打ち、必ずや曾孫様を立派な武者にして見せましょう。お任せくださいませ。」


「頼んだぞ、和泉守。」


「はっ」


 そして、その人物は数人の弟子を連れてその国を船に乗り出発したのであった。


お読みいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここまで読んだけど正弥どこいった?覚醒してないのかまだ 口調がただの現地主人公じゃん
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