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第2話 到着と帰国

予約投稿をしたと思っていたら、投稿できていませんでした。すみません。


どうぞ、お読みください。


 〔スカイテール連邦王国〕 本島〔テールビス島〕 近海 船上


 僕ことエギル・フォン=パラン=ノルドと今回〔スカイテール連邦王国〕の式典に参加する使節団のメンバーは、王家専用艦「ノルドイリルストリア」に〔ノルドサーウ群島〕のミルベル島から乗船し、1週間をかけ首都のある本島〔テールビス島〕の近海へとやって来ていた。

 入国審査の為、現在船は、指定された場所に錨を降ろして仮停泊を行っていた。しかし現在のところ入国審査は、行われていない状態であった。

その理由は、数日前に確認された嵐が、〔スカイテール連邦王国〕に接近しているためであった。


 ヒューーーーー ヒューーーーー


 僕がいる船室の窓に風が当たる音が、部屋の中にこだましている。そんな音を聞きながら僕は、大叔父上であり〔スカイテール連邦王国〕の先王陛下である、ディスダベル・ドゥ・ネクロンシアと魔導チェスを行っていた。


「ウーン、ウーン、ウウウウウ。」


 僕は、そう唸りながら魔導チェスの盤面を見つめていた。現在の戦況は、僕の判定負けの様相を呈しているのであった。

その理由は、ダベル大叔父上が、わざと千日手になるように駒を配置しているためであった。

この魔導チェスは、実際の戦場での兵士たちの動きなどをリアルに行い、ゲームを行っていくものである。そのゲームの特性上、千日手などを起こすことは非常にまれなことであった。

当然ながらこの魔導チェスにも国際大会は存在し、プロと呼ばれる凄腕のプレイヤーも存在している。

その国際大会でも、このように千日手になったこと、数回しかなく、ましてやこれで敗北になったプレイヤーは、いないのであった。

そんな魔導チェスで、いとも簡単に千日手の状況を作り出せるダベル大叔父上の手の平の上で僕は、いいように遊ばれていたのであった。

そんなことを思っていると、ダベル大叔父上が、こんなことを言ってきた。


「よし、エギル。この状況を覆すことができたら、明日、もう一度、勝負をしてやろう。どうだ?」


 僕は、それを聞いて、こう返答した。


「いいよ、大叔父上。その勝負、乗った。」


 それを聞いた大叔父上は、ニヤリと笑い、こう返してきた。


「よし、では再び始めようか。」


 そういわれた僕は、再び盤面を睨みながら、違和感を探し始めたのであった。すると戦場のある部分に不自然なモノが有ることに気が付いたのであった。

その有るモノとは、騎兵「ナイト」の舞台であった。

普通騎士「ナイト」は、戦場の先頭に立ち突撃を行うのが、役目である。しかしこの騎士「ナイト」の集団は、何故か後方の部隊の近くに陣取っており、戦場に出ようという素振りを見せていなかったのであった。

僕は、この騎士「ナイト」の集団を倒せば、この千日手の状態を解消できると確信したが、もしかして大叔父上の罠の可能性を考慮するべきと考えて、自分の手札に残しと置いたポーン部隊を、その動かない騎士「ナイト」と反対にいる工兵部隊「ルーク」へと向かわせたのであった。

するとそれを確認した大叔父上は、工兵部隊「ルーク」の背後にいたポーン部隊を僕が向かわせたポーン部隊の迎撃にあたらせた。

僕は、それを確認すると自陣の右に配置していた砲兵部隊に指令を発した。

その指示を受けた砲兵部隊は、その騎兵「ナイト」の部隊に砲撃を行った。すると騎兵がいたことで守られていた隣の後方部隊が慌てて逃げるように動いたのであった。僕はそれを見逃さず、待機させていた自陣の騎士「ナイト」の部隊に攻撃をさせた。

すると大叔父上は、森に潜ませていた伏兵部隊を出して、僕の陣地に攻め込んできたのであった。

僕の陣地は、突然の奇襲を受け、あっけなく敗北してしまい。魔導チェスの表示板には、こう書かれていた。


『YOU LOOSE』


それを見た大叔父上は、こう言ってきた。


「私の勝ちであり、エギルの勝ちだな。約束通り、また明日一勝負しよう。」


 僕は、それを受けてこう返したのであった。


「はい、明日は負けません。」


 そして次の日、僕とダベル大叔父上は、再び魔導チェスの盤を囲み、勝負をしたのであった。

結果は、もちろん僕の完全敗北であった。

そして僕たちの勝負がついた時、嵐が通り過ぎ、入国審査が、再開されるという連絡が入ったのであった。

それから数時間後、僕たち使節団一行は、正式に〔スカイテール連邦王国〕へと入国を果たしたのであった。






 〔スカイテール連邦王国〕首都 〔ビスネキシ〕 城下町 とある交差点


  時間は、少し遡る。

エギル達、〔デイ・ノルド王国〕使節団が、〔テールビス島〕の近海にやってくる二日前、〔スカイテール連邦王国〕の首都である〔ビスネキシ〕においてとある事が、発生していた。


「おい、止まれ。」


 誰かが誰かを制止する声が、響き、タタタタタタと地面を踏みしめ、そして蹴り上げる音が聞こえてくる。

そしてまた、制止をする声が聞こえてきた。


「止まりなさい、逃げるな。」


 そんな事を言っているのは、この首都の治安維持を担っている衛士の一人であり、彼の前方には、衛士に捕まらないように逃げている男の姿が、あった。

衛士は、再び警告を発した。


「止まれ、逃げるな。」


 しかし、前方の男は、衛士の言葉を無視して逃亡を続けていた。そして警告しながら追いかけ、無視をしながら、逃げるという事を繰り返してとある狭い交差点にやってきた。

すると逃げている男がその交差点を右折しようとした所、その曲がろうとしていた右側の道路から、ニョッキと人の足が、出てきた。

男は、逃げるのに夢中になっていたため、その足に気づくことができずに、引っ掛かり、盛大に転んでしまったのであった。


 ドッシャー


 それを確認した衛士は、残り僅かな体力を振り絞り、全速力で、逃亡していた男に追いつくと、逃亡犯の背中に飛び掛かり、馬乗りにすると、こう宣言をしながら手錠を取り出した。


「公務執行妨害により現行犯逮捕する。」


 そして衛士は、逃亡していた男に手錠をかけると、その男を立たせ、後ろを振り返った。

そこには、道路から交差点へと足を出している男が、立っていた。

衛士は、彼にこう言った。


「ご協力、感謝いたします。」


 そう言われた男は、こう返したのであった。


「かまないですよ、これも俺たちの務めですから。」


 そう言って逃亡犯のこれ以上の逃走を防いだ、若者は、着ていた服についた誇りを払うと颯爽とどこかへ消えていったのであった。

衛士が、引き留めるのも聞かずに。


お読みいただきまして、ありがとうございました。

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